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【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》⑪


~客室~

 

決行当日午前。

 

チーム箱学は、控え室としてカジノホテルのパーティルームを2室与えられていた。

上級生組と後輩組に分かれて使用している。

 

現在各部屋で自分達の配役の制服に着替え中である。

 

 

 

荒「福ちゃあァァァん!カッコイイよォ!似合うよォ!」

 

荒北が、タキシードに着替えた福富の姿を見て少女漫画のような瞳で絶賛する。

 

 

福「昔から様々な式典に参加しているからな。こういうのは着慣れている」

 

全くの無表情で当然のように答える福富。

 

 

荒北は現場には出ないので、今日はグレーのパーカーにデニムという普段着だ。

 

 

 

東「荒北。フクだけでなくオレのタキシード姿も誉めんか」

 

福富の隣で東堂が前髪をかき上げてポーズをとる。

 

 

荒「東堂。なんだ今日は。七五三かァ?」

東「オレは誉めろと言ったのだ。もう一度チャンスをやろう。さあ言え。ジェームズ・ポンドのようだとな」

 

荒「オメー、タキシード着る時もそのカチューシャ外さねェつもりか?」

東「当然だ。カチューシャはオレのトレードマークだからな。ワッハッハ」

 

荒「もしかしてジジィになってもつけてるつもりか?」

東「もちろんだ。粋ではないか。ワッハッハ」

 

荒「ハゲてもか?」

東「オレがハゲるわけなかろう!!」

 

 

 

新「いいなぁ、寿一も尽八も。オレもタキシード着たかったよ」

 

新開がディーラーの制服を着て、髪を整えながらバスルームから出てきた。

 

荒北は振り向いて新開の姿を見る。

 

 

 

──ドキン!──

 

 

 

一瞬息を飲んで、荒北は固まってしまった。

頬が紅潮していく。

 

 

荒「……」

新「ん?どした?靖友。オレ似合う?」

 

新開が赤いチェック柄のベストをキュッと引っ張りながら笑顔で尋ねる。

 

 

 

荒「オメ……ホントそういうディーラーとかバーテンとかの格好、似合うよな。ちょっとドキッと……」

新「えっ?」

荒「ハッ!」

 

荒北は慌てて口を手で押さえた。

 

 

新「今……ドキッとしたって、言った?」

荒「言ってねェよ」

 

歩み寄る新開。

後ずさる荒北。

 

 

新「言ったよね?ドキッとしたって」

荒「言ってねーって」

 

早足で部屋の中を逃げる荒北。

追いかける新開。

 

 

新「確かに聞こえたよ、ドキッとしたって」

荒「言ってねっつってンダロ!!」

 

ボフボフッ!!

 

荒北はソファのクッションを2つ、新開の顔に二段階攻撃で投げつけた。

 

部屋中にクッションから飛び散った羽根が舞い上がる。

 

 

東「やめんか貴様ら!部屋が無茶苦茶ではないか!いつまでもガキみたいな喧嘩ばかりしおって!」

 

東堂の叱咤が飛ぶ。

 

 

荒北は真っ赤な顔をしたままバタバタと部屋を出て行った。

 

 

 

新「……」

 

新開はクッションを抱き締め、荒北の出て行った扉をずっと見つめていた──。

 

 

 

 

 

荒北は足早に廊下を歩きながら、大学時代の事を思い出していた。

 

そうだ、あの頃……。

新開のバーテン姿をオレはなぜかやたら気に入っちまって、毎週末その姿が見たくて通ってたんだ……。

なんつーか、萌え萌えしたっつーか……。

なんなんだ、この感情。

普段はなんともないのに……。

オレ、コスプレフェチだったのか?

だけど、新開に対してだけだよな。

アイツはイケメンだから、確かに何着ても似合うんだが……。

あァ、なンかよくわかんねー。

 

 

荒北は頭を掻きむしりながら司令室へ向かった。




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