【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》⑲
福富は小鞠を指差して挑発する。
福「オレは今までカウンティングで食ってきた。オマエのその女神とか言うオカルトがどの程度なのか見せてみろ」
そのセリフを聞いて、小鞠はクワッ!と目を見開く。
鞠「オカルト?ボクの女神をオカルトと言いましたか?ハハハッ!福富さん、カウンティングなんて所詮、勝率を上げるだけのモノでしょう。もう時代遅れなんですよ!」
福「オレが勝ったら、時代遅れと言ったことを撤回してもらおう。そして、オレの目の前から永遠に消えろ」
鞠「いいんですか?福富さん。そんなこと言って。ボクが勝ったらアナタを……」
福「にくでも何でもオレを好きにするがいい」
鞠「クスクス。後悔はさせませんよ」
小鞠は勝利を確信したように舌舐めずりをしてニタリと笑った。
同額のコインを賭けて、カードが配られた。
チーム箱学の面々も、ギャラリーも、固唾を飲んで見守る。
福富のカードが開かれる。
合計は20。
観客「「おおー!!」」
歓声と拍手。
福富は小鞠の顔をじっと見ている。
鞠「さすがですね福富さん。フフフ……。だけど、勝つのはボクです」
小鞠は不敵に笑い、叫んだ。
鞠「これでアナタはボクのモノだ!!」
小鞠のカードが開かれた。
ハートのAのブラックジャックだった。
荒「ダウトーッ!!そのカードは偽物だァ!!引っ捕らえろーッ!!」
荒北が叫んだ。
鞠「!!」
チーム箱学の筋肉の動きで一瞬早く異変を察知した小鞠は、本能的に椅子からジャンプした。
小鞠を捕らえようとした福富の腕が空を切る。
福「!」
小鞠は駆け出した。
しかし背後にいた真波が足を引っ掛け、小鞠を転倒させた。
ドサドサドサッ!
倒れた小鞠の上にすかさず福富、東堂、泉田が覆い被さる。
チャキッ!
新開と真波が小鞠に銃を構える。
観客「きゃーっ!!」
ギャラリーが悲鳴を上げる。
カシャン!
福富が小鞠に手錠をかけた。
福「岸神小鞠!詐欺容疑の現行犯で逮捕する!」
黒「やったー!!」
飛び上がって喜ぶ黒田。
荒「……」
荒北はモニターを見つめて逮捕の瞬間を実感していた。
鞠「……」
手錠をかけられた小鞠は倒れたまま目を真ん丸に見開き、何が起こったのかわからない顔をしている。
鞠「福富さん……アナタ方みんな……刑事……?」
福「そうだ」
信じられないという表情で福富を見上げ、叫ぶ小鞠。
鞠「バカな!だって刑事ならもっと格闘技系の筋肉(にく)になる筈だ!」
福富は小鞠の疑問に静かに答えた。
福「オレのチームは全員がロードレーサー。通称“チャリデカ”だ」
鞠「全員が!……ロードレーサー……!」
小鞠は連行されていくまで、ずっと口をアングリ開けたままだった──。
荒北はインカムで全員を労う。
荒「野郎共、よくやってくれた!チーム箱学全員で勝ち取った勝利だァ。お疲れサン!!」
現場組は全員で監視カメラに向かって笑顔で手を振っている。
黒「みんなー。荒北さん涙ぐんでるっスよー」
荒「テメ余計なこと言うンじゃねェ!」
黒「ぐえーっ!」
黒田は荒北に首を締められて白目になっていた。
鞠「全員が……、ロードレーサー……。チャリデカ……」
左右を警官に挟まれパトカーに乗せられた小鞠が繰り返し呟く。
鞠「福富さん……」
福富達3人にのし掛かられた時の感触を思い出している。
鞠「福富さん……。ボクは……ボクは……」
小鞠は頬を紅潮させうっとりとした表情で天を仰ぎ、目を閉じるとこう言った。
鞠「また、アナタ方に逮捕されたい……!!」
チーム箱学の再犯率がまた上がった瞬間だった。
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