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【BL二次小説】 チャリデカ2《カジノ編》⑤


荒北は福富とタッチをして入れ替わる。

 

 

 

バン!

 

荒北は議長卓を叩いて大声で言った。

 

荒「後輩共ォ!」

後輩達「はい!」

 

3人が背筋を伸ばして返事をする。

 

 

荒「昨日の負け額を言ってみろォ!」

 

泉「3万です!」

黒「5万です!」

真「10万でーす!」

 

泉「満面の笑みで言う額じゃないな、真波」

真「えへへ~」

黒「誉めてねーよ」

 

 

昨日大負けした後輩達に荒北は問題を出す。

 

荒「泉田ァ!」

泉「はい!」

 

荒「福引きで、千円で1回引けるやつと、千円で5回引けるやつ。どっちを選ぶ?景品はどっちも同じだ」

泉「千円で5回の方です!」

 

荒「ヨシ。黒田ァ!」

黒「はい!」

 

荒「競馬で、一度に6頭走るレースと、一度に18頭走るレース。どっちを選ぶ?配当はどっちも単勝2倍だ」

黒「6頭の方っス!」

 

荒「ヨシ。真波ィ!」

真「はーい!」

 

荒「パチンコで、千円で30回回る台と、千円で10回回る台。どっちを選ぶ?確率はどっちも1/100だ」

真「30回の台でーす!」

 

 

荒「全員正解だ」

 

後輩達はホッとする。

 

荒「しかしィ!」

 

ビクッとなる後輩達。

 

 

荒「それなのになぜ昨日負けたァ!」

 

泉「え?それはやっぱり運が……」

黒「そんな理想通り勝てないっスよ」

真「負けたけど楽しかったでーす」

 

 

 

荒北は静かに言った。

 

荒「カジノのスロット台やテーブルゲーム。隣の台と微妙に違うって知ってたか?」

後輩達「え?」

 

荒「どれも1台1台賭け金、役、配当、DECK数(トランプの組数)、シャッフル数等色々違う」

黒「マジっスか!?」

 

顔を見合せてざわつく後輩達。

 

 

荒「これを知らねェ客が大多数だ。どれも同じと思って適当に座る」

泉「ひどいじゃないですかソレ」

 

荒「ひどくねェ。ちゃんと見えるとこに掲示してある。じゃねェと違法だからな。気付かねェ客がバカなんだ」

真「うわーい」

 

真波が頭を抱える。

 

 

荒「パチンコと同じだ。1台1台釘が違う。見りゃアすぐ判るのに誰も見ようともしねェ。どれも同じだと思って適当に座る。勝ち負けは“運”だ、ってな」

後輩達「……」

 

 

荒北は全員の顔を見渡して言う。

 

荒「みんな勝ちてェから打つんだよな。なのに、なぜ勝つ努力をしねェんだ?スポーツだったら勝つためにちゃんと戦略練るじゃねーか。なぜギャンブルでもそれをしない?なぜ全てを放棄して運任せにする?」

 

全員黙り込む。

 

 

 

荒「じゃァ、ちょっと質問を変えるぜ」

 

荒北は今度は上級生組に質問した。

 

 

荒「ギャンブル依存性を治すにはどうしたらいい?ハイ新開ィ!」

 

新「えっ?えーと、家族や友人の温かい愛情!」

荒「ハズレぇ!ハイ福ちゃん!」

 

福「スポーツで汗を流す!」

荒「ハズレぇ!ハイ東堂!」

 

東「えー……」

荒「全員ハズレぇ!」

 

東堂がなにやら喚いているが無視して荒北は話を続ける。

 

荒「正解は……」

 

全員が注目する。

 

 

 

荒「勝ち方を教えることだ」

全員「えーっ?」

 

驚く面々。

 

 

東「それでは本末転倒ではないか!」

 

荒北を指差して反論する東堂。

 

 

 

荒北はみんなの席の周りをゆっくり歩きながら解説する。

 

荒「ギャンブル依存性の問題はなんだ?負け過ぎて借金して家庭崩壊だろ。勝てるようになりゃア借金しねェどころか金持ちだァ。家庭円満」

東「極論だ!」

 

荒「だが、誰もこの方法を思いつかねェ。だからギャンブル依存性はいまだに無くならねェ。そもそも勝ち方を教えられる職員がいねェ」

東「貴様なら教えられるとでも言うのか!」

 

 

荒北はニヤリと笑う。

 

荒「ああ、その通りだ。依頼がありゃア、すぐにでも受けてやんよ」

東「ぬ……」

 

荒北の自信満々な表情に怯む東堂。

 

 

 

新「靖友……なんでそんなにギャンブルに詳しいんだ?昨日おめさん、自分はギャンブルしないって言ってたじゃないか」

 

不思議そうに尋ねる新開を荒北は指差して言った。

 

荒「イイ質問だ新開ィ!」

 

 

荒北は議長卓へ戻って話し始めた。

 

 

荒「オレぁ世界中のカジノを廻った。全戦全勝だ」

 

全員「えーっ?」




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