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どんな社会課題に向き合うか問い続けた先に見えたもの【Leaping Rabitt 卒業生】

互いに信頼し合える間柄であるからこそ、営利関係を超え、未来の可能性を共創できる。そう信じるわたしたちは、「恋に落ちるくらい好きになった相手と仕事をする」ことを大切にしてきました。

共に未来を創っていくパートナーでもある団体や企業の方々を紹介する本企画、『わたしたちが恋に落ちた、あの人』。社会課題解決の現場で挑戦されている皆さんの想いや葛藤、そして弊社とどんなコラボレーションが生まれたのか、対談を通じてお届けしていきます。

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今回取り上げるのは、morning after cutting my hairが株式会社Dropと共同で運営した、社会課題領域の "これからの活躍人材" を育成するプログラム「Leaping Rabbit」卒業生のうち、ソーシャル業界へ転職したメンバー3名です。プログラム参加を受け卒業生たちがどんな変化を経て、現在どんな活躍をされているのか、そして同じく社会課題に今後関わりたいと思う方へ届けたいメッセージを伺います。

morning after cutting my hairが運営した「Leaping Rabbit」

今回、お越しいただいたのは、Leaping Rabbit 卒業生の3名です。Leaping Rabbit プログラムの設計およびメンターとして関わった morning after cutting my hair の中西須瑞化(以下、須瑞化)が対談相手をつとめます。

/// LOVERS ///
増田 綾 さん(Leaping Rabbit 1期生)
元IT企業の人事職。卒業生の中では転職第一号。非営利団体に特化した寄付プラットフォーム Syncable を展開する 株式会社STYZ(スタイズ)へ転職。

上田 昂輝 さん(Leaping Rabbit 1期生)
元印刷会社の編集ディレクター。2022年11月から、親子領域の社会課題解決集団 認定NPO法人フローレンスへ転職が決まっている。
(Twitter: @yu2yuduki)

吹田 奈穂子 さん(Leaping Rabbit 3期生)
元カフェスタートアップの店長。知的障害のある作家のアート作品を様々な形で世の中に届けることで「障害」のイメージ変容を目指す株式会社ヘラルボニーへ転職。
(Instagram:  @naqostyle)

社会課題に興味はある、けれど自分は何ができる?そんな仲間がオンラインで集まった

——簡単に自己紹介をお願いできますか。Leaping Rabbit(以下、Leaping)参加前と参加後のお仕事についても教えてください。

増田綾さん(以下、ますあや):増田と申します。だーやさんとかますあやさんとか呼ばれています。元々はベンチャー企業に8年いて、ITフリーランスの方向けの求職支援や人材営業を5年、退職する直前の3年は新卒や中途採用などの人事・社内教育の研修設計を担当していました。今は、非営利団体さん向けの寄付プラットフォーム 「Syncable」を提供している株式会社STYZ(スタイズ)にて、寄付集めを行うファンドレイザーをしています。

上田昂輝さん(以下、ゆづき):上田と申します。Leapingメンバーからはハンドルネームでゆづきと呼ばれていました。今は印刷会社で編集ディレクターとして、主にクライアントワークでコミュニケーションツールや広告などの編集・制作といったクリエイティブ支援をしています。まだ内定者という立場ですが、11月からNPO法人フローレンスの広報スタッフとして転職が決まっています。

吹田奈穂子さん(以下、スイちゃん):吹田と申します。吹田さんとかスイちゃんと呼ばれることが多いです。Leapingに参加した当時は、カフェのスタートアップで店長職をしていましたが、去年の冬に株式会社ヘラルボニーに転職しました。知的障害のある作家のアート作品をデータとして取り扱って、主に様々な企業様とコラボレーションを企画・進行する部門にてディレクターをしています。

社会課題領域の活躍人材を育成するプログラム「Leaping Rabbit」卒業生の3人

——皆さんが Leaping Rabbit を知ったきっかけ、参加したきっかけを教えてください。

ますあや:私の場合、Leapingに参加する前からソーシャルセクターに転職したいとは決めていたんです。でも、どういう領域や距離感で、自分は何ができるのかということを全く言語化できていなくて。そんなことができる場や機会がないかと探していたところにTwitterでLeapingに関するツイートを偶然発見して、直感的に惹かれて応募しました。

ゆづき:僕もTwitterです。社会課題に関する情報をキャッチしたいとTwitterを始めたばかりで、いろいろな人をフォローしていたんです。会社以外で人脈や知識を深めたいと思っていたときにちょうどLeapingの投稿を見つけて。すごく悩みましたが、〆切ギリギリで応募しました。

スイちゃん:私は「ほめるBar」という活動でもともと須瑞化さんと繋がりがあって、須瑞化さんのFacebook投稿でLeapingについて知りました。1期2期も気になっていたんです。その頃、ちょうどカフェ業界ではスタバが紙ストローを導入したり、「環境にいいとは?」「社会にいいとは?」を考えることが増えていました。当時は勤務時間も不規則でプログラム受講時間が確保できるか不安があり、「私でもできますか?」と須瑞化さんに相談して背中を押してもらいました。

本当にそれでいいか問い続ける、ハシゴを外して考えることで見えてくる社会課題の本質

——Leaping Rabit が転職時、そして現在、役立っているなと思うことはありますか。

スイちゃん:今もLeapingで得たことを活かそうと奮闘する過程ではあるんですけど、最近あった例だと、とあるメーカーさんから商品を福祉施設に寄付したいとお話を頂いたんです。もちろんダメなことではないですが、そもそも施設の方にとって本当に嬉しいことかな?とか、逆にその商品を使わなきゃいけないっていう価値観を押し付けることになってしまわないかな?と、一度ハシゴを外して考えてみることができるようになったと思います。

本当に目指したいのはどんな社会で、そのために何が必要なのか、それを今やる意味があるのかといったことも含めて、「もう一度一緒に考えてみませんか」というお話ができるようになりました。

吹田 奈穂子 さん(スイちゃん・Leaping Rabbit 3期生)

ゆづき:僕は転職活動のときにまさにLeapingのプログラムで作成した「自分を表現するポートフォリオ」を活用させてもらいました。ソーシャルセクターで働く第三者であるLeaping運営メンバーのみなさんから僕への率直な評価を掲載していたので、転職先の方に自分のことをうまく伝えることができたと思います。

ますあや:私の場合は、“Leapingイズム” みたいなものをそのまま今の仕事に使わせてもらっています。プログラム中に新しい知識をもらえたのはもちろんですが、「自分がどんな深さと距離感でその社会課題に向き合いたいと思っているのか」を、言語化して落とし込む機会をもらえたのがものすごく貴重で。活用どころか、そのまま今の私の武器になっています(笑)。Leapingで過ごした期間がなかったら、転職時の面接で社会課題に対しての思いや、自分の強みや弱みもきちんと伝えられていなかったと思います。Leaping参加中のワークで、これから伸ばしていきたい能力やスキルを洗い出すものがあったんですが、当時あげていた広報やPRや課題解決力を複合的に活用できる仕事に就けているなぁと実感しています。

ひたすら自分に向き合い、社会課題との距離を掴む

——Leapingを通して一歩を踏み出し活躍中のみなさん、Leaping参加前には、それぞれどんな社会課題に興味があったのでしょうか。

スイちゃん:一つは、環境問題やエコといわれるものが気になっていました。でも店舗で実際にいわゆるエコを実践しようとすると、正直プラスチックの方が安かったり、紙ストローのようにお客様によっては使いにくかったり、顧客体験のためにはエコじゃないほうがいいのでは?と葛藤していたんです。また、アルバイトのスタッフを採用・育成する立場でしたが、LGBTQ当事者の人がいたり、持病がある人がいたり。素敵な個性をもつスタッフみんなが活き活きと働ける環境をつくるにはどうしたらいいんだろうと、エコから人材活用まで広く社会課題に興味がありました。

ますあや:私の場合は、元々大学で児童労働問題とか国際協力系のNGOやNPOの活動について学んでいました。インドやカンボジアの現場にも行きましたし、卒論はホームレス問題について書きました。前職のIT企業に就職してからも社会課題には細々と興味を持ち続けていたのですが、年を重ねて身近な人の結婚や出産、家族の介護など様々なライフイベントに触れる中で、周りの人たちの小さな生きづらさや悩み、モヤモヤを目の当たりにすることが増えました。自分が関わることでそんな人の状況や問題がもっと良くなればいいのに、と割と広い範囲で自分の関わり方を探していました。

ゆづき:僕の場合は、子どもの頃から聴覚障害があったので、それを原体験に人権や差別といった問題に元々興味がありました。聴覚障害ってコミュニケーション障害ともいえるんです。「そこに情報があるはずなのに正しい情報が伝わらない」ということをずっと経験してきたので、人にきちんと情報を伝えるための分かりやすさやユニバーサルデザインに興味が沸き、大学ではデザインを学びました。
自分には障害があることで、もちろん困ったり、人から心ないことを言われたりすることもありますが、それでも恵まれて生きてきたと思うこともあって。例えば自分の両親がもし貧困だったら、シングルマザーだったら、と思うと人生の選択肢がもっと狭かったのではないかと思うのです。障害があっても、どんな家庭環境でも、人生の選択肢を豊かに持てるような、そんな貢献ができないかと思うようになりました。

——応募書類、設問が10問以上あったとお聞きしました。応募〜面接で印象に残っていること教えてください。

ゆづき:費用のこともありましたし、オンラインで研修を受けるのは初めてで、まず僕は応募自体をすごく悩みました。応募書類は設問も文章量も多くて、下書きもたくさんして、大変で。とても頑張りました(笑)。

須瑞化:書類選考の後、参加者ひとりに対して2〜3人、mornig側は私と、一緒にプログラムをやってたDropという会社のメンバーとで面接したので、それもきっと緊張しましたよね。

ますあや:私は人事職だったから普段は自分が面接をする側なんです。だから逆に最初は緊張していました。でも「これは皆さんのことを知りたい場として設定しているので、言葉に迷うことがあればじっくり考えてもいいし、ストレートな気持ちを話してください」と言っていただけて、始まって5分くらいで緊張がほぐれました。

スイちゃん:いわゆる面接でよく聞かれるような志望理由より、私がどういう人なのか?という問いをたくさんもらった時間だったと記憶しています。そのときに聞かれた質問が、自分の軸を作っているような感覚があって、今でもたまに思い出しています。

ゆづき:僕は普通に面接の感覚でしたね(笑)。ちょうどコロナ禍でオンライン活用が普及したタイミングでしたが、僕自身はオンラインでの面接が初めてだったこともあり、とても緊張しました。

——プログラムがスタートしてからはいかがでしたか?

ますあや:私自身、外のコミュニティに入る経験が社会人になってからほぼなかったので、自分の考えを本音で話せるかなとか、どんな人たちが参加されるんだろうとか、ドキドキしていました。

ゆづき:プログラムを受けるだけじゃなく、アイスブレイクや雑談の時間が多い設計になっていて、Slackのコミュニティで自己紹介や雑談チャットをしたり、あっという間に打ち解けた気もします。

Leaping参加当時のことを思い出しながら談笑する3人

須瑞化:ゆづきさんは「Slackのスタンプをカスタマイズしていいですか?」って申し出てくださって。オンラインコミュニケーションについては運営側で意識していたことももちろんありますが、参加者の皆さんが積極的にコミュニティにコミットしてくださり、とてもありがたかったです。

スイちゃん:最初は「話したい人からどうぞ」と言われても全然みんな話しだせなくて、少し遠慮がちな空気が漂っていたんですけど、2回目くらいからメンバーそれぞれの人柄がわかってきて、少しずつSlackでもコミュニケーションが活発になったなと記憶しています。

須瑞化:1期は7名、3期は4名の参加者でしたが、それぞれの期は別のSlackでプログラム中は交流をしていました。全てが終了した後にZoomで期を跨いだ交流会を開催したりもして、なるべく参加者同士の接点を生み出せたらいいなとも思っていました。

フィードバックを繰り返し、頭に汗をかいてじっくり考えた

——大変だったこと、印象に残っていること、教えてください。

スイちゃん:私は、時間をつくるのが一番大変でした。カフェの店内でパソコンを開いて参加することもありましたし、後で講義の録画を共有してもらってキャッチアップすることもありました。でも、Leapingに参加したことで日常の中で些細な社会課題にも気づくことができるようになり、日々インプットが増えて、その頭の忙しさが面白いと感じるようになりました。

ますあや:印象に残っているのは、ゲスト回に来ていただいていた認定NPO法人HomedoorさんとNPO法人ETIC.さんのお話です。実際にソーシャルセクターで働いている方の話を伺って、社会課題って点の話じゃないんだなということを改めて感じました。例えばホームレス問題だと、ただ家を提供すれば問題が解決するわけではなく、そもそもなぜこんな状況に陥ってしまったのかを考える必要があるし、自立するための手段もいろいろ複雑で、ひとつの側面だけにアプローチするのではなく多面的に考えていかないといけない。
また、選んだ社会課題トピックに対して、自分は何を考えるのか、何ができるのかプレゼンテーションをする課題がプログラム後半にあったんですが、私はいろんな社会課題に興味がありすぎて迷子になっていて。何度も運営の方にフィードバックしてもらってなんとか形にできました。社会課題を解決するって全く簡単じゃない、知識だけじゃダメだっていうのを身を持って痛感しましたね。そういうリアルな葛藤も含めて、頭にたくさん汗をかきました。

ゆづき:マンツーマンのフィードバックがプログラム中に何度もありましたよね。企画を考えて発表するようなワークショッププログラムは他にもあると思うんですけど、Leapingの場合は課題に取り組んでいる途中でも悩んだらすぐ相談にのってもらえるのがすごく良かったです。

ますあや:あれなかったら本当に大変でしたよね。ゆづきさんのプレゼンテーション、フィードバックを繰り返した成果だと思うんですが、すごく良かったです。自分と向き合うタイミングとか、自分を客観的に見る投げかけというのがうまく組み込まれていたんだなと、振り返ってみて改めて感じます。

ゆづき:確かに、自己分析をするワークはまるでもう一回就活をしている気分でした。ストレングスファインダーの結果を活用したペンタゴンワークでは客観的に自分のいいところも苦手なところも改めて見つめ直せました。

スイちゃん:ただ企画を考えるだけでなく、他のメンバーや運営の方と壁打ちする時間が講義時間の何倍もあって、なぜそれを自分がやるのか、どんな意味があるのか、表現を含めた課題へのアプローチの仕方からじっくりと考えることができたなと感じます。

須瑞化:運営とのマンツーマンフィードバックに関しては、最低でも2回以上というのだけ決めていて、必要があれば何度でも面談をするし、Slackのメッセージでの相談も、期間中はできるだけ素早く反応を返せる体制をつくっていました。参加者さんに頑張ってもらう分、運営はそれ以上のコミットとサポートができる体制を整える。社会課題と向き合う難しさを知っているからこそ、参加者ファーストで運営する覚悟を持って臨んでいました。

問い続けたからこそ見えてきた自分の変化

——Leaping Rabit に参加して、自分の中で変わったな!と思うことは何ですか。

ゆづき:よくある偏見だと思うんですけど、NPOなどソーシャルセクターで働いている方って仕事をリタイアした高齢の方や主婦の方がやっている、そんなボランティアなイメージがあったんです。なのでLeapingで実際にソーシャルセクターで働く方の講義を聞かなかったら、NPOに転職なんて考えられなかったです。そういう意味ではLeapingは僕の人生変えちゃいました!(笑)

スイちゃん:私も、ソーシャルセクターで働いている方ってなんだか高尚で特別な人というイメージがあったんです。でも、ソーシャルセクターで働く人も、営利企業で働く人も、仕事への向き合い方や収入面など、別に変わらないんだなと知れたことが一番大きなことでした。そう知れたことで、自分の転職先も範囲を広げて考えることができました。

——ソーシャルセクターというものへの解像度が上がったからこそ、働く人たちへの視点も変わったのかもしれないですね。

ゆづき:「縦軸のスキームで社会課題を捉えられるようになった」というのも自分の大きな変化かなと思います。例えば、環境問題とか人権問題、貧困問題など、今まで点でしか捉えられていなかったことに対して、地球規模というかもっと大きなスケールで捉えられるようになって、社会課題の奥行き感や視座が広がったなと。

ますあや:自分も、こんな狭い世界で社会課題を捉えていたんだなと同じく衝撃を受けました。例えば、私はファンドレイザーとして、非営利団体さんの寄付をサービスを通じて集める伴走支援をしているのですが、いろいろな団体さんと関わるなかで、世の中には想像以上のたくさんの社会課題が存在していて複雑で奥深いなと改めて実感してます。例えば子どもの貧困問題や、ジェンダー問題はこっちでもあっちでも繋がっているんだなと、Leapingで頭に汗をかいたからこそ多角的に捉えられる癖がついたと思うんです。いま採用にも携わっているのですが、接触する一部の学生さんや若手メンバーにも、点で捉えたらダメだよ、多面的に見るんだよ、と話すようにしています。

増田 綾 さん(ますあや・Leaping Rabbit 1期生)

スイちゃん:その点と面の話に似ていると思うんですけど、捉え方とか感じ方って人や見方によって様々で、どんなことにも正解はないと学ばせてもらいました。例えば、会社なので売上目標もあって、そこに対してアクションは起こしつつ、それが今本当にやるべきことなのか、どんなメッセージで世の中にどんな変化を与えることができるのか。時には立ち止まりながら沼にはまったり浮上したりを繰り返して、前例がなくても正解が分からなくても、それでも考え抜いて進んでいくことが、社会課題に取り組むってことなんだな、と最近ようやく納得できるようになってきました。

社会課題解決に必要なのはリーダーだけじゃない

——Leaping Rabit に期待していたこと、それは達成できましたか。

ゆづき:僕は転職したいと思いつつも、社会課題に対してどうやって自分の力を発揮できるのか具体的なイメージがない状態で参加しました。もともと社会課題に向き合っている人って、リーダーシップがあって会社を起こせる “社会起業家” がやっているイメージだったんです。他の研修やワークショップでも、起業家育成を謳っているものが多いじゃないですか。でもLeapingの募集要項をみたら、リーダーじゃなくても社会課題に関われるという記述があって、そこが自分の中でとても印象に残っていて。自分でも社会課題に対する関わり方を見つけられるのかも、と思って参加したんですが、結果的にまさしく期待した知見を得られて、ソーシャルセクターへの転職もできました。

上田 昂輝 さん(ゆづき・Leaping Rabbit 1期生)

スイちゃん:Leapingは他と比べても異質なくらい「違う」と思いました。他だと、SDGsの研修や講座も多いですけど全部「教えてもらう」という感じですよね。Leapingはひたすら問われ続けるというか。

須瑞化:教えるというより、めちゃくちゃ問いまくって中にあるもん全部吐き出せ!みたいな感じでしたよね(笑)。あなたが持ってる価値、想い、スキルって何ですか、というのを丁寧に取り出して、それってソーシャルセクターにとってめちゃくちゃ貴重なスキルだからね!来てくれたらとても嬉しいからね!というのを伝える、言語化するということを、運営側はひたすらやっていたと思います。

ますあや:私の場合、社会課題に対してめちゃくちゃ強い原体験があるわけではないんです。過去を振り返っても、社会のシステムの歯車からこぼれ落ちた経験もなければ、自分が障害など生まれ持ったわけでもなく、でも目の前の人に何かできないのかなという気持ちと、幅広く社会課題に興味がある。だからこそどこに軸足を置いていいのかずっと悩んでいたんです。でも、Leapingに参加したことで自分の中にあるものを社会に出せる、活かしていけると確信を持てたのはすごく良かったです。
元々人材業で、人に向き合って伴走するということをずっとやっていたので、複数の社会課題に対してある程度の距離感を保ったところで伴走する、今のファンドレイザーの仕事はまさに自分の強みを活かした社会課題への関わり方ができているなと感じています。

ゆづき:自分は元々制作物をディレクションしてモノをアウトプットする仕事をしていたんですけど、そのモノが社会にどう影響を与えたのか、に興味が移っていったんです。その興味の移りをLeapingで明確にできたので、社会を変えられる現場で活躍したいという思いを伝えて転職することができたのかなと。

スイちゃん:私も、今の会社、履歴書とか書類を何も出してないんです。たまたま代表とご縁がありフランクにお話する機会が重なったことで採用していただくことになりました。私の人となりとか、価値観とか、考え方とか、そういう話もLeapingで言語化できていたから、そういうチャンスの瞬間にしっかり伝えることができたんだなと思います。

分野が違っても同じ志の仲間と励まし合える

——ソーシャルセクターで働くって、実際どうですか。

スイちゃん:ソーシャルセクターで働いているとなると、意識高い人だと思われたり、何だか思想の強い人と思われるようなこと、みなさんないですか?

ますあや:社会に出てから、ポロッとNPOやNGOの話をすると、それって儲かるの?とか、偽善だよねという反応をやんわりもらったことはありました。自分がソーシャルセクターに転身することによって、営利と非営利の活動が共存することを何かしら体現したかったというのはあるかもしれないです

ゆづき:僕が転職決まった後、実家の両親や祖父母に報告すると「なんでそんなところに?給料は大丈夫なの?」と自分も過去持っていた偏見が、そのまま返ってくる経験をしました。確かに給料面では少し下がってしまう。それは事実なんですけど、それ以外にお金以外の価値を転職先の仕事で貰えるんじゃないかと僕自身は期待しているんですよね。
そう考えると、興味のある社会課題の分野が違ったとしても志を同じように持っているメンバーにLeapingで出会えたのは、すごく良かったです。ますあやさんが転職第一号と聞いたときはとても勇気づけられました。

ますあや:確かに、このコミュニティー自体がLeapingで得られた貴重なもののひとつだなと思います。こんなに普通に社会課題について話せるとか、今までなかったかも。

連鎖がつながる、幸せな社会に向けて

——社会課題に自分もどうにか関わりたいなと思っている人に向けて、一歩踏み出すためのメッセージをお願いします。

ますあや:社会課題に限らないかもしれないですけど、いろんな人に話を聞いたり、今の環境を少し飛び出してみることで気付けたことが多かったんですよね。なので、まず迷ったら話をたくさんの人に聞いてみて、自分がどう感じるのかどうしたいのか、自分と向き合ってみるところから始めてみるといいのかなと思います。
そのうえで、ソーシャル系に踏み出したいと思われたのであれば、充分にチャレンジできる領域だと思いますし、一度飛び出してみるのが一番なんじゃないでしょうか。

ゆづき:Leapingに参加する前の自分のように、社会課題に関わりたいけどどうしていいか分からない、リーダーシップがあるわけでもない、起業したいわけでもない、そんなモヤモヤを抱えている人はたくさんいるのかなと思います。まずは自分の言葉で社会課題を語れるようになってみるところから始めてみると世界が広がるのではと思います。

スイちゃん:社会課題に関わるって大層なことのように聞こえるけど、雲の上のことでもないし、ジャンプしないと行けない場所でもない。実はすごく身近なこと。過去のスキルや経験、救いたい誰かのことを深堀りするよりも、もしかしたらまずは社会課題に関わりたいって思うその自分のアンテナを大事にして、自分を主語にして言語化してみたり、いろんな人と話してみて、少しずつ思いや行動を形にしていったらいいのではと思います。それこそ、こうすればいいという正解はないので、社会の型やカテゴリにハマりすぎないように、自分の内側からでるものを大事にしたらいいのかなと。自分への自戒も込めてそう思います。

——最後に、卒業生の話や活躍を聞いて、運営側としてはいかがでしたか。

須瑞化:改めてこうやって卒業後の活躍について話を聞くのは初めてで、話を聞きながら「めちゃくちゃ素敵な活躍人材になってるじゃん!」と終始感動してしまいました。
ゆづきさんが仰っていた通り、Leapingって「リーダーじゃなくても社会課題に関わっていいし、むしろそういう人が大事だ」という課題感から、そういう「活躍人材」を増やしたくて始めたプログラムなんです。自分にとって社会課題ってこういう捉え方で、自分は何ができて、だからこういう向き合い方をしたいときちんと伝えることができれば、きっとマッチする先はたくさんあります。だけどそういう深い言語化って、なかなか一人では難しい。社会課題解決には多くの人の力が必要な中で、勿体無いミスマッチがたくさん発生してしまう。ソーシャルセクターにはこういう課題もあるんじゃないかと感じます。

morning after cutting my hair 中西須瑞化

須瑞化:このプログラムの設計に関わった運営会社のどちらからも、担当者には敢えて代表以外のメンバーを選出しました。リーダーが出てきた方がやっぱりインパクトもあるし、この人に教われるんだという嬉しさもあると思うんですけど、そういうことを目指したいんじゃないという、そういうイズムもちゃんと伝わったのが本当に嬉しい。Leapingからこんな素敵な人たちが出たよ!という実績を胸に、今後も頑張りたいと思います。

——みなさん、ありがとうございました!

ご出演
増田 綾 さん / 上田 昂輝 さん / 吹田 奈穂子 さん

(取材・執筆:岡田恵利子、編集:中西須瑞化)

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