〈短編小説〉稲刈りと犬と若者たち
こうべを垂れる稲穂かな。
そう、稲刈りの季節がやってきた。
私の住む地域では米作り全般を百姓仕事と呼んでいる。
田植えと稲刈りは家族4人が総出で行ってきたけど、高校を卒業し去年から県内の大手ホームセンターに就職した私はなかなか手伝いづらくなってしまった。今年の田植えは仕事が休めなかった。
しかし稲刈りは事情が変わった。なぜなら2週間前に母が足を骨折してしまったのだ。稲刈りは天候次第で予定していた日にできないこともあり、シフトの調整が難しい。ただ、理由が理由なので上司には融通