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WHAT MUSEUM(天王洲アイル)、OKETA COLLECTION展へ、見るアート、集めるアート。

はじめに

皆さま、こんにちは。
少し間があきましたが、帰省出張の第二弾の記事です。
現在、WHAT MUSEUMで開催中の「Mariageマリアージュ OKETA COLLECTION(前期)」の感想レポートです。

OKETA COLLECTIONを所有する桶田ご夫妻は、骨董から現代アート作品まで幅広く蒐集をされておられます。
ちょうど、先日買ったCasa BRUTUS特別編集「日本の現代アート名鑑100」でも紹介されていました。
※館内・展示作品の撮影は、ルールとマナーを守ったうえで可能となっています(フラッシュ撮影は禁止でした。その他は現地でご確認ください)。

現代アートを語る前に集めることを考えた。

何かを集めるという行為は人間に限ったことではありませんが、人間に限っては人によって集めるものが本当に多種多様です。
ある人から見れば捨ててしまうようなものでも、別の人が見たら宝の山に見えたりもします。どうしてそんな風に思ったかと言いますと、今回のGW帰省の目的のひとつだった、実家に残っている私物の整理をしたからです。もう弾かなくなったギターと数多の時間を費やしてきたテレビゲームの本体とソフトたち。きれいさっぱり売ってきました。
ただ、ちょっと捨てるのも売りに出すのもためらうものが棚の上から現われました。小学生のときに流行ったメンコたちです。確かに、高額で売れるものが潜んでいるかもしれない、という打算が働いたのも事実です。いろんな絵柄で、形も長方形から丸いもの、大小さまざまです。当時の少年漫画系、ゲーム系、特撮ヒーロー系など。コレクションとして集めていたのではなく、あくまでも遊ぶために勝手に集まってしまったものなので、変なシールが貼ってあったり、落書きがしてあったりと状態もまちまちです。メンコの勝敗はひっくり返すか、枠から外に出すか、です。当たる面積を増やすために、わざと縁を地面でこすって広くしているものもあります。
迷った末に実家から自宅へ持ち帰ってしまいました。

ものを集めるという行為について、染色家の柚木沙弥郎さんの著書に興味深い言葉があります。
〈周りの人が何と言おうと意に介さず、「ものを選ぶということは、自分に自信をもつこと」〉

持って帰ってきたメンコの取り扱いは、ゆっくりと考えることにします。

それでは本題の展示作品を少しだけ。

展示作品の撮影OKですと言われると、撮ることばかりに気がいってしまい、肉眼で作品に近づこうとする意識が薄れてしまうので要注意でした。
鑑賞の記念に、と言いつつも目の前の作品がより格好よく見える構図を探して、あーでもないこーでもないとウロウロしている自分でした。
撮影した写真を全部アップするわけにもいきませんので、今回は下記の2作品を選びました。

PixCell-Deer#48 名和晃平

テレビや雑誌では見たことのある名和晃平さんの有名なシリーズ作品です。前述のCasa BRUTUSでも名和さんの記事が載っています。
作品に当たる照明の具合が繊細なのか、この作品だけ展示空間が別室として設けられていました。二重に重なった黒いカーテンの入り口を恐る恐る入っていくと、外からの光が遮断された空間の中に鹿なのか、鹿に似せた何かなのか、がドーンと鎮座しています。吸い寄せられるように近づくと、透明な球体の中に潜む剥製の鹿の毛並みが見えてきます。現実にはあり得ない生き物の姿に圧倒され、一瞬の思考停止状態に陥ります。この無数のガラス玉のようなものは、鹿の内部から表出されたものか、あるいはどこかで外側から鹿に向かってぶつかってきてくっついてしまったものか、その成り立ち方に興味を持っていかれました。

The Stride 上條晋

左下に花が咲いています(カキツバタかな)。ほぼ中央の上には太陽と思しきオレンジ色の丸型が浮かんでいます。そして、四足歩行をしている動物がこちらに向かってきている絵です。背景はややピンク地の白に、動物も白と特徴的な顔の描写を除いては色味の少ない静かな絵です。余白の感じ方が日本画を見ているようで、一度離れたあとにまた戻って見てしまった絵です。
恥ずかしながら上條晋さんのことは初めて知りました。公式ホームページに作家プロフィールが載っていますので、引用させていただきます。

上條晋
1975年、長野県に生まれる。16歳でアメリカに渡り、2000年にオレゴン大学絵画ドローイング科を卒業したのち、2002年ワシントン大学絵画ドローイング科修士号を取得。現在はブルックリンを拠点に活動する。動物や人の顔など身近なモチーフを色や形の歪みを通して抽象化する表現を追求しており、2014年からプードルのドローイングおよびペインティングシリーズを精力的に制作している。

おわりに

名和さんも上條さんも私より少し年上で、同年代の作家さんがどんなことを考えて、どんな作品を発表するのかとても興味があります。
OKETA COLLECTION展では海外のアーティストの作品の方が多かったですが、まだまだ知らない方ばかりで、これからゆっくりと調べたりしてどんな人が作っているのか、鑑賞の幅を広げていこうと思います。
また、アートコレクターの方々がどんな思考で作品を集めているのかにも面白さを感じました。特定の作家個人の回顧展などとは違って、コレクターの主観が満載の作品群は雑多なようでいて、統一された好みの感覚も垣間見られて、また行ってみたいと思いました。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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