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図録を読み返す

どこか買って満足してしまっていた展覧会の図録。 時間が経ってからもう一度読み返すことで、そのときは気付かなかったことが見えてくることもあります。 そんな読み返す楽しみを伝えられたいいなと思います。

読み返す図録「民藝の100年」展

はじめに。 皆さん、こんにちは。 読み返す図録シリーズの2回目です。読み返し始めると色々と調べたくなることも増えたりして、記事を書くまでに時間がかかってしまうのが難点なシリーズです。 先日、松江歴史館で開催されていました「出雲の民藝-健康な美を求めて」展に行きました。その鑑賞レポートを「しまね暮らし」ブログで公開しています。 民藝に関する展覧会は、全国各地で色々なアプローチで開催されています。 今回、読み返した図録は、2021年10月から2022年2月まで東京国立近代美術

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読み返す図録「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」

はじめに みなさん、こんにちは。 展覧会の図録って、家に持ち帰ってからパラパラとめくるけど、なかなかちゃんと読むことはあまりないなと常々感じてました。 本棚の装飾になってしまうのはそれはそれでアリですけど。 でも、それだけではやっぱりもったいない、物足りない。 そこで今回、改めて図録を読み返すシリーズを始めてみることにしました。 本日のお題 「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」 2020年9月に島根県立美術館で開催されていた同展が、現在はひ

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デザインが図案と呼ばれていた頃(before展覧会No.11 「杉浦非水 時代をひらくデザイン」)

はじめにこんにちは。 アートブロガーの町平亮です。 中国地方も梅雨明けが宣言され、いよいよ夏本番です。 展覧会巡りもたくさん歩いて体力がいりますから、しっかり食べなきゃですね。 では、本日取り上げる展覧会をご紹介します。 「杉浦非水 時代をひらくデザイン」 会期:2021年7月3日(土)~8月30日(月) 場所:島根県立石見美術館 ※開館時間、観覧料、休館日等の詳細は公式HPをご確認ください。 本展では2枚の異なる絵柄でチラシが作成されています。 なかなかの気合いの入りよ

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建築か建築家か。(before展覧会:菊竹清訓 山陰と建築展)

はじめに。こんにちは。 アートブロガーの町平亮です。 2021年1月22日(金)~3月22日(月)の期間で島根県立美術館で開催されます「菊竹清訓 山陰と建築」展。 今回も開催前の予習記事を書いていきます。 菊竹清訓氏は福岡県久留米市の出身ですが、島根県とはゆかりが深く、ここ《島根県立美術館》も設計されています。 建築に詳しい方なら、《スカイハウス》《出雲大社庁の舎》《東京都江戸東京博物館》《九州国立博物館》などが有名かもしれません。 私は建築には疎いので、今回どのようにb

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奇才の素質って誰にでもあるのかも(before展覧会No.9)

はじめに江戸時代は265年間続いたとされています。 末尾は諸説ありますが、徳川家康が征夷大将軍に任命されて江戸幕府を開いた1603年から、15代将軍徳川慶喜が大政奉還をした1868年までが広く認識されているかもしれません。 なお、大政奉還の約2か月後に、王政復古の大号令により明治政府の樹立が宣言され、さらにそこから約4か月後に江戸城が開城されます。 さて、現在、令和2年ですが、明治時代から計算してどれくらいの期間となっているでしょうか。 ざっとおよそ152年間です。 265年

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誰が美人か、なにが美人画?(before展覧会No.8)

追記(2020/5/10) 本展覧会は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、展覧会の準備を予定どおり行うことが不可能となったため、中止となりました。とても残念ですが、もっと悔しい思いをされているのは学芸員の方々や美術館の職員の皆さまのはずです。なお、島根県立石見美術館は今月末(2020/5/31)まで臨時休館となっています。 はじめに。アートブロガーの町平亮(マチヘイスケ)です。 本日のbefore展覧会で紹介するのは、 「竹久夢二と乙女たち あこがれの美人、ときめきのモダンラ

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WHAT MUSEUM(天王洲アイル)、OKETA COLLECTION展へ、見るアート、集めるアート。

はじめに 皆さま、こんにちは。 少し間があきましたが、帰省出張の第二弾の記事です。 現在、WHAT MUSEUMで開催中の「Mariageマリアージュ OKETA COLLECTION(前期)」の感想レポートです。 OKETA COLLECTIONを所有する桶田ご夫妻は、骨董から現代アート作品まで幅広く蒐集をされておられます。 ちょうど、先日買ったCasa BRUTUS特別編集「日本の現代アート名鑑100」でも紹介されていました。 ※館内・展示作品の撮影は、ルールとマナー

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良い意味で〇〇っぽさがない、杉浦非水のデザイン

はじめに ~ after展覧会「杉浦非水 時代をひらくデザイン」こんにちは、アートブロガーの町平亮です。 2021年8月30日(月)まで島根県立石見美術館で開催中の同展覧会に行ってきました。 before展覧会の記事はこちらです。 〇〇っぽい、は嬉しいのか嬉しくないのか印象派の画家たちの絵をここで引き合いにだすのは変かもしれませんが、 例えば、見たことのない絵でもモネっぽい、ルノワールっぽい、セザンヌっぽいと思ってしまうことがあります。当たることもあれば、もちろん外れている

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設計図と模型からはじまる。(after展覧会No.11「菊竹清訓 山陰と建築」展)

はじめに。皆さん、こんにちは。 アートブロガーの町平亮です。 さっそく、本日のafter展覧会のレポートになります。 「菊竹清訓 山陰と建築」 会期:2021年1月22日(金)~3月22日(月) 場所:島根県立美術館 before展覧会の記事はこちらです ↓ なお、今回は展覧会だけではなく、訪問日に催された記念講演会にも参加しました。これはまた別記事で感想をアップします。 建築系展覧会をいかに見るか。絵画や工芸の展覧会をメインに行っていて、建築に関する展覧会ははじめて

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風景の絵は見ていると心なごむけど。(after展覧会No.10)

はじめに現在、島根県立美術館で開催中の「ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ」に行ってきました。 開催期間:2020年9月12日(土)~11月3日(火祝) 風景画の移り変わりが、時系列で作品が並んでいるので、写実性の高い絵から少しずつ印象派的な画風があらわれてくる流れがつかめる展示でした。 クールベから風景画のことを考えてみた。本展の目玉のひとつはカミーユ・コローの作品が16点も見られることですが、今日は好きなギュスターヴ・クールベのことを書き

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しまね発着、アートな旅のしおり

主に西日本を巡るアート鑑賞の楽しみ方を連載します。

紅葉は自然おりなすアート2@鰐淵寺・出雲市

皆さま、こんにちは。 今年の紅葉狩り、2回目です。 島根県ではすっかり冬の入り口が到来した今日この頃、もうそろそろ紅葉シーズンも終わりになり、雪起こしが聞こえそうな気配を感じます。 ラニーニャ現象の影響で大雪になる予報も出ています。 本日は11月の中頃に伺った出雲市にある鰐淵寺の紅葉レポートの記事をお届けします。(またリンク貼り付けですが) このお寺にはかの武蔵坊弁慶の伝説も語り継がれています。 何しろ、弁慶は松江市の生まれだそうで、でっかい鐘を担いで山を登ったという逸話

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紅葉は自然おりなすアート@鬼の舌震・奥出雲町

皆さま、こんにちは。 紅葉の美しい季節になりました。 毎年ここに行く、と決めている方。 毎年新たな紅葉狩りの場所を探しに行く方。 私もさっそく行ってきました。 島根県内では『鬼滅の刃』にまつわる観光スポットとしても有名になった 「鬼の舌震」 私の奥さまのブログをよかったらご覧ください。 一枚だけ私が撮った写真も採用されました。 ※見出しで使用している写真です。園内にある吊り橋の上から下に向けて撮影したものです。 せっかくなので他に撮った写真もここに載せます。 個人的にはな

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しまね発着、アートな旅のしおり(2号)足立美術館

はじめに。アートブロガーの町平亮(マチヘイスケ)です。 ”しまね発着”と名打ってはいますが、今回の目的地は島根県安来市にある足立美術館です。日本庭園がとても有名なところです。 新型コロナウイルスの感染が再び各地で広がっていますので、なかなか県外へ出かけることに躊躇してしまう今日この頃です。 美術館職員の方々も館内の感染症対策を徹底されていると思います。本当に今は我慢というか、注意には注意を重ねて生活をしないといけないと思いつつ、休日のアート鑑賞はひとときの楽しみ。これがあるか

しまね発着、アートな旅のしおり(1号)山口県立美術館

はじめにアートブロガーの町平亮です。 島根県を出発地として、中国地方を中心に、四国や九州、関西までと西日本のアートを巡る旅をお届けしています。 連載に至る経緯は、(0号)をご覧ください。 第1回目の目的地は山口県立美術館ですが、 新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、2020年3月末まで臨時休館が発表されています。 外出の自粛が言われている中で、旅の記事を書くことに少なからず抵抗はあります。しかし、今すぐは難しくてもどこかに出かけることは、生活するうえでとても

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