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緋月 燈
2016年5月28日 04:23
夜に溶けてしまいたい月も差さない深い夜にこのまま溶かされてしまえたらあたたかい闇が抱きしめてくれるかしら漂っているだけで空気の摩擦に傷ついてしまうよ摩擦係数ゼロのクラゲだったら皮膚にまとわるヤスリの熱に焼かれなくて済むのだろうか波にゆられて全て委ねて水底へゆこうか月も差さない水の底へ©2016 緋月 燈
2016年5月26日 02:25
抱きしめられるより抱きしめていたいちゃんと、今度こそ誰にも手をのばせるのに誰にも手をのばせないだから今度こそ手をのばしたい次なんてないかもしれないから精一杯の今を 手をのばして愛していたいそっと抱きしめてわたしの全部で伝えたいの押しとどめていたこころ大丈夫、ちゃんと送り出してみせるからひとりぼっちの君へ約束するよ ひとりにしない隣に寄り添う人を探すからねだか
2016年5月24日 01:50
懐かしい表紙をひらいたらあなたは愛しく 其処にいたそんなに昔じゃないけれど触れなくなって いつからだろう忘れるよりも ずっと残酷心を寄せなくなるなんてだけど不意に呼び戻されたあなたを愛しく思ったことをあなたがくれる物語をそっと見つめていたことを懐かしい表紙をひらいたら片付けられた愛しさがまた桜のように花開いて胸の奥に熱がさした永遠なんて誓えないけど今また少し共
2016年5月20日 02:33
波にのるたった一言とても難しくもあること櫂を棄てた流れゆく小舟になるんじゃない激流を物ともせぬ船頭となること流れの道筋を見出すこと過たず舟を操ること不意の潮目にも櫂を放さないこと身を任せながら諦めないことと似ているのかもしれない泣きたくなって櫂を棄て去ってしまいたい激情に駆られるそれでもどうしようもなく此処に在ることを思い知らされて光はまだ其処にあると教えられ
2016年5月18日 03:35
夜明けのひかりをとじこめて金いろの希望を留めておけたら曇り空の下でもどしゃ降りの雨の中でも歩きつづけてゆけるだろうか朝陽よりもまぶしいのに月のようにやさしいあのひかりをいつも胸に抱いていたい傘をさすこともできないくらい雨を降らせて道なんか見えなくてもたったひとつのひかりが欲しいの夜明けのひかりをとじこめてこの胸に飾れたらどんな希望より晴れるのでしょうガラスの
2016年5月17日 01:54
隣にいる人すら意味を持たぬほどの寂しさがこぼれでるときがあるの紫いろの夜は差し伸べられる手すら厭わしくてすくいあげられることを望んでいない闇にも呑みこめない雫を熱く濡らしては絞りだせない声を滲ませる今夜は孤独なほど寂しくなくなるからどこまでも一人にして頂戴世界に別れを告げて一人 待ち侘びる雨音は月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう透明にしすぎた寂し
2016年5月8日 00:43
言葉では語りえないこころがあるんだ瞬きより刹那のゆらめきを切り取ってしまうのはきっと美しくない誰もが同じと錯覚する言葉という線引きをそれでも手離さずにいられないのは夢と現実の狭間に涙の匂いを思うから音に心をのせてあげられない私の指は歌にしきれぬ声を不細工に筆にのせる余計な音を切り捨てる夜に心を奏でる音を聴いて言の葉に捺しきれない熱を逃がす果てしない営みの先に何を