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マキネマ〜私的映画感想文〜

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映画好きライターによる、私的な映画レビュー。観た映画のメモがわりにも使います。
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#マキネマ

「ミッドナイト・クロス」監督:ブライアン・デ・パルマ/1981

「ミッドナイト・クロス」監督:ブライアン・デ・パルマ/1981

こんなお話

フィラデルフィアに住む音響効果マンのジャックは、低予算のエクスプロイテーション映画で使う効果音を録るために川の畔りに来ていた。そして収録中、偶然自動車事故を目撃してしまう。ジャックは事故車に乗っていた女性サリーを救出し病院に搬送するが、同乗の男性は亡くなり、病院にて物々しい雰囲気に包まれる。ある人物にこの事故のことは忘れるようにと口止めされ、疑問に感じ始める。

マキネマレビュー

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「しとやかな獣」監督:川島雄三/1962

「しとやかな獣」監督:川島雄三/1962

こんなお話

パートが立ち並ぶ郊外の団地、前田家はその四階の一角を占めている。前田時造は元海軍中佐、戦後どん底の生活を経験した彼は自分の殻にとじこもり、子供たちを踊らせるあやつり師になった。息子の実には芸能プロの使い込みをやらせ、娘の友子は小説家吉沢の二号である。

レビュー

とある団地の一室に住む家族。・・・が、この家族がどうもおかしい。

伊藤雄之助が演じる父、山岡久乃が演じる母、どちらも恐

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可愛い顔して実は...!? 「私は二歳」監督:市川崑/1962

可愛い顔して実は...!? 「私は二歳」監督:市川崑/1962

こんなお話

小児科医で育児評論家の松田道雄の随筆をベースに、和田夏十が脚本化した作品。当時、市川・和田夫妻にも同じような子供がいたということが、映画化の動機になったんだとか。

一人息子の子育てに悪戦苦闘する家族を、赤ちゃん目線で描いているのですが、ベタベタな愛情ではなくシニカル目線が市川崑らしい。

赤ちゃんはカワイイ顔して、こんなこと考えているのか・・・と少々複雑な気持ちにすらなりますw

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現実に涙する。「ホテル・ルワンダ」監督:テリー・ジョージ/2004

現実に涙する。「ホテル・ルワンダ」監督:テリー・ジョージ/2004

こんなお話

フツ族の過激派が巻き起こした混乱状態の中で、ホテルの副支配人だったポールは自分の家族を救うことだけを考えた。しかし、虐殺が始まったことを知り、その重大さに気がついた彼はホテルにツチ族やフツ族の難民をともに受け入れることを決断する。

レビュー

当時とっても話題になった作品なので観たことのある方も多いでしょう。

私もDVD化されてすぐぐらいに観たのですが、改めて観る機会があったので

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キャストだけ豪華な群像劇。「グラスホッパー」監督:瀧本智行/2015

キャストだけ豪華な群像劇。「グラスホッパー」監督:瀧本智行/2015

こんなお話

愛する恋人・百合子を事故で失った鈴木は、この事故が意図的に仕組まれたものであったことを知り、裏社会の組織に潜入して復讐の機会をうかがっていた。しかしその犯人は“押し屋”と呼ばれる殺し屋の手により、鈴木の目の前で死んでしまう。

レビュー

この作品は伊坂幸太郎原作。

生田斗真が主演ですが、山田涼介・浅野忠信の三者をメインとした群像劇のような仕上がりになっています。

渋谷のスクラン

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「さがす」監督:片山慎三/2022

「さがす」監督:片山慎三/2022

こんなお話

大阪の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」と言う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。警察からも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。やがて、とある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知ら

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「ライフ・アクアティック」監督:ウェス・アンダーソン/2005

「ライフ・アクアティック」監督:ウェス・アンダーソン/2005

こんなお話

世界的に有名な海洋探検家にして海洋ドキュメンタリー監督のスティーヴ・ズィスー。傲慢で自己中心的なのにどこか憎めいない魅力を秘めた彼は、先の航海で 昔からの大切な仲間を幻の“ジャガーザメ”に喰い殺されてしまう。近頃自作映画のヒットがない彼は、仲間の敵討ちと映画のヒットを誓い、気心知れたクセ者 揃いの映画製作集団“チーム・ズィスー”を率いて探査船ベラフォンテ号に乗り込み、新たな航海へと旅

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「竜とそばかすの姫」監督:細田守/2021

「竜とそばかすの姫」監督:細田守/2021

<こんなお話>

高知県の田舎町に住む女子高生・すずは幼い頃に母を事故で亡くして以来、大好きだった歌を歌えなくなり、父との関係にも溝が生まれていた。作曲だけが生き甲斐となっていたすずはある日、ネットに詳しい友人ヒロちゃんの手引きの下、全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット空間の仮想世界〈U〉にベルという〈As〉(アバター)で参加する。そこでは自然と歌えたすず(ベル)は自作の歌を披露し、突如

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「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/2015

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/2015

<こんなお話>

リーガン・トムソンは落ち目のハリウッド俳優である。かつては『バードマン』という映画で主役のスーパーヒーロー、バードマンを演じ数十億ドルの興行収入を稼ぐほどのスター俳優だったが、それ以降ヒットに恵まれず、20年以上が経過していた。60代となり、家庭でも失敗したリーガンは『かつてバードマンを演じた俳優』として惨めな生活を送っていた。単なる落ちぶれたアクション俳優ではなく、アーティスト

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「きのう何食べた?」監督:中江和仁/2021

「きのう何食べた?」監督:中江和仁/2021

<こんなお話>

雇われ弁護士の筧史朗(シロさん)とその恋人で美容師の矢吹賢二(ケンジ)にとって、2人でとる夕食の時間が日々の大切なひとときとなっている。ある日、史朗の提案で、賢二の誕生日プレゼントとして京都旅行に行くことに。賢二は京都を満喫していたが、道中に史朗からショックな話を切り出されてしまう。この京都旅行をきっかけに、2人はお互いの心の内を明かすことができなくなってしまい……。

<レビュ

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「洲崎パラダイス赤信号」監督:川島雄三/1956

「洲崎パラダイス赤信号」監督:川島雄三/1956

こんなお話

売春防止法施行直前の東京。梅雨明け前。勝鬨橋の上で「これからどこへ行こうか」と、男と女は思案するも思い浮かばずにバスに乗る。洲崎パラダイスの入口で下りて、求人の張り紙のある飲み屋「千草」に入る。女将は、小学生男児を2人から5人を抱え、4年間行方不明の夫の帰宅を待ちわびている。女は入ってきた客をうまく扱い、住み込みで働くようになる。男は、おかみの紹介で近くのそば屋で住み込みの出前持ちを

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「暖簾」監督:川島雄三/1958

「暖簾」監督:川島雄三/1958

こんなお話

八田吾平が、たった三十五銭をにぎって淡路島から大阪へ飛び出して来たのは十五歳の時のこと。ふとしたことから昆布屋の主人、浪花屋利兵衛に拾われてから十年、吾平は大阪商人の土性骨とド根性をいやというほどたたき込まれた。吾平が二十五歳の時、主人利兵衛から暖簾を分けられた。先輩の番頭をさしおいて。吾平の夢はふくらんだ。

レビュー

他の作品に比べ、毒っ気やケレン味は薄く、際立って目をひくとこ

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「殿、利息でござる」監督:中村義洋/2016

「殿、利息でござる」監督:中村義洋/2016

こんなお話

1766年(明和3年)の仙台藩領内の宿場町・吉岡宿。仙台藩の宿場町には宿場町間の物資の輸送を行う「伝馬役」が役目として課せられており、通常は藩より宿場町に助成金が支給されているのだが、吉岡宿は藩の直轄領ではないため助成金が支給されていなかった。このため、伝馬役にかかる費用は全て吉岡宿の住人が負担して町は困窮し、破産者夜逃げ者が相次ぐ有様であった。

レビュー

私財を投げ打って、宿場

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「死霊館 エンフィールド事件」監督:ジェームズ・ワン/2016

「死霊館 エンフィールド事件」監督:ジェームズ・ワン/2016

こんなお話

1960年以降、アメリカを中心に数々の心霊事件を解決に導いてきた実在の心霊研究家ウォーレン夫妻。彼らが極秘にしてきた事件を描き、世界中に“真実の恐怖”を叩きつけた前作『死霊館』から3年。オリジナルキャスト&スタッフが再び驚愕の実話恐怖事件を掘り起こす。その名は「エンフィールド事件」。“史上最長期間続いたポルターガイスト現象”として心霊史に残る悪名高き事件で、人々は“ポルターガイスト”

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