小説「北の街に春風が吹く~ある町の鉄道存廃の話~」第3話-②
第三話 動物園でデートしよう
「ありがとう、大吾。試しに北曙駅からレンタサイクルに乗ってみるよ」
「それにしても、お前んとこのお父さんすっげーよな?」
「えっ? うちの親父?」
大吾が話題を僕の親父に切り替えた。吉田さんのお母さんが駅で言っていたことが思い出された。
「お前の親父さんだろ? 瑠萌線の存続をHRに訴えたっていうのは」
「どういうこと? さっきも彼女のお母さんに同じことを言われて……、俺、全く何も知らないんだけど?」
「お前、親父さんが何をしたのか知