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笑顔工場を守るため
昨日の木曜日は朝から咳は出るものの、母の表情は落ち着いていた。
夜中ぐっすり眠れたからか。
私は雷で起こされ、すっかり寝不足だったが…。
相変わらずお熱は37℃前後を行ったり来たり。
しかし一昨日のようなせん妄症状は一切出ず、会話も普通に出来ている。
一昨日の夜、コロナの呪縛を解き放ち(のつもり)、ニュースではなくドラマを観ることを勧めた。
母は韓流ドラマが好きでよく録画して観ていた。
あんなにハマっていたナンプレも、咳が出だしてからは一切手に取っていなかった母だったが、ようやく昨日少しやり始める姿も見られた。
ぼーっとして色々考えているような姿がここ最近増えていたので、それよりも、今までと同じようにドラマを観たりナンプレをしたりする方が気が紛れるんじゃない?と話をしていた。
***
人のことばかり心配している場合でもなかった。
私自身、心の疲れが溜まってきていると自覚していた。
母のこともお嫁ちゃんのことも孫のことも、皆んなをどうにかしてあげたいのに、どうしていいか分からないというジレンマを抱え、私はいつからか自分をどんどん追い詰めていた。
その証拠に、ほとんど眠れなくなってしまった。
これでは私が先に潰れてしまう…。
母の咳も治まっている時間に、気分転換に Netflix で映画を1本観ようと思い付いた。
何となく画面に出てきた『ステップ』という作品を観た。
妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の10年間の足跡を描いた、重松清の同名小説を映画化したもので、主演は初のシングルファーザー役を務める山田孝之。
他にも國村隼、余貴美子、広末涼子、伊藤沙莉、川栄李奈といった俳優さんの面々。
乳がんで亡くなった私の姉と重なる部分があり、途中少しつらくなったこともあったが、おじいちゃん役の國村隼の演技がとても温かく、私もおばあちゃんになった今、子供達に対する愛はもちろん、孫達への図り知れない愛情の深さを身に染みて感じながら、何度も何度も涙を流しこの作品を観終わった。
観終わると、なんとなく気持ちがスッキリしていた。
映画の中で山田孝之が『家庭とは、家族が笑顔になるために変わり続ける場所、つまり笑顔工場だ』と話す場面がある。
それがごく自然に、今の私にスッと入ってきたのだ。
悲しいことや辛いことは消えてなくならない。
それらと共に生きていくしかない。
それでも笑顔になりたいから、人は努力するし変わろうとする。
無理に変わる必要はない。
ゆっくり少しずつ変わっていけたらそれでいい。
この映画を観て、改めてそんなことを感じることが出来た。
***
映画を1本見終わっても、母の様子は落ち着いていた。
時折咳はしているが、これまでの1時間続くような、死んでしまうのではないかと思うような、長い途切れることのない咳は出ていない。
なんとなく、ほんの少し光が見えた気がした。
しかしお熱はまだ37.1℃ある。
このまま咳だけでも治まってくれたら嬉しいのだが…。
そして今日、金曜日。
母のお熱は37.0℃。
咳はやはり出ている。
昨日いちにち悪阻(つわり)と闘いながら孫の面倒を頑張って見てくれたお嫁ちゃんの元へ、今私は向かっている。
長女がリモートワークにしてくれて、パソコン持参で家まで来てくれたのだ。
娘も保育所のお迎えがあるので、夕方には私も戻らないといけないが、それまでは娘に母を託す。
家を出る際、母が『夜遅くなっても私は大丈夫だから』と声をかけてくれた。
いつもの母に戻っており、少し安心して家を出た。
今一丸となって家族が見えないものと闘っている。
この試練の先にはきっと笑顔に満ちた未来が待っている。
私は私の〝笑顔工場〟を守る。
家族の力を借りながら、そしてそんな家族への感謝を忘れずに、皆んなで皆んなの〝笑顔工場〟を守るのだ。
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