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長い長いお伽噺

彼は
何でもできる

私に寛容で
お料理を作ってくれて
私に心地よいソファーを用意してくれて
セックスにおける
私の全ての欲望に答えてくれて
仕事もできる

目が合えば
こんな美しい目は見たことが無い
といって
キスをくれる

裸で微睡んでいると
美しい身体といって
覆い被さって
突き抜ける快感をくれる

愛してると
言ってくれて
余所見をしないと
誓ってくれる

人間として
出来すぎだから
きっと
人間のプロだと思う

一方の私は
好きなことしか興味は持てず
仕事は少しできるけど
生活は
得意じゃない

だから
人間になりたて
だと思う

じゃあ、前世は何だったの?

彼が聞く


だと思う

と答える

人間の貴方の側にいて
あなたに恋をしていた

そんな木かもしれないわ

念願叶って
人間になれたのかもしれない

と。

そうすると
彼は

僕はあなたに
毎日水をあげていたのかもね

あなたに生る木の実を
いただいていたのかもね

そして
あなたに寄っ掛かって
読書していたり
したのかもしれないね

だから
僕はあなたに
安心して寄っ掛かれるんだね

と。

だから
彼は私にご飯を与えるのに
慣れていて
私の身体を食べ尽くすのが
上手で
私は
私よりしっかりした貴方を
受け止めるのね

そして
前世の私が咲かせた花をみて
あなたは
美しいと
褒めてくれていたのでしょうね

なんだか
納得した

他愛もない
大人の
お伽噺

でも
セックスや
仕事の会話の合間に

こんな話しもできる
彼が
たまらなく好き

私という木に生る実を
食べていた
ではなく
いただいていた

表現する

そこに表れる
彼の
在り方が
たまらなく好き

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