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Hint(まどろみ文庫)

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#ミステリー

【随想】小説『ハサミ男』殊能将之

【随想】小説『ハサミ男』殊能将之

ハサミ男読み終えた
正味2週間ほど
長く感じた
仕掛けには程々に驚いたがそれ以外の点では
あまり心に響くものはなかった
どんでん返し小説に飽きてきてしまったのだろうか
やはり
過程というか道中が大切だ
そう考えてみると
よい小説とはなんだろう
キャラクターが魅力的か
ストーリーが魅力的か
心理描写に共感できるか
世の理が描かれているか
そう考えると
魅力的な警察、探偵役は出てこなかった
そして主人

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【随想】小説『殺戮にいたる病』我孫子 武丸

【随想】小説『殺戮にいたる病』我孫子 武丸

とうとうね。
殺戮に至る病読みました。
いやーどんでん返し系の名作は一応一通り読もうと
去年から
十角館の殺人
葉桜の季節に君を想うということ
イニシエーションラブ
と読んできたけど、
これだけは躊躇していた。
体調が悪い時には読めない。
立ち読みしてそう判断した。
しかし
時期が来てしまった。
内容については
特に触れることができない。
一つ言えることは
文章がとても読みやすいということ。
癖が

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【随想】小説『満願』米澤穂信

【随想】小説『満願』米澤穂信

第27回山本周五郎賞を受賞した米澤穂信の「満願」を読む。
短編集である。
買ったのはだいぶ前だ。
米澤穂信という作家は、あまり聞き馴染のない言葉を使う作家なのだな。
梁、マタボール、及時雨、墨痕、矍鑠、筵、長押、林冠、隘路、眦、霏々など。
知らない単語が出てくると少し躓いてしまう。
海外小説や学術書で注釈を逐一読まないと分からない状態と同じだ。
するっと物語に没入できない。
意味がきちんと理解でき

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【随想】映画『犬神家の一族』市川 崑

犬神家の一族を見た
角川のYouTubeチャンネルで期間限定で配信されていたからだ
監督は市川崑
『ビルマの竪琴』と『どら平太』くらいしか知らない
オリンピックと
庵野秀明への影響のイメージ
横溝正史はまるで読んだことがないのに
金田一耕助も
スケキヨも
湖の逆さ死体も知っていると言うのは
ものすごいビジュアルイメージの力である
ミステリー作品でここまで人の記憶に長く留まっているものも
そう多くは

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【随想】小説『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

【随想】小説『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

いやー、最後まで読んで「えっ!どういうこと?!」ってなったのは、我ながらいい読者だ…。
作者の思い通り、まんまと乗せられて乗せられて。
ラスト2行でひっくり返ると大々的に宣伝されていた本だったので、冒頭から注意深く読んでいたが、途中からは別におかしなところはないぞと思い始め、するとだんだん小さな違和感もスルーするようになり、結局最後にはどんでん返しされてしまった。

舞台は36年前の静岡と東京。

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【随想】小説『傲慢と善良』辻村深月

【随想】小説『傲慢と善良』辻村深月

さてさて。
初の辻村深月作品。
『傲慢と善良』と『かがみの孤城』のどちらにするか迷って、前者にした。
冒頭を立ち読みしたら、どちらも面白そうで、悩ましかったが、『かがみの孤城』は上下巻あって、ファンタジーかつ子供向けかなと思い、まずはボリュームが少なく、ミステリーというとっつきやすさがある『傲慢と善良』にしてみた。
ボリュームが少ないといっても、500ページはあるから、結構読むのに時間がかかった。

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【随想】小説『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午

【随想】小説『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午

なかなかハードボイルドだった。
ハードボイルドという言葉であってるのか?
とにかく、書き味が猛々しいというか、雄々しいというか、勇ましい。
ネタばれ厳禁で、あらすじも書けないと言われるが、果たしてそうだろうか。
あらすじは、書いても特に問題ないような気がする。
自称なんでもやってやろう屋の主人公の成瀬将虎が、同じフィットネスクラブに通う久高愛子という女性から、蓬莱倶楽部という会社を調べてほしいとお

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【随想】小説『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光

【随想】小説『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光

なかなか挑戦的な作品だった。
ミステリなのかなと読みながら疑問にも思ったが、
最後まで読むと確かにミステリであった。
感想を書くことが難しい作品である。
勝手ながら表紙の印象から、キミスイのような作品なのかなと思っていた。
まったく違った。
冒頭に宮沢賢治、作中に京極夏彦や坂口安吾、谷崎潤一郎などが語られる「本好きのための本」であった。
登場人物も小説家、編集者、校正者と、本に関わる人ばかりだ。

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【随想】小説『いけない』道尾秀介

【随想】小説『いけない』道尾秀介

幾重にも折り重ねられたミステリーのミルフィーユ。
その闇は深すぎて、作家自身は口をつぐんだ。
事件の真相は、読者の手に委ねられた。
舞台は、一つの街。
一見関係なさそうに見える事件の数々が、章を読み進めるごとに、一つの物語へと収斂していく。
作家は巧妙に罠を仕掛ける。
誰が犯人なのか、誰が被害者なのか、文中に明確な答えを示さない。
ただ、状況説明と登場人物による会話と信頼できない語り手があるだけだ

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【随想】小説『十角館の殺人』綾辻行人

【随想】小説『十角館の殺人』綾辻行人

『十角館の殺人』を読んだ。
1987年、綾辻さん26歳、小説家デビュー作だそうだ。

「たった一行ですべてがひっくり返る」どんでん返し系ということで、ワクワクしながら、一気読みした。

読後感は、どんでん返し系のサスペンス映画を観た時の「やられたー」感に似ている。

『シックス・センス』(1999)
『ユージュアル・サスペクツ』(1995)
『SAW』(2004)
などなど。

こういうどんでん返

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