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失われていくもの 忘れたくないもの

重機により取り壊されていく

滑り台にブランコ、ジャングルジム

掘り起こされていく土塊

草木は根っこから取り除かれて

豊かに茂っていた芝生は

もうどこにも見当たらない

かつてこの場所で楽しく遊び笑っていた

子どもたちの影は形すらも見当たらない

どこを探しても見つからない

失われていく公園の隅っこに

ポツンと取り残された野球ボールは

日に焼けて黄色く燻んでいた、、

もう誰にも見つけてもらえないんだな、、

空はきっとあの日のままなのに

見渡す景色だけがどんどん変わっていく

子どもたちの足跡は重機のタイヤの轍で

押しつぶされてしまった

ヘルメットを被った男たちが

いくら頑張って汗をかいていたところで

気持ちは複雑にわだかまり応援はできない

心に寂しいものが吹き抜けていく

公園が消えていく

かつてここには楽しそうに

はしゃぐ声が毎日にように聞こえていたのだろう

耳をすましたら聞こえるかもしれないが

あいにく重機の音がそれを邪魔してくる

約束しては集まりみんなで走り回っていた場所は

思い出になり

ここは「街の発展と利用価値のある場所」

と言う立派な名目で塗りつぶされて

きっとそんな事もいつか忘れて当たり前のように

風景の一部に落ち着くんだろうな、、

移り変わりに対して諦めて

受け入れていくしかないのも寂しいものだ

滑り台がバラバラに分解されて

積み上げられていくのを横目に見ながら、、

こんな僕に何ができると言うのか、、

目を閉じたって夢はもう醒めてしまったんだ

重機が動く鈍い音だけが耳鳴りの様にしばらく

僕の頭の中でわんわんとうなっていた

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