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月明かりの下を走る

今宵も夜空にはお月様

黄色い輝きを放つ球体

見上げて話しかけても

やっぱり今日も何も言ってはくれないけれど

その寡黙さがむしろ魅力的

そこが気に入っている

返事が無くても話しかけたくなってしまうのは

気になるあの娘に振り向いてもらいたい

心境にも似ている気がする

真夜中の河川敷をランニングしている時

僕の姿は彼女からはどんな風に

うつって見えてるのかな

何やら小さな生き物がしきりにこちらを

振り返っては見てくるなあと思うのか

興味はないがとりあえず笑顔を見せておこう

とでも思っているのか僕には分からないが

月の明かりはとにかく全くあいかわらず美しい

足を動かしては確かめる

前に進んでいると言う感覚

心臓を高鳴らせては肺を動かし

息を吸っては吐いて

全身に巡らせる血潮

じんわりと背中に汗の感触

どこまでも走れそうな明るい夜だった

どこまでも走ってやろうと昂る夜だった

昼間の熱が嘘かのように

涼やかで走りやすい夜だった

月に見つめられていると

思うだけで嬉しいと感じるのは

僕が単純だからか

はたまた男の子だからか

黄色い声援は聞こえないが

そこにいてくれるから

僕はまだまだ走れる

彼女が西の空に沈むには

まだまだ夜はこれから

深まりにハマる僕は

夢を見ているかのように走っていく

明るい夜の河川敷を走り続けていく

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