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Noveljam2018【イカれギャルは次のステージに往く】
世の中にはいろんな作家がいる。
自称、作家。または、わたしのように普段はライティングの仕事をしながら夜な夜な公募賞や文芸誌にひそませてもらえるかもしれない原稿を書き溜める兼業作家。または、もう新人賞を獲っているがその先を見据える作家。デビューしたが、商業ではないところで個人で創作の道を極める作家。そして現在進行形で連載を持っている作家。などなど。
誤解のないようにはじめに申し上げると、どんな作
退職は失恋に似ている、労働者はペンを取れ、自販機は拳銃と覚せい剤を売れ
仕事は男と似ている。
約半年務めたコンテンツ制作会社を金曜日に辞職した。もろもろこのあと行うことはあるが、その職場で働くことはないだろう。辞職の原因は端的にいうと「全く仕事とは関係のないところで起きた小学生みたいなこと」とだけ記しておく。
社会に出てから、差別がひどくなったということだけは、確実だ。でも、このブチ切れてしまう性格は前々職から続いているので、なぜわたしはうまくやれないのかというこ
「夏休みの日記 五年二組 山内優奈」
例えば道のど真ん中を大きなヘッドフォンをつけて歩いているときにふと自分にはほんとうの志でキャップを集めて、途方もない数のキャップを回収して、キャップ八千個でようやく一個? の車椅子を作る、気があるのかと思って、そしたら、うちのマンションから出てすぐにある酒屋の、前の道路で、各国の大統領たちが次々轢き殺されていっちゃうんです。国会であんなに必死にエコについて唾を飛ばしていた大統領が轢き殺され
自画像のための習作 #En route vol.2
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私の小さな家は海辺にある。燃えたぎる橙、日の落ちる寸前の港町をひたすら奥へと入っていく。太陽光が散らばった海の近くで、漁師が縄を引いているのがうっすらと見える。車で走っているうち、それまでの雷雨が嘘のように晴れたので窓は全開にしてある。廃屋を改造し
自画像のための習作 #En route
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私が彼女と最初に対面したのは、去年の夏の終わりだった。彼女の働いている出版社から依頼を受けて、私は連載小説を書くことになったのだ。それは文芸誌でなく、婦人向けの生活情報誌だったが、私はそれを了承した。なぜなら、年始にひっそりと刊行された短編集の売れ行きが悪いこともあったし――生活に困窮しているというわけでは勿論なかっ