Lily

読書好き平凡20代OL、小説を書いてみる。

Lily

読書好き平凡20代OL、小説を書いてみる。

最近の記事

  • 固定された記事

Lilyの自分語り

遅れましたが、はじめましてLilyです。 5作品一気に投稿してから気づきました。 「そういえば、自己紹介してない」 ということで簡単に自己紹介させていただきます。 都内に住む読書好きのただのOLです。 昔から頭の中に湧いてくる物語をそのまま放置していたら、脳みそがパンクしていました。 こうして物語を書いていると 不思議と精神的に落ち着いて 安心して朝を迎えることができます。 私の物語は基本的にその日に湧いてきた感情や ストーリーを忘れないようにその日のうちに書いている

    • 湯気にのせて

      今週もいつもと変わらない日が続いた。 変わったことといえば、気温がグッと下がってきたことだ。 テレビの天気予報に「先週まで20°とか余裕であったのに」と私がぶつぶつと文句を言っていると 旦那が「電気代もガス代も高くなる季節になるぞぉ」と言い変な踊りをしだした。 「あなたは冬嫌いなくせに楽しそうね」と言うと 「だってお風呂上がりの茹でダコみたいな君見れるの楽しみなんだもん」と 確かに私はお風呂という空間が好きで冬はよく長風呂をしてしまう。 湯船に浸かるとなぜだかウキウキす

      • 春風

        「ただいま~」とのんきに言いながらリビングの扉を開けると そこには先日受けた検査結果の用紙と今にも泣きそうな顔をした彼氏が立っていた。 内心「しまった…」と思ったが、何食わぬ顔で今日の晩御飯はなにかと問う 彼は何も言わない。 「ごめんね、あなたと悲しい気持ちでお別れしたく無かったから」 私のその返答で”悪い夢”や”ドッキリ”という可能性が絶たれてしまい、私より顔色が悪くなっている。 「いつから?」 彼が寂しそうな声で聞いてきた 「2ヶ月前とか?検査したのは最近だけどね

        • 週末のきみ

          今日は黒のレースワンピース、ワインレッドの口紅、はかなげに揺れる水滴のようなイヤリング。 週末、仕事が終わると私は家とは逆方向の電車に乗りその男のもとに向かう。 男はいつものように待ち合わせ駅に遅れてやってくる。 そしていつものように「おなかすいてる?」と私に問う。 そして私の答えを待つことなく店に向かう。 店につくと男はメニュー表を見てから私の姿を見ていつものように「今日は素敵なイヤリングをしているね」と私の身に着けているアクセサリーやメイクをほめてから、店員に「生1つと

        • 固定された記事

        Lilyの自分語り

          いきかた

          この世界も随分と住みにくいものになった。 どこへ行くにもマスクをして、大きな声を出せば嫌な顔をされる どのニュースを見ても、感染者数を知らせるアナウンサーの険しい顔が映る この国にある日舞い降りたウイルスは一瞬にして人々の生活を蝕んでいった そのウイルスへの明確な対策はなく、マスクやアルコール消毒など一般的な対策から詐欺商品が出てくるようにもなった。 数か月を経てワクチンが開発され感染拡大の脅威もおさまり 人々はそのウイルスを風邪のようなものだと、今まで熱心に行っていた予防

          いきかた

          彼の奏でる音

          彼とは音声配信アプリで出会った。 彼はライブ配信でよくギターを弾いていた。 エレキの音は、寝落ちには少し不釣り合いだったが 気分が下がった時に聞いていると不思議と心のざわつきが消えている。 第一印象は、ロックとかそっち系が似合いそうで 友達が多くておしゃべりが好きな 私とは正反対の性格で気は合わないと思っていた。 彼は初めて会った時から私のことが気になっていたのだろう。 これは私のうぬぼれではない、と信じたい… ラインを交換してから引くほど連絡をしてきた。 少しうざかった

          彼の奏でる音

          夢を夢のまま

          小さい頃の夢って何? 私は漫画家になることが夢だった。 それが叶わないことだと分かったのは中学生の頃だった。 美術の時間に評価されるのはいつも私以外の誰か その時、私には才能がないのだと確信した。 高校になってもしたいこともみつからず適当に生活していた。 毎日部活と勉強を続けていた。 私が唯一没頭していたのは読書。 図書室で勉強をし、息抜きで小説を読んでいた。 私だけの世界に没頭して、虚空の中でひとり。 その虚空を破ったのは一人の教師だった。 「何を読んでいるの?」

          夢を夢のまま

          ホットミルク

          なんだか今日は眠れない。 隣ですやすや眠る彼に気づかれないように 明日の会議で話すことを考えていると 彼が急に毛布をめくる。 「どうした?」と私が聞くと 「ちょっとこっち来て」という。 起こしちゃったかな?と不安になってる横で 牛乳を入れた小さなお鍋を火にかけ出した。 「緊張して寝れないのかなと思って」そう言って ホットミルクを作ってくれた。 彼の作るホットミルクは甘くて優しい味がする。 「なんで私が緊張してるってわかったの?」 と問いかけると彼は「そんなの決まってるだろ

          ホットミルク

          朝が来る

          もう23時か… 明日は仕事だから早く寝ないと アラームはいつも通り6時にかけ 睡眠薬を飲みベットに入る。 いつからだろう、朝が来るのが怖いと思ったのは。 高校を卒業してすぐに就職した 初めの頃は新しい環境に戸惑いながらも 新生活を楽しんでいた。 社会人1年目で同期は退職し、この会社に年の近い人はいなくなった。 理不尽に怒られ、気軽に話をできる人もいない 環境に身を置いていると だんだん私個人の感情や気持ちというものは消えっていった。 その頃から、家に帰ると消えていた感情

          朝が来る

          残るは私ひとり

          あぁだめだ。 気を張っていないと心がボロボロと崩れそうになる。 心配してくれた人間に冷めた態度をとってしまったいま、ひとりでどうこの気持ちを落ち着かせればいいか分からない。 自分勝手な私を心配してくれる人間なんてもういない。 私を落ち着かせられるのはもう私しかいないのに… 己の無力さに愚かさに心は蝕まれる。 心は刻一刻と崩れはじめている。 あぁこの心が崩れるのも時間の問題… ぼやける視界にはもう誰もいない。 この部屋には後悔とひとりぼっちの私がいるだけだった。 私は自分

          残るは私ひとり

          化け物

          私が彼に初めて抱いた感情は『嫉妬』だった その次に来たのは『劣等感』 『安心感』や『幸せ』という感情は 彼とすごす時間が増えて初めて芽生えた コミュニケーション能力が高くて友達が多い彼 私は反対に話すのが苦手で友達も少ない。 そんな彼を見て嫉妬した。 仕事もできて、優しい彼に劣等感を抱いた。 そんな負の感情に囚われている私を 好きだと言うのだから驚いた。 10も下のガキに落ち着いていて大人だと言う。 どうやら彼の頭のネジは一本外れているらしい。 彼と過ごす時間が増えて年上

          化け物

          店主と猫

          商店街の隅には昔ながらの駄菓子屋 そこにあるベンチがあたしの定位置 野良猫だったあたしを拾ったのがここの店主 傷だらけのあたしを見て「困ったもんだ」と呟いて お店の中に入れてくれた。 店主は「傷が治るまで、傷が治るまでだからな」 と言って猫缶と水をくれた。 結局、ここの看板ネコとして飼われた。 前までは店主の顔が怖くて客もあまり来なかったけど、あたしが来てからは人が来るようになった。 日向ぼっこをしていると子供があたしをなでに来る そんなあたしに「お前は招き猫だな」と言

          店主と猫

          傷心旅行

          一人旅はいつぶりか… 彼氏ができる前までは誕生日に必ず有給を取って温泉旅行に行っていた。 彼氏ができてからは2人の休みが重なった時に 旅行に行ってのんびりするようにしてた。 初めこそはお互い頭の中は仕事ばかりで会うたびに どちらかが仕事の話をしだして必ず喧嘩になってた。 半年の記念日にお互いに長い休みが取れたら温泉旅行に行って仕事の話をしないようにしようと言う約束をした。 それからは、喧嘩も減って穏やかな関係になっていた。 恋愛も仕事も順調に進んでいた。 そんなある日

          傷心旅行

          ママのジャム

          朝、キッチンにはしかめっつらをしたママが 果物と砂糖のたくさん入った お鍋をくるくるとかき混ぜていた。 年に数回ママはこうして、怖い顔をしながらジャムを作る。 最初こそは呑気に「ママの作るジャムおいし〜」 などと言っていたけど。 そんな時パパはジャム作りをするママを見て 申し訳なさそうにする。 次の日は決まってママの作ったジャムをパンに たっぷり塗ってママに「この前はごめんね」という ママはその言葉に「分かればいいのよ」と嬉しそうな顔をして言う。 その光景を何度か見て2人

          ママのジャム

          僕と彼女、それぞれの道

          「大丈夫?」それが彼女の口癖だった。 自分が一番大丈夫じゃないくせに、人の心配ばかりする。 彼女がうつ病だと知った時「あぁ、やっぱり…」と確信した。 時々、仕事帰りに泣きながら電話をしてくる時があった。何が原因か分からないらしい、あぁ厄介だなと思いつつも彼女の悲しい姿は見たくないからサポートをしていた。 僕はストレスには強い方だ、発散するのも上手い。 うつ病と無縁な僕は彼女を理解しようと、沢山の本を読んだ。本を参考にサポートを続けた。 しかし治るどころか症状は悪化していった

          僕と彼女、それぞれの道