化け物

私が彼に初めて抱いた感情は『嫉妬』だった
その次に来たのは『劣等感』
『安心感』や『幸せ』という感情は
彼とすごす時間が増えて初めて芽生えた
コミュニケーション能力が高くて友達が多い彼
私は反対に話すのが苦手で友達も少ない。
そんな彼を見て嫉妬した。
仕事もできて、優しい彼に劣等感を抱いた。

そんな負の感情に囚われている私を
好きだと言うのだから驚いた。
10も下のガキに落ち着いていて大人だと言う。
どうやら彼の頭のネジは一本外れているらしい。

彼と過ごす時間が増えて年上の包容力というやつに負けて付き合った。
付き合ってからもその嫉妬や劣等感は消えない。

自分には無い行動力でコミュニティをひろげ
気づけば仕事の連絡をしている彼を見て
劣等感を抱いた。

彼は忙しいのによく私の家に来て
ご飯を作ってくれたり、不安定な私のそばにいてくれた。
そんな彼と一緒にいてとても安心した、とても幸せだった。
だが、一緒にいる時も仕事の連絡をしている彼を見ていると
私は彼の負担になっているんじゃないのかと不安になった。

そんな私に「俺が一緒にいたいだけから、負担なんかじゃないよ」という。

私より大人な彼に嫉妬して、そんな優しい彼を独り占めしたいと思うようになっている。
束縛というのは嫌われる。
今は平常心を装って、ひとりでも歩ける姿を見せているが、私の中にいる『不安』が『束縛』という
化け物に姿を変えるのもそう遠くない未来だ。

化け物に姿を変える前に、私は彼に追いつかなければならない。
嫌われるくらいなら、いっそのこと出会わなければ
よかった。

こんな感情を抱いて
ここに書き記す私はもう立派な化け物かもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?