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【南米 自転車放浪記】№2 正しく怖がるのは大事だけど、ビビってはいけない

こんにちは。長野県茅野市の工務店エルハウスです。
エルハウスには、20代の頃、自転車でアフリカや南米を旅してしたメンバーがいます。このメンバーが、自転車で南米を放浪していた頃のお話をご紹介していきます。

ヘッダー画像は、ブエノスアイレスの日曜日。
露店がずらりと並んで本当に素敵です。

前回は国際空港から、首都ブエノスアイレスに、高速道路を自転車で爆走しました。

それにしても、言語が通じないっていうのは、当時は本当につらかったです。一番最初、水が買えただけでも随分と感動したものです。

生きていて、水を買って感動するってないでしょう。
人間、一週間くらい食べなくても全く問題なく生きていけます。でも、水なしでは3日さえ怪しいんです。

生まれて初めての海外。
そして、英語は通じません。

「アグア・ポルファボール」
英語だとPlease waterですね。

いやー、厳しいですよね。
英語だと水はWaterくらい分かりますけど、スペイン語で水って分からないんですよ。さすがにそこは勉強してから行きました。

100くらい単語を知っているだけで、そこそこやりとりは出来ます。

水を買うには、このアグアっていう単語も必要ですし。
何より水を買える場所が分からないといけないわけです。
日本なら自販機もありますし、コンビニもあります。

この点、アルゼンチンは便利で、日本の駅のキヨスクみたいな感じの、「キヨスコ」というお店があります。キヨスクと同じような形式で、違うのは防犯のために鉄格子があるくらい。

商品を指示すれば買えます。
そう、指示するには、言葉が分からないといけないのです。

「アグア・ポルファボール」
と言って、おばちゃんが本当にミネラルウォーターを売ってくれた時には感動しました。

誇張ではなくて、「水さえ買えれば、ひとまず何とか生きていけるぞ」って感動したものです。

旅費を稼ぐために働いていた「ペンキ屋さんの作業着」のまま飛行機に乗った私

さて、水も買えて、何とかかんとか宿に着きまして。

アルゼンチンなどの南米諸国には、日本人だけ泊まれる「日本人宿」というのがあります。金額も安いですし、日本人がいるので、何かと助かります。
私がアルゼンチンで泊まったのもそんな日本人宿でした。

Tさんという人が、管理人をしていました。
そういう宿では、ぶらぶらしている旅人なんかが住み込みでバイトしていたりしたものです。(今は時代が違うかもしれませんが)

Tさんは40も過ぎていて、The旅人の雰囲気の人でした。
「いやー、君、自転車か。アラスカから?」
「いや、さっきアルゼンチンに着きました!」
「アルゼンチンスタートって珍しいね」
「海外旅行初めてなんでいろいろ教えて下さい!」
「え・・・」

なぜ私は、ペンキだらけの汚い服をきていたのか

そんなやり取りをTさんとしたなー、と今でも覚えています。
Tさんが、アラスカからの旅人と思ったのは、僕の服装は、ペンキだらけの汚い服だったんですね。

というのも、南米は治安が良くないので、キレイな服を着ていたら襲われると思っていたので、旅費を稼ぐために働いていた「ペンキ屋さんの作業着」のまま飛行機に乗って来ていたので、とにかく汚かったんです(笑)

あとは南米っていうのは日本から遠いですし、英語も通じない上に、治安もあまり良くないということで、自転車でいきなり南米に来る旅人は少ないんです。

今考えると、Tさんは、
「この青年、頭いかれてるんだな」
としみじみ思ったんでしょうね(笑)

「そっか、じゃあさ、ビール飲むかい? ビールでも買いに行って、買い物の仕方でも覚えるか」
Tさんはそう言って、空き瓶と小銭を持つように指示しました。

「道の真ん中を堂々と歩くこと」
「キョロキョロしないこと」
「貧乏な国だとメガネをかけている=金持ちってことで襲われる率が上がるから、持っているならサングラスをかけた方が良い」

Tさんは笑いながら、そんなことを教えてくれました。
それでも、今でも、僕は海外に行く時には、その辺りは注意しています。

そう、一人きりで初めて南米とかに行くとね、道を歩くだけでも怖いものなんですよ。

Tさんと近くの商店に行き、ビールを買います。
「もし持っていればだけど、ビンを持っていくと安く買えるよ」
「ビールはセルベサ、ワインはビノ、赤がティント、白がブランコ、それだけ知っていればやっていけるでしょ」

ふたりで昼からぶらぶらとセルベサ買って、宿に戻って飲みました。

「Tさん、お酒以外のスペイン語とかって覚えないと厳しいですかね?」
「数字くらいは知っていても良いかもね」
「塩とか砂糖とか食の材料とかは?」
「そんなの指差せば何とかなるよ」
「でも、塩と砂糖って見た目じゃ分からないじゃないですか」
「そこが分からなくて買えないなら駄目でしょ。そんなもん、言葉分からなくたって何とか出来ないと。南米を自転車で走るのは難しいんじゃない? オレは自転車のことは分からないけどさ」

Tさんとの記憶は、随分と昔のことなので、実は曖昧な部分も多いんですが。
最初の町でTさんに会えて、本当に良かったなと今でも思います。

まあ、真実ですよね。
言葉をいくら覚えたって駄目なんですよ。

・言葉が分からなくたって、塩と砂糖くらい何とか手に入れられて「ビンを持っていったらビールを安く買える」ということを知っておくこと。
・セルベサ、ビノを愛すること。

そんなことの方がよっぽど旅の力であり、生きる力、人生を楽しむパワーなんでしょう。

到着してしばらくは、そんな具合でセルベサをたしなんだり散歩したり。
Tさんの大好きなボカ(アルゼンチンのサッカーチーム)の試合を観についていってみたり。(ゴール裏はスラムっていうのは聞いていましたが、まあ、本当に近付けませんね笑)

とにかく、もう出発するのが怖くなっちゃったんですね。
勢いで飛行機に乗ったまでは良いけれど、初めての海外って。
海外ってゴミとか落ちてるんですよ。

なんかね、日本って、仮に100万円素手で持っていても、襲われないでしょう。
海外ってやっぱり大金を持って歩くのは怖いですし。
大金を持たなくたって、突然、ガツンとやられる可能性だって怖い。
そんな雰囲気があるわけです。

「怖い」のと「ビビる」のは違うぜ

もう、怖いし、3ヶ月後の帰国のフライトまで、ブエノスアイレスでダラダラしたって良いんじゃないかな、って本気で思うわけです。

セルベサと散歩の日々を一週間くらいしたある日、
「で、君、出発しないの?」
とTさんに言われます。

「いや、まだ怖いんですよ。やっとセルベサも買いに行けるようになりましたけど。もうちょっとスペイン語も覚えてから出ようかな、って。Tさんは海外にいて怖いとかないんですか?」

Tさんはやれやれといった表情で、
「いや、今でも、怖い部分は怖いよ。でも、怖いのとビビるのは違うぜ
と言いました。

「怖がるのを忘れると、やっぱり襲われたりするよ。慣れてきて、調子に乗った頃にやられちゃうんだよ。オレも調子に乗ってスラムとかに買い物に行ったりして、後ろから羽交い締めにされたことなんかあるよ」
「え、そういうときってどうするんですか」
「後ろは振り向かずに、後ろ手で金を渡すだけ。下手に抵抗しちゃ駄目。だから、怖がる。危ないところには行かないっていうのは大事」

でもね、びびるのは意味がないよね。びびって何もしないと、危ないか安全かも分からない。そもそも、危ないのが嫌なら、日本から出なかったら良いしね」
セルベサを飲みながらTさんは言いました。

「まあ、そう言いつつ、オレはずっとブエノスアイレスでだらだらしてるんだけどね。今シーズンのサッカーが終わったらそろそろ出るかな」

そんなこんなでやっと勇気を振り絞ってブエノスアイレスを出発することを決意しました。

正しく怖がるのは大事だけど、ビビってはいけない

知識(スペイン語)を覚えるよりも、もっと大事な部分がある。

今の日々にも通じるものがあるな、と改めて思いつつ。

ブエノスアイレスを出発するって、普通の青年だった福田が、海外を自転車で旅する男になる本当の第一歩だったな、と改めて思い出しました。
また、ブエノスアイレス、行きたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。よかったら「スキ」も押してくれると嬉しいです🎶

追伸

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