李鍼灸院.net

大阪の南森町にある小さな鍼灸院です。 https://sites.google.com…

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大阪の南森町にある小さな鍼灸院です。 https://sites.google.com/view/leeacu9981

マガジン

  • 慢性疼痛は治そうと頑張るな

    慢性の腰や膝の痛みへの治療法まだまだエビデンスが確立したものは少ないです。闇雲に治そうと頑張るよりもまずは慢性の疼痛に対する理解を深めていくほうが痛みに対する認知や感情に働きかけるほうがメリットが大きいのです。

  • ストレス学説関連

  • 心理学お勉強

    心理学を勉強してます。

  • 東洋医学関連

  • レジリエンス研究関連

最近の記事

トリガーポイント治療

たとえば肩や腰の痛みなどで、痛みはあるものの、画像診断や血液検査で異常がみられない場合、「筋・筋膜性痛症候群」(MPS)という捉え方はとても便利です。 筋肉の硬結、トリガーポイントをターゲットにするアプローチが功を奏することが結構あります。 以前勤めていた整形外科クリニックでのエピソードです。 「肩こり」を耳にはすれど何なのかがわからない、長年にわたる頭痛に悩まれていた方が、あるドクターに肩こりからきてるのでは?といわれ、紹介でいらして私が施術で担当したのですが、「そこそこ!

    • ストレスと痛みの関係

      適度なストレスは、ほどよく交感神経を高めてくれて自律神経を適切な状態にしてくれるます(膝痛の方で、思い切ってえいやっ!と外に出ると案外痛みがましで歩けたというエピソードなど)。 しかし過度なストレス、疲労やイライラ、怒りなどは交感神経が度を越して亢進し、痛みを余計に増強させてしまいます。 また、痛みはなかなか目に見えづらく、理解してもらえないと感じる方も多いように思います。 慢性疼痛の当事者のストレスはもちろんのことですが、ご家族にとってもそれはストレスで、より良いコミュニケ

      • 慢性の痛みは原因を探るな

        「なんで膝こんなに痛いんやろ、先生なんで?」 「なんででしょうね」 物事が起こっている原因を探索することは、とても正しい態度ではある。しかし、ことのほか慢性の痛みに関してはあまり役に立たない。 なぜなら 慢性疼痛の原因はわからないからだ。 わからないというか、複合的で集学的なアプローチがすすめられているのだ。 もっといえば、原因を探しすぎて、頭のなかが不合理な考えでいっぱいになり、ストレスのせいで余計に痛みが増していることも稀ではない。 探すのをやめたとき〜見つかることはよ

        • 問いかけの妙

          少し憂鬱そうな顔をした患者のJさん 「何でやろ何が原因やろ」 症状の原因探しからいつも話しがはじまる。 「そうやね一体何でやろうね」 「そや、先生、あの病院に検査いってみようかと思うわ」 「Jさんもうそれ3件目やで、ドクターはみな問題ないっていってるけど」 「うーん何が原因やろあのときの事故のせいかぶつぶつ」 もちろん症状にうまく原因(病名)がわかって安心して症状が好転してゆく事もたくさんあるがJさんの場合はどこかグルグルと同じところをまわってどんどん絡まっていってるような印

        トリガーポイント治療

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        • 慢性疼痛は治そうと頑張るな
          2本
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        • 統計関連
          1本

        記事

          慢性疼痛と白黒思考

          低気圧のせいか患者さんの関節痛の経過があまり良くない。 気分も沈みがちで治療家も一緒に落ち込んだりする。 「このままどんどん悪くなるんや」 「絶対もう治らへん」 そんな言葉が飛び出てくる。 まるで不吉な予言者のようだ。 そんな時は僕も「やはりだめか」とついつられて患者さんの魔法にかかってしまう事がよくある。どこかそんなMoodになってくるのだ。ここでMood、気分といったが、気分が痛みを修飾する事もある。 慢性疼痛の方が2次的に抑うつになり破局的思考をもつ事でさらなる痛みの悪

          慢性疼痛と白黒思考

          傷と心

          19世紀に見つかったスペインのアルタミラ洞窟の壁に描かれた動物壁画は 旧石器時代の人間(クロマニヨン人)による最古の芸術作品と紹介されているが 「心」が自然から分離した瞬間、もっといえば「心」がはじめて生まれた瞬間を留めていると考えれば感慨深い。 母なる自然と一体であり未分化な状態から 大ジャンプ。 いつどのように亀裂や分かれ目が生じたのだろうか。 彼らは外に、外部に、出た旧石器時代の英雄達であり同時に楽園、エデンからの追放でもある。 偉大なビッグバンのように生じた「心」や「

          ならばここに花を植えよう

          わたしは わたしの人生から 出ていくことはできない ならば ここに 花を植えよう これは詩人の工藤直子さんの「花」という作品です。 読む人それぞれに色々な思いがわくような素敵な詩だと思います。 「わたしの人生から出てゆくことはできない」 という詩の中の人の心は 受け入れがたい事象、逃げたくなる事柄から決して目をそらせていない ように思えます。 「わたしの人生」にはもちろん良いことも悲しいこともあるでしょうし 後天的に能動的に変化させてゆこともできれば、反対に先天的であり

          ならばここに花を植えよう

          心身医学会

          昨日は2023年度の日本心身医学会近畿地方会にオンライン参加させていただきました。 私はまだ心理系大学院の学生からの立場ですが、クライエントと医師(心療内科・総合医)と心理師についての関係が医師の方からや心理師の方からのディスカッションを通じて実際の現場の空気感みたいなことも知ることができ大いに勉強になりました。 心理職の働き方は他分野にまたがっていますが医療の分野は一つの大きな活躍の場だと思います。 また医療でも心身医療の分野は何か学べる、成長できる可能性を凄く感じます。

          JIRITUSINKEI

          簡単に「自律神経を整えましょう」なんて最近言葉にしにくい自分がいる。 なんだかわかったような気分になるのが嫌なのだ。 脈打つ心臓やぐるぐると鳴るお腹の内臓は窓の向こうの風にゆれる木々や散歩する猫と同じ「自然」だ。が、人間は言葉を持ちその自然の外にはみ出して「こころ」なんてものをもってしまった変な生き物で 今日では血圧計の観測された自分の内なる自然にぎょっとしたり喜んだりしている。 外部から観測した自然科学のもつ統計データーの普遍性にチューニングをあわせるこころの正しさもあるけ

          一を感じる

          「易」という字はトカゲの頭と手足を表していると言われていて、そのトカゲは色が刻々と変化するという。 そこから「易」の「経」である「易経」はその変化してゆく未来を予想する、運気を占うお経、書物と簡単にはいえそうだ。 一方「難経」という名前の鍼灸古典がある。これは難しい問題(病を良くするために知るべき)への問と解答というふうに私はずっと考えてたのだけれど たまたま寺澤捷年さんの論文を読んでいて 「難経」の「難」はむずかしいではなく 「変わらない」「不易」という意味があるという

          謹賀新年2023

          皆様のおかげで新しい年をまた無事に迎えることができました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

          謹賀新年2023

          足底筋膜炎の良くしかた

          患者さんからの質問メール。 「足の踵の裏あたりが痛いので自分で良くするにはどうしたら良いでしょうか?」 とのこと。 セルフケアを目指してらしてとても素晴らしいです。 足の裏のトラブルは色々ありますね。 まずは整形外科的な理解から 足の裏には足底腱膜という腱膜があります。 足底筋膜は足の指の骨から踵にむかい足のアーチを形成してクッションの役割をしています。 クッションの役割をしているためスポーツやランニング、負担を過度にかけすぎると炎症を引き起こして痛みが生じたり

          足底筋膜炎の良くしかた

          慢性の痛みは治そうとがんばりすぎるな

          痛みには簡単にいうと急性痛と慢性痛があります。 急性の痛みは治りますが、慢性の痛みは治りません というといいすぎかもしれませんが 「慢性疼痛」というのは医学的にもよくわからないことが多く はっきりと治療法が確立していないのです。 いわゆるぎっくり腰などは急性の痛みとよべ鍼灸をすることで早く治りますが慢性の腰痛やひざ痛はどれくらいで良くなるかも、そもそも治癒、痛みがゼロになるかどうかも医学的にもはっきりしていません。(慢性疼痛へのたくさんのアプローチはありますが確かなエビデンス

          慢性の痛みは治そうとがんばりすぎるな

          気の不足

          やる気が出ない、だるいといった言葉は日常によく耳しますね。 東洋医学的に言うとそれは「気虚」という証、見立てをたてるキーワードとなります。 他にも風邪をひきやすかったりとか、下痢しやすい、すぐねむくなるなどいくつかの項目にあてはまればその方は立派な「気虚」の証で漢方薬でいえば四君子湯の人参のイメージやツボでいえば足の三里やお腹の中脘という経穴が私には浮かんだりします。 ちょうど二学期の始業式がはじまるころですが、大人だけでなく、学校に朝起きていくのが辛いお子さんなどもこの「気

          時間と構造

          時間的な構造を比較的緩やかにしてなるべく柔軟に鍼灸治療をしている。 そうすると治療時間が長くかかってしまったり、短くなったり (大抵はながくなるケースが多い) もちろん鍼灸も立派な経済行為なので長くなった料金を請求すれば良いのだがなかなかそうもいかない。 「いつもありがとう!」といただく患者さんの育てた大根やプロッコリーで鍼灸院の家賃が払えたらなんて 新しい未来の経済システムを夢見る最近である。 (このところ鍼灸院の経営本よりも、クルミドコーヒーという喫茶店の店主の本が素晴ら

          暑熱順化

          汗がでるのは熱を冷やそう、上がりすぎた体温をさげようとする体の持つ天然のクーラーシステムなのだが、人により真夏でも涼しげに汗一つかかないひともいれば、滝のようにかくひともいる。 単純にそれだけの情報でもそのひとが熱証よりか寒証よりかがわかったりする。 気温の上昇に、からだがうまく対応できるようになり、暑さになれることで夏のからだへ一皮むけ、熱中症の予防ができるようになるのだが、その暑熱順化ができるまでにガタガタと何かしら調子が悪くなるケースに今はよく遭遇する。 「先生最近お腹