李鍼灸院.net

大阪の南森町にある小さな鍼灸院です。 https://sites.google.com…

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大阪の南森町にある小さな鍼灸院です。 https://sites.google.com/view/leeacu9981

マガジン

  • 慢性疼痛は治そうと頑張るな

    慢性の腰や膝の痛みへの治療法まだまだエビデンスが確立したものは少ないです。闇雲に治そうと頑張るよりもまずは慢性の疼痛に対する理解を深めていくほうが痛みに対する認知や感情に働きかけるほうがメリットが大きいのです。

  • ストレス学説関連

  • 心理学お勉強

    心理学を勉強してます。

  • 東洋医学関連

  • レジリエンス研究関連

最近の記事

気・イメージ・からだ

鍼灸師はみえてるのですか? のような問いかけをちょこちょこされたりしますが、答えに窮してしまい、あとで色々考えることがあります。 確かに、鍼灸で用いられるツボや経絡は筋肉や骨のように目に見えるものではなく、それを扱っている以上見えないものが見えていると、されてもおかしくないかもしれませんね。 このあたりは鍼灸師によって捉え方にばらつきがあるでしょう。 私の場合は縦と横にながれる経絡のイメージをはっきりもって、施術にあたっています。 言語を習得するようにどこかで「気のからたのイ

    • 傷と再生

      お灸というのはやはり良いな、と、たびたび感じることがあります。 (以前より無力感に打ちのめされていた患者さんが、せっせとセルフケアお灸を楽しそうにされている姿をみたときなどにそのように思いました) 特に鍼はなかなか難しいかもしれませんが(円皮針はおいといて)お灸はセルフケアが比較的容易だったりします。 ところで、一生懸命わたしが鍼をしたりストレッチをするのもよいですが、患者さんご本人がご自身で自分の体に触れ、感じ、つぼを探し、願いを込めてお灸に火をつけ、熱さを味わい、効

      • 気分と考えと行動と

        体の一部が痛むという経験は非常にありふれた日常的な出来事ですが、そのこと自体は楽しい気分にはならず、どちらかというと心配したりイライラしてしまったりして、気分が雨の前の天気のように、曇ってくるほうにいきやすいのではないでしょうか。 そうすると、その状態を改善しようと原因をさがしたり考えたり、薬を飲むなどして対処行動をとったり、予定をキャンセルしてじっと安静にする事を選んだりすると思います。 このように、痛みの経験は考えや気分、行動と様々なところまで影響を及ぼすことがわかり

        • こころの気づき・からだの気づき

          橋本敬三郎という方によってつくられた、操体法という、からだの痛みなどに対する治療法があります。 からだの収縮とリラックスを繰り返してゆくことで、不快な方向への動きがスムーズになってゆくというもので、気持ちの良い方に動いてゆく、というところがとても面白い療法です。 詳しくは調べていただくとして、この操体法、動きの快不快を感じてもらうところにフォーカスしてみると、案外わからないとおっしゃられる方や、逆に事細かく感覚を伝えてこられる方がいることに気づきます。 自分の体のいい感じ

        気・イメージ・からだ

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        • 慢性疼痛は治そうと頑張るな
          2本
        • ストレス学説関連
          2本
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          32本
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          4本
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        • 統計関連
          1本

        記事

          トリガーポイント治療

          たとえば肩や腰の痛みなどで、痛みはあるものの、画像診断や血液検査で異常がみられない場合、「筋・筋膜性痛症候群」(MPS)という捉え方はとても便利です。 筋肉の硬結、トリガーポイントをターゲットにするアプローチが功を奏することが結構あります。 以前勤めていた整形外科クリニックでのエピソードです。 「肩こり」を耳にはすれど何なのかがわからない、長年にわたる頭痛に悩まれていた方が、あるドクターに肩こりからきてるのでは?といわれ、紹介でいらして私が施術で担当したのですが、「そこそこ!

          トリガーポイント治療

          ストレスと痛みの関係

          適度なストレスは、ほどよく交感神経を高めてくれて自律神経を適切な状態にしてくれるます(膝痛の方で、思い切ってえいやっ!と外に出ると案外痛みがましで歩けたというエピソードなど)。 しかし過度なストレス、疲労やイライラ、怒りなどは交感神経が度を越して亢進し、痛みを余計に増強させてしまいます。 また、痛みはなかなか目に見えづらく、理解してもらえないと感じる方も多いように思います。 慢性疼痛の当事者のストレスはもちろんのことですが、ご家族にとってもそれはストレスで、より良いコミュニケ

          ストレスと痛みの関係

          慢性の痛みは原因を探るな

          「なんで膝こんなに痛いんやろ、先生なんで?」 「なんででしょうね」 物事が起こっている原因を探索することは、とても正しい態度ではある。しかし、ことのほか慢性の痛みに関してはあまり役に立たない。 なぜなら 慢性疼痛の原因はわからないからだ。 わからないというか、複合的で集学的なアプローチがすすめられているのだ。 もっといえば、原因を探しすぎて、頭のなかが不合理な考えでいっぱいになり、ストレスのせいで余計に痛みが増していることも稀ではない。 探すのをやめたとき〜見つかることはよ

          慢性の痛みは原因を探るな

          問いかけの妙

          少し憂鬱そうな顔をした患者のJさん 「何でやろ何が原因やろ」 症状の原因探しからいつも話しがはじまる。 「そうやね一体何でやろうね」 「そや、先生、あの病院に検査いってみようかと思うわ」 「Jさんもうそれ3件目やで、ドクターはみな問題ないっていってるけど」 「うーん何が原因やろあのときの事故のせいかぶつぶつ」 もちろん症状にうまく原因(病名)がわかって安心して症状が好転してゆく事もたくさんあるがJさんの場合はどこかグルグルと同じところをまわってどんどん絡まっていってるような印

          問いかけの妙

          慢性疼痛と白黒思考

          低気圧のせいか患者さんの関節痛の経過があまり良くない。 気分も沈みがちで治療家も一緒に落ち込んだりする。 「このままどんどん悪くなるんや」 「絶対もう治らへん」 そんな言葉が飛び出てくる。 まるで不吉な予言者のようだ。 そんな時は僕も「やはりだめか」とついつられて患者さんの魔法にかかってしまう事がよくある。どこかそんなMoodになってくるのだ。ここでMood、気分といったが、気分が痛みを修飾する事もある。 慢性疼痛の方が2次的に抑うつになり破局的思考をもつ事でさらなる痛みの悪

          慢性疼痛と白黒思考

          傷と心

          19世紀に見つかったスペインのアルタミラ洞窟の壁に描かれた動物壁画は 旧石器時代の人間(クロマニヨン人)による最古の芸術作品と紹介されているが 「心」が自然から分離した瞬間、もっといえば「心」がはじめて生まれた瞬間を留めていると考えれば感慨深い。 母なる自然と一体であり未分化な状態から 大ジャンプ。 いつどのように亀裂や分かれ目が生じたのだろうか。 彼らは外に、外部に、出た旧石器時代の英雄達であり同時に楽園、エデンからの追放でもある。 偉大なビッグバンのように生じた「心」や「

          ならばここに花を植えよう

          わたしは わたしの人生から 出ていくことはできない ならば ここに 花を植えよう これは詩人の工藤直子さんの「花」という作品です。 読む人それぞれに色々な思いがわくような素敵な詩だと思います。 「わたしの人生から出てゆくことはできない」 という詩の中の人の心は 受け入れがたい事象、逃げたくなる事柄から決して目をそらせていない ように思えます。 「わたしの人生」にはもちろん良いことも悲しいこともあるでしょうし 後天的に能動的に変化させてゆこともできれば、反対に先天的であり

          ならばここに花を植えよう

          心身医学会

          昨日は2023年度の日本心身医学会近畿地方会にオンライン参加させていただきました。 私はまだ心理系大学院の学生からの立場ですが、クライエントと医師(心療内科・総合医)と心理師についての関係が医師の方からや心理師の方からのディスカッションを通じて実際の現場の空気感みたいなことも知ることができ大いに勉強になりました。 心理職の働き方は他分野にまたがっていますが医療の分野は一つの大きな活躍の場だと思います。 また医療でも心身医療の分野は何か学べる、成長できる可能性を凄く感じます。

          JIRITUSINKEI

          簡単に「自律神経を整えましょう」なんて最近言葉にしにくい自分がいる。 なんだかわかったような気分になるのが嫌なのだ。 脈打つ心臓やぐるぐると鳴るお腹の内臓は窓の向こうの風にゆれる木々や散歩する猫と同じ「自然」だ。が、人間は言葉を持ちその自然の外にはみ出して「こころ」なんてものをもってしまった変な生き物で 今日では血圧計の観測された自分の内なる自然にぎょっとしたり喜んだりしている。 外部から観測した自然科学のもつ統計データーの普遍性にチューニングをあわせるこころの正しさもあるけ

          一を感じる

          「易」という字はトカゲの頭と手足を表していると言われていて、そのトカゲは色が刻々と変化するという。 そこから「易」の「経」である「易経」はその変化してゆく未来を予想する、運気を占うお経、書物と簡単にはいえそうだ。 一方「難経」という名前の鍼灸古典がある。これは難しい問題(病を良くするために知るべき)への問と解答というふうに私はずっと考えてたのだけれど たまたま寺澤捷年さんの論文を読んでいて 「難経」の「難」はむずかしいではなく 「変わらない」「不易」という意味があるという

          謹賀新年2023

          皆様のおかげで新しい年をまた無事に迎えることができました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

          謹賀新年2023

          足底筋膜炎の良くしかた

          患者さんからの質問メール。 「足の踵の裏あたりが痛いので自分で良くするにはどうしたら良いでしょうか?」 とのこと。 セルフケアを目指してらしてとても素晴らしいです。 足の裏のトラブルは色々ありますね。 まずは整形外科的な理解から 足の裏には足底腱膜という腱膜があります。 足底筋膜は足の指の骨から踵にむかい足のアーチを形成してクッションの役割をしています。 クッションの役割をしているためスポーツやランニング、負担を過度にかけすぎると炎症を引き起こして痛みが生じたり

          足底筋膜炎の良くしかた