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「無敵のチームビルディング」の築き方。フィリピン人英語講師が学んだ仕事術

今日は久しぶりにフィリピン人英語講師インタビューを書きます。いつもは先生のプライベートなことをきいていますが、今回は先生が働いているQQ Englishのほかの先生や生徒、チームビルディングのことについて聞いてみました。日本では忘年会スルーなんて言葉があるくらい「脱組織」感が強いのに、QQ Englishで働くフィリピン人の先生たちはかなり結束が強いようです。そのわけは?

教師としてのスキルを積みたかった

今日の先生は22歳の先生。6人兄弟の下から2番目で、QQ Englishをはじめてまもなく2年目を迎えるところです。すごくよくしゃべる先生で、とっても明るくて面白い。私はまだ直接話したのは2回くらいしかないけど、生徒からのレビューをみると、とても親切で丁寧に教えてくれる先生のようです。

先生がQQ Englishの仕事を選んだのは、なぜでしょうか?

「小学生のとき、先生が英語のスピーキング、リーディング、ライティングの仕方を教えてくれたんだよ。それで僕もその先生みたいに教師になりたいと思ったんだ。でも、成長して大学生になり、インターンシップなどでプリスクールや学校に行って、いろんなことを教えなければいけないのはとても大変。将来、僕は公立の学校で働きたいと思っているけど、今はいろんな職種を経験したいと思ってる。QQ Englishも英語教師としてのスキルを積もうと思って働いている。でも、QQ Englishの仕事はとても愛してる」

自分が活躍する場所を与えてくれた

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QQ Englishの仕事について、先生はどう思っているのでしょうか?

「QQ Englishは、僕にとって精神的にも物理的にも、とても大きな変化を与えてくれた。実をいうと、以前は英語は好きじゃなかったんだよ。なぜだろう……。前はこんなにおしゃべりじゃなかったんだ。それにオープンな性格でもなかった。でも、QQ Englishに入社してから、生徒やまわりの先生たちが自分にたくさんの機会を与えてくれて、それで僕自身も心を開くようになったんだ。それでとてもよく話すようになったよ。物質的にも、精神的にも、いろいろ助けてもらった

QQ Englishでは、LGBTの先生がたくさんいるけど、先生たちも生徒たちもみんな平等に接しているし、生徒は先生のことを尊敬していると、ほかの先生が話していました。たぶん、彼は、これまで自分をオープンにすることができなかったけど、QQ Englishに入社していろんな先生や生徒たちと接しているうちに「ここでは自分を偽ったり、隠したりしなくていいんだ」という気持ちになってきた。だからとても気持ちが楽になって英語を教えることに集中できたし、まわりの人たちに打ち解けることもできた。それに、雇用が不安定なことも多いフィリピンにおいては、QQ Englishは毎月必ず一定額の給料をもらえるため、家族への仕送りなどができるようになった、ということなんじゃないかと思います。

周年イベントは単なるパーティーではなく個々の才能を発揮する場

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次に、QQ Englishで一番印象に残っているできごとについて聞いてみました。

「ミスQQ Englishアンバサダーを決めたことかな」

QQ Englishでは、先生たちを対象に、毎年2回ほど大きなイベントを開催しています。社内向けイベントといっても、毎回1400人近い先生やスタッフが集まるので、かなり大がかりなものです。そこでは、先生たちが司会進行をつとめ、音楽や照明なども駆使して6時間から8時間くらいかけてショーを行います。

「あのイベントは、すごく意味のあるものなんだよ。普段先生たちは英語を教えているけど、英語を教える以外にもたくさんの才能を持っている。それぞれが持つ才能を発揮できるのがあのショーなんだ。僕らLGBTの人たちが活躍できる場でもある。2019年6月1日に行った10周年記念パーティーでは、LGBTの人も含めてファッションショーを行ったんだよ。僕も、あなたのメインティーチャーも、たくさんの人たちが参加し、活躍した」

私も6月と12月に、特別に見学させていただきましたが、クオリティはかなり高いです。毎回、会社で会場や食事などは用意するそうですが、何をどんな進行でやるかは、すべて先生たち独自で企画するそうです。司会進行、ダンスショー、スピーチ、楽器の演奏、記念撮影、打ち上げ花火、もろもろあります。司会進行も音響効果も舞台装置も衣装も、プロ並みというかプロ以上で、ほんとに毎回どこでその衣装を借りてきたんだろう!と思うようなものをお揃いで着ていたりするので、びっくりします。

日本では「忘年会スルー」という言葉が注目されていた去年の12月。セブ島では、先生たちが仕事が終わった後にダンスレッスンや衣装の打ち合わせ、出し物の相談などを自主的に続けていて、当日は1400人近い人が集まりパーティーを楽しんでいて、こんなにも違うものかと驚きました。


新入社員の先生はそれぞれのチームで全力サポート

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そもそもQQ Englishの先生たちは、チームビルディングの築き方がすごいんです。先生たちは朝と夕方、夜の勤務に分かれていて、それぞれの時間帯ごとで数人のグループにわかれ、授業が終わった後にみんなで集まってミーティングをしているのです。名前の呼び方はどうなっているのかわかりませんが、数名のチームがあり、それをまとめるスーパーバイザーの先生たちがいて、さらにそれをまとめるトレーナーの人がいて、という感じになって動いているようです。新しいカリキュラムが追加されたり、新入社員が入った時は、各チームごとで1人の先生を面倒みるため、サポート体制はかなりしっかりしていると思います。

また、よくチームでミーティングをしていたり、研修旅行に行くという話は、私も先生たちから聞きます。このチームワークについて、先生自身はどう感じているのでしょうか?

「チームの一員になれたことは、とても重要なことだよ。よくチームメンバーで集まって社外研修(という名の旅行)に行くんだけど、最初まだメンバー同士そんなに仲がよくなかったときがあったんだ。でも、研修のときにいろんなアクティビティを入れてコミュニケーションをとるようにしたら、みんな打ち解けて、すごくいいチームになったよ。僕が大学生のころ、リーダーとしていろんな活動をしたけど、その経験をいかしてその時の研修もチームがよくなるように働きかけたんだ」

ちなみに、この旅費は会社持ちだそうです。それぞれのチームがけっこう高い頻度で旅行に行っているような気がしますが、大丈夫でしょうか(笑)


チームの結束力の強さが生徒へのフィードバックにもつながっている

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この研修を通して、チームにどんな変化があったのでしょうか?

チームリーダーは、今どんな問題を抱えているのか、教え方、生徒への接し方などで改善するところはあるか、教え方、新しいアイデア、手伝ってほしいことなどについて聞き、それについていろいろ話したよ

ほかにも、中国の子どもの生徒(中国では子ども専用オンライン英会話を提供)についてもよく話すよ。親が英語を教えたいと思っても、まだ子どもが小さいと飽きてしまったり、言葉がわからなくて困る子もいるんだよ。子どもと大人は教え方が違う。どうしたら、子どもたちの興味を引き、高い結果を出せるのか。みんなでいろいろ話してるよ。これってすごく大事なことなんだよ」

QQ Englishでは、中国の子どもたちは2歳くらいからオンライン英会話を習い始めるというから、中国語も英語もわからない子どもを相手に教えるのはとっても大変なことだと思います。しかも、子どもはすぐにあきてしまうから、なかなか大変。そばにいたら、抱っこしたり、手遊びを一緒にやってあげられるけど、モニター超しだとそうもいなかい。英語で話しかけても子どもには伝わらないから、言葉も通じなくて大変。でも、英語の先生だからなんとか英語を教えないといけない。きっとものすごく大変だと思います。

先生たちは、私や6歳の次男に日本で話しかけてくれることもあるけど、それと同じように中国の小さな生徒には中国語でも話しかけているのでしょう。中国以外にも、韓国、ブラジル、スペインなど、いろんな国の生徒がいるから、挨拶を覚えるだけでも大変。語学学校で働いていたら、ポリグロット(複数の言語を操る人)になれそう!

子どもは英語を通して先生からたくさんのことを学ぶ

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子どもを持つ親の立場からすると、QQ Englishの先生たちは教育者として非常に優れていると思います。英語のスキルを教えるだけだったら、正直いってほめてやる気にさせるのがうまい人なら、ある程度のところまでは伸びると思います。そこから先は、実は先生がその生徒についてどれだけ興味関心を持てるかということが大切です。

もし、目の前の生徒のことをよくみていれば、その生徒が理解できたのかできていないのかわかるし、もしなかなか上達しないとしたら、その原因を先生自身も一緒に探し始めるはずです。そのときにまわりの先生たちのサポートというのは非常に大きいものとなるでしょう。仮に、担当してくれた先生自身の経験が浅かったとしても、しっかりと教えられるのはこういうチーム体制がしっかりしてるからなのです。

もっといえば、生徒は信頼できる先生がいてその先生にずっとついて教えてもらっていたら確実に伸びます。それはただ単に英語を教えてくれる先生というだけじゃなく、子どものこれからの生き方にとって、非常に大きな影響を与えることにもなります。


「先生みたいになりたい」その気持ちが学習意欲につながる

今回、お話してくれた先生が冒頭で「小学校のときに出会った先生がすばらしかったから、だから自分も教師を目指したんだ」と言っていました。これがまさにそうです。小学校時代の先生が一生懸命生徒のことを考えて接していたからこそ、子どもはその気持ちを受け取り「先生に褒められたい」一心で、勉強を頑張るのでしょう。

これについて、以前「花まる学習会」高濱正伸先生がご自身の体験をもとに語ってくれました。


1回たった25分の授業でも繰り返せば何万時間

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1回たった25分の授業ですが、同じ先生のクラスを受講すればそれだけ付き合いは長くなるし、関係性も深まります。子どもはこれから何十時間、何百時間も学んでいきます。ともに伴奏してくれる先生が必要です。その先生がどれだけ子どものこと、教育に関心を持っているかで、かなり違ってくると思います。

QQ Englishの先生たちは、そういう意味では非常にクオリティーとモチベーションが高いと思います。「教師になりたい」「英語教師としてやっていきたい」という気持ちもそうだし、これまで自分たちが苦労して大学まで進んだことで、今豊かな生活ができている。誇りをもって仕事をすることができる。自分自身にも自信を持てる。ただ単に英語を学ぶだけじゃなく、自分の人生を大きく切り開くことができる。そう考えている先生が非常に多いと思います。彼もそう考えるうちの一人なのでしょう。直接教えてくれる先生は1人だけ。でも、その後ろにものすごく多作さんの応援団がいると思うと、とても心強いですね。

ここで一言いうと、「能力を引き出してくれるのを待っているだけ」では無理です。自分から積極的に行動することが大事。それは英語をしっかりと学ぼうという意欲だったり、先生の言葉を集中して聞く姿勢だったり。まずは自分自身が先生について興味関心を持つこと。座って待っていても勉強は身に付きません。自ら能動的に動くことで、先生たちの教えるモチベーションが上がり、相乗効果で一番高い結果を出せるはずです。それは子どもであっても大人であっても同じ。

今日は、いろいろやっていたから15分くらいしかインタビューする時間がなかったため、チームビルディングを中心に聞きした。先生の個人的なお話までは聞けなかったので、次回改めて聞いてみようと思います。








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