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もしも生まれた国が違っていたら

「あなたの国では飢餓に苦しむ人たちはほとんどいないよね。いい国に生まれてよかったね」そう言ったのは、フィリピンに住むオンライン英会話の講師。2カ月前に受けたSDGsキッズコースであったフィリピンの子どもたちのことを思い出した。

毎日3回食べられる日本の子どもたち、1日1回の日もあるフィリピンの子ども

毎日受けているオンライン英会話QQ Englishのレッスン。今日選んだのは、SDGsコース。テーマは「ゼロハンガー(飢餓をゼロに)」。世界で起きている問題を17の目標にわけて、問題解決について考える内容となっている。今回のテーマ「ゼロハンガー」について話す前に、1個目の目標「貧困をなくそう」について、改めて考えてみた。

実は、2か月ほど前にSDGsキッズコースでグループレッスンがあった。そのとき1つ目の目標である「貧困をなくそう」について7歳の次男が受講した。レッスンには、講師のはからいでフィリピンの貧困世帯に住む9歳と10歳の男の子にもオンラインで参加してもらった。オンラインでのグループクラスに参加したのは、次男を含む日本の小学生5人と、フィリピンの子ども2人。先生がナビゲートしながら、お互いの国の状況や毎日の食事の回数、今の状況で幸せを感じるかについて話した。

そのとき、2人のフィリピンの男の子は、「ご飯は1日3回食べられるとは限らない。1日1食のときもある」と話していた。日本では、ほぼ全員が3食食べることができる。それどころか、食品ロスが問題になるくらい。このレッスンを通じて、改めて日本とフィリピン、自分たちが住む国の豊かさについて考えた。

それでもまだどこか遠いことのように感じていた食ロス問題。改めてかんがえなければいけないと感じたのは、長男が口にしたある一言がきっかけだった。

「毎日、大量の食品が廃棄されるのを見てる」

先月から飲食店でバイトをし始めた長男。バイト先の人はみんなとてもいい人ばかりで、仕事自体も楽しんでやっているよう。その中で長男が感じたのは、食品ロスのこと。

「毎日、えげつないくらいの量の食品を廃棄している。この量はさすがにやばいって」とのこと。長男が働く飲食店は、食品衛生の管理に非常に厳格。そのため安全なものを提供しなければいけないという意識は相当高いはず。そのために時間内に消費されなかったものは廃棄されることになるのだろうけど、その量がかなり多いのだそう。企業としても、お店の店長さんとしても、そのことを好んでやっているわけではないにしても、やはり食品衛生の面から考えて、お客さんに提供することはできない、との判断だということは十分に考えられる。ただ、果たしてそれは本当に廃棄しなければいけないものなのか。

まだ食べられるのに!国内の食品ロスは1年間で632万トン

私もこれまでフードロス問題について、いくつか取材し記事を書いてきた。そのため我が家では極力料理を多く作りすぎない、野菜を新鮮なうちに消費することを心がけてきた。けれど、まだまだフードロスは多く、とくに食品流通業界には「3分の1ルール」という独自ルールがあり、それが廃棄を増やすといわれている。

これは、加工食品の製造日から賞味期限までの期間を3分割し、「メーカーからお店への商品の納入期限は製造日から3分の1の時点まで」「お店での販売期限は、賞味期限の3分の2の時点まで」とするルール。つまり賞味期限の3分の2を過ぎた時点でお客さんには売れないから廃棄処分となってしまう。

日本でも有数なお金持ちエリア文京区で貧困問題に取り組むワケ

食品ロスが問題視される一方で、貧困世帯では十分な食品が買えず、発育がよくない子どもたちもいる。この問題を解決しようと始まったのが子ども食堂だったり、文京区が始めた貧困世帯への食品宅配サービス。

私は、文京区とNPO法人フローレンスなどが子どもの貧困問題解決のために「こども宅食」という食品配達サービスを行うことを知った。そしてライターとしてこの記者会見を取材し、記事にした。

話を聞いたとき「なぜ日本でも富裕層の多いエリアである文京区が始めるの?」と思ったことを記憶している。そこには文京区ならではの理由があったのだけれど。それも「こども宅食」という制度がはじまらなかったら、こんなに身近で問題が起きているとは気づかなかったと思う。この取り組みでは、食品会社とNPO法人、行政が一体になって活動しているため、食品ロス問題解決と貧困世帯への支援が同時にできる仕組みになっている。

余った給食は持ち帰りあり?なし?学校や家庭で考える食品ロス問題

もっと身近なところでいえば、学校の給食や自宅で出された食事を残さない、食品を多く買いすぎないようにこまめに買い物に行くなど、家庭でも取り組めることがたくさんある。

もしも生まれた国がインドの貧困地域だったら?

今回のテーマ、「ゼロハンガー」のテキストに書かれていたことは、インドでの飢餓について。テキストの一部では、次のように書かれていた。

「飢餓に苦しむ人々の数は世界中で増加しています。 インドでは2億人以上が飢えたままであり、子供たちの3分の1は栄養不足です。 FAOの報告によると、15〜49歳の女性の51.4%が貧血です。 インドでは、5歳未満の子供の34.7%が発育阻害で、そのうち20%が体重が身長に対して低すぎる低体重症であることを意味します。 貧困と戦争は、世界の飢餓の2つの主要な原因です」

5歳未満の子どもの34.7%が発育障害がある。もしも、今自分たち家族が住んでいるのが日本ではなくインドだったら? 長男も次男も、発育障害になっていたかもしれない。そう思うと、決して他人事ではない。冒頭に先生が語った「あなたの国では飢餓に苦しむ人たちはほとんどいないよね。いい国に生まれてよかったね」という言葉が刺さる。

2030年までのゼロハンガー達成目標。自分ができることは?

オンライン英会話の先生からは、ゼロハンガーに対して3つのSDGs達成目標について達成可能だと思うか、また達成させるためには何をしたらいいかと思うかと意見を聞かれた。

・2030年までに安全で栄養価の高い食品への普遍的なアクセスを実現する
・2030年までに、あらゆる形態の栄養失調を終わらせる
・2030年までに、小規模食品生産者の農業生産性と収入を2倍にする

これに対して私は、その場ではいいアイデアが思い浮かばず、「この問題についての知識があることは良いことだと思う。私たちはそれを解決する方法について、良いアイデアや提案をしなければいけない」と答えるのが精いっぱいだった。

しかし、直接ゼロハンガーにはつながらなかったとしても、国内の食品ロスの問題に対して関心を持つことはできる。家庭内で食品ロスについて話し合ったり、食べ残しを減らすこともできる。

また、長男にいたっては、大量の食品を廃棄する場面を直接廃棄する場面をみているため、それについてほかの兄弟たちに話してもらうこともできる。そうやって、少しずつ食品ロス、ゼロハンガーについて考えていくことが大切なのではないかと思う。

決して他人ごとにしない。自分事として考えて

前回、QQ English のSDGsコースで「絶対的貧困と相対的貧困」について受講した時、先生が「大切なのは他人ごとにしないこと。自分たちの問題として考えてください」といっていたことを思い出した。

QQ EnglishのSDGsコース「ゼロハンガー」は、1回で終わりではなく、まだあと2回ほど続くようです。このSDGsコースは、ただ現状を調べて理解するだけではなく、ちゃんと自分事化して、意見を言えるようにするところまで授業設計されている。しかも、大人だけではなく、不定期ではあるもののキッズコースも作り、子どものうちから世界で起きている問題に目を向け、考えていく機会を作っている。

オンライン英会話というと「ただ単に英語で会話してるだけ」と思われがちだけど、英語を通して何を学ぶのか、ということが大切。改めてそれを感じた時間だった。

SDGsに関することや、オンライン英会話について、感想や考えたことなどコメントいただけると嬉しいです!



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