マガジンのカバー画像

長編小説 ロング・キャトル・ドライヴ

27
連載小説   1890年代 アメリカを舞台に フェルディナンドとユーレク 少年二人の旅を描きます。
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

ロング・キャトル・ドライヴ  第七部 連載 1/3「猫と蹄音の夜」

ロング・キャトル・ドライヴ  第七部 連載 1/3「猫と蹄音の夜」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

これまでのあらすじ

第七部

アンディーが引鉄を引いた刹那__
疾風が駈け抜ける。

目にも止まらぬ速さで何かが通り抜けたのは
アンディーには白馬に見えたが
その姿は幻のように消えてしまった。

アンディーにとっては至近距離とも言える
絶好の機会にもかかわらず
初弾を外してしまった。

街は突然の銃声に驚いて
逃げ惑う人々でごった返し
その人混み

もっとみる
ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 4/4「蛇の目の刺客」

ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 4/4「蛇の目の刺客」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

これまでのあらすじ

「ジェイコブ・ロバーツ氏の逮捕について
連邦法第4条は適用されない。
事由:サザン・ベル溺死事故から30年以上
歳月が経過しており
本件の刑は時効に値する。」

とトーマスの元に電報が届いた。

それどころか
こちらの州保安局の連中も巨大な権力からの
報復を恐れてか捜査の追及が及び腰であった。

事件の鍵を握ると思われる遺留品

もっとみる
ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 3/4「忍び寄る影」

ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 3/4「忍び寄る影」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

これまでのあらすじ

玄関ホールに赴くと
スキンヘッドをした恰幅の良い中年男性が
屋敷の主の登場を待ち侘びていた。

「ようこそ!ブラウン局長。
本日はどのような件でお出ましなんだい?」

ジェイコブは端正な顔を綻ばせて応対する。

快活な笑顔からは白い歯を覗かせるが
目は少したりとて笑っていない。

保安局長のブラウンも
友好的な素振りを見せるよ

もっとみる
ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 2/4「甦ったフライング・ハイ」

ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載 2/4「甦ったフライング・ハイ」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

これまでのあらすじ

フェルディナンドとユーレクの少年二人が
ナッシュビルの街から出発した時に話は遡る。

ナッシュビル
デイヴィッドソン郡保安局にて__

トーマス・オーウェンは
長年に渡り腑に落ちなかったことがあった。

30年前のサザン・ベル溺死事故である。

当時、ソフィアの供述や病院内の目撃者も居り
その真相については
ヒューゴなる人物が

もっとみる
ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載1/4 「狙撃」

ロング・キャトル・ドライヴ  第六部 連載1/4 「狙撃」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

これまでのあらすじ

第六部

俺とユーレクがナッシュビルの街を離れてから
一週間が経つ。

双子姉妹を巡る不思議な縁に導かれて
俺たちはヒューゴの遺骨を
ガットリンバーグの地下に眠っている
双子姉妹の下へと届けようとしている。

目的地ツーソンと逆方向に進路を取りながら
俺たちはそれぞれの運命を噛み締めるように
東へと歩みを進める。

思えば

もっとみる