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国語嫌いな日本人にどうか見てほしい!感動せざるを得ない国語授業3選

皆さん、今日もお仕事、お疲れ様です😌

そして、共育LIBRARYにいらっしゃいませ。

どうぞ、リラックスし、ゆっくり楽しんでいってください😊

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


筆者は10年間小学校教員を務めていました。

小学校は全科ですので、基本的に全ての教科を行わなければいけません。

ただ、一応専門はあります。
筆者は国語科が専門であり、中学校の国語免許も持っています。

「国語」と聞くと、

「国語は苦手だな~」

「答えがないからよく分からないんだよねー」

と思う方も多いのではないでしょうか。

小学生たちも、「国語」と聞くと

「え~」

とテンションだだ下がりな声が出てくるクラスも多いです。

かくいう筆者も、学生時代は国語の授業を特に面白いと思ったことはありませんし、面白みがない授業の場合は、体の覚醒が追いつかず、寝ていることがほとんどでした。

ただ、

「学生時代に感じていたような、自分がワクワクしない授業はしたくない!」

という思いの元、全国の様々な研修に参加した筆者は

「国語って何て面白いんだ!!」

と国語の面白さに目覚めていきました。

この記事は、ニーズはあまりないかもしれません。

しかし!「どうか、ほんの一部でも国語、ひいては日本人の素晴らしさを知ってほしい」という思いから、この記事を書くことにしました。

「どうですか?面白くないですか??」

という筆者のごり押し感がどうしても出てしまうかもしれませんが笑、どうかほんのちょっとだけでも足を止めて見ていただけないでしょうか。

なんか怪しいセールスみたいになってしまいましたね笑

とにかく、この記事では、筆者が心から感動した授業を3つに絞って紹介していきます。

お付き合いいただける方は、是非、楽しんでいってください。


厳選授業❶「いにしへの奈良の都の~」

始めに紹介したいのは、万葉集や百人一首の中にある短歌の授業です。

「おいおいおい!いきなり短歌とかテンション下がるぜ!」

「古文とか難しいやつやん!」

と思われた方も、お待ちください!笑

筆者も古文は嫌いでしたが、この授業の面白さにはスタンディングオベーションを思わずしてしまいそうになったのですから、きっと大丈夫です!

(大袈裟すぎるかな・・・?笑)

中心部分だけ抜き出しますので、授業の山場だけを紹介します。


この授業は「掛詞」を1つの軸にして進めていきます。

掛詞は「きせき」と表記することにより、
「奇跡」と「軌跡」の2つの意味をもたせるようにするいわゆる言葉遊びの一種です。

掛詞を探す練習を幾つかの短歌で行い、本題に入ります。

以下の短歌です。

「いにしえの ならのみやこの やえざくら きょうこころのへに においぬるかな」と読みます。

八重桜は写真のような桜。
「にほひぬるかな」は「美しく咲き誇っている」という状態を示しています。

ここから掛詞を探してみます。

「けふ(きょう)」の言葉は、

「この日」を意味する「今日」と、
当時の平安京の都である京都の「京」

の2つの意味をもっています。

そして、よく照らし合わせてみると、この

「今日」は古代を示す「いにしへ(え)」と、

京都の「京」は「奈良」と

対になっている
のです。

そして、実はもう1つ掛詞が隠れています。

この「九重(こころのへ)」は「八重桜」の「八重」と対になっている上に、

「九重」は「きゅうじゅう」と読むことができ、それが「宮中(きゅうちゅう)」を意味する掛詞にもなっているのです。

この短歌の意味は以下のようになります。

平安時代ですから、1000年~1200年前。

その時代に、わずか31音の中にこれだけの技を埋め込むだけの感性が日本人にはあったのです。

万葉集や短歌のことなどちんぷんかんぷんだった当時の筆者でも、「これは何だかすごいものを見た気がする」と思わず胸の高鳴りを覚えたのでした。

どうでしょうか?
なんだかわくわくしてきませんか?笑

まあ、暑苦しい筆者の語りは置いておき、次の授業に行きたいと思います。


厳選授業❷「名月や池をめぐりて~」

これは、結構有名な松尾芭蕉の俳句です。

「いやいや俳句とか読むだけでしょ?」
「月の美しさを詠んだ句なんでしょ?」

と思われた方、聞いてください笑

筆者も最初は、

「俳句なんてどうやって授業すればいいんじゃ!」

と思っていましたが、やはり著名な俳諧は、世に名前を知らしめただけの理由があるのです。

授業では、発問という子どもに投げかける質問を行いながら進行していきますので、それを入れながら進めてみようと思います。

アレルギー反応がない方は、よかったら考えてみてください笑

俳句には「季語」がありますから、まず季節を考えます。

これは「名月」があるので、秋です。

池、名月は絶対出てくるでしょう。

そして、人によって分かれるのが「人間がいる」という主張です。

このような俳句の解釈が人によって分かれる場合は、絵にしてみると違いがよく分かります。

例えば、

Aは「月が池をめぐっている」図。
Bは「池を人がめぐっている」図。
Cは「人があちこちの池をめぐっている」図

などが出てきます。

これは「めぐる」という言葉の捉え方が人によって違うからです。

「めぐる」という言葉は、複数の意味をもっています。

そこで、言葉の意味を整理するために、例を挙げて分類してみるのです。

どうやら「めぐる」対象は、「空間・時間・人間」の3つの種類に分かれそう。

このことを確認した上で、再度「めぐっている者・モノ」を聞いてみます。

人によって解釈は分かれるでしょう。
それでも全然OK!

国語は確かに答えがはっきりしませんが、逆に言えば根拠があれば発想は自由とも言えるのです。

最後の締めで、もう1つの選択肢を示唆してみます。
(「話者」というのは、俳句の中の登場人物)


もし、人が複数いたらどうなるのでしょうか。

図のように、

月が池の周りを「めぐり」、
仲間と語らう中で思いが「めぐり」、
そして一晩を明けてしまい時間が「めぐる」

という解釈もあり得るかもしれません!

松尾芭蕉は、読み手がこれだけの解釈を広げることができるように、「めぐる」を平仮名で表記し、想像の余地を残したのでしょうか。

(きっとそうです!笑)

ここまで離脱せずに読み進めているあなた、素晴らしい!笑

きっと少しずつ国語の面白さに目覚めて?いることでしょう!

最後は、筆者の大好きな「金子みすゞ」の詩で締めさせていただきます。


厳選授業❸「蜂と神様」

金子みすゞといえば

「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」

の詩人です。

金子みすゞさんの詩は、小さな生き物や見落とされがちなモノへの愛情が溢れており、非常に美しいのです。

ただ、今回は1つだけに絞って紹介します。
「蜂と神様」という詩です。

なんだか可愛らしい詩です。

さて、まずは出てくるものを確認します。

そして、次は順番に注目します。

これは、小さなモノから大きなモノになるような順番になっています。

そして、最後にまた小さなモノに戻ってくるように、「循環」「ループ」をしているのです。

ここまでは準備運動。ここから本題に入ります。

この「蜂(はち)」に謎を解くヒントが隠されているようです。

「蜂」を「はち」と音での表記にし、再度変換させると、色々な選択肢があります。

この詩では、実は「8」「八」がとても重要な意味をもっているのです。

最初はずっと「なかに、」となっていたのに、

二か所だけ「なかに。」

となっています。

詩人というのは、言葉を扱うプロです。
ですので、無駄なことはしません。

必ず、意味を練りこんで詩にしてきます。

さあ、ここからが今までまいてきた伏線回収です!

この「。」×2と「8」を関連付けてみます。

縦に「。」を重ねると「8」。そして・・

「。」を縦に並べると「8」

横に並べると「∞」

この詩には、この両方が意味をもっていそうなのです。

そして、最後の謎です。

この世に実在するか分からないもの。
目には見えないもの。

それは・・・

ここで、「はち」=「八」の漢字表記の方がヒントになります。

「八」+「∞」+「神」、その答えは・・・

八百万の神々(やおよろずのかみがみ)。

「全ての生命・モノに神様が宿る」という日本人の考え方です。

正しく、金子みすゞの詩の思想と同じです。

・・・いかがだったでしょうか??

金子みすゞさんは、わずか26歳の若さにしてこの世を去ってしまった詩人です。

しかし、その若さで、これだけの宝を埋め込んだ詩を、幾つも幾つも残しているのです。

だからこそ、今なお、人々の心に残る詩が受け継がれていっているのだと思います。


まとめ

「大和の国は言霊のさきはふ国」

という言葉が万葉集に残されています。

日本人は言葉を非常に重視してきた歴史があり、それが五十音にもあらわれています。

例えば、

「日本語で1番大切にされてきた言葉は何か?」

と問われれば、五十音の最初を見れば分かるようになっています。

それは最初と2番目の文字をならべた「あい(愛)」です。

他にも

「『あ』なたで始まり、『わ』たしで終わる」

という言葉のように、五十音の始まりと終わりで人間の「和」や「循環」がイメージできるようになっているのは偶然ではないはずです。

筆者は、100を越える国語の面白い授業を調べていく内に、日本語や日本人の感性の素晴らしさに感動をおさえられませんでした。

そう考えると、国語は「作者が作品に隠した宝を探すトレジャーハンターみたいなもの」と考えることができ、宝探しの気分でわくわくして授業を行うことができました。

日本の言霊の文化は、意識していなくても、しっかりと生活で口にする言葉の端々に生きている。

そう考えると、なんだかロマンを感じませんか?

今回の記事は、かなり、筆者の思いを乗せてしまったので、

「ぐいぐいくるな」

と思わせてしまった方もいるかもしれません笑

しかし、この記事が、ほんの1ミリでも、心が動くきっかけになったのならば、これ以上うれしいことはないと思います。

国語が嫌いな人にとっては、読み進めるのは大変だったと思いますが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

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他にも、漢字の魅力を語っている記事もありますので、もし興味がある方は、こちらの記事もご覧になってみてください。


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