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【1分くらいで(または5分くらいで)読めるnoteで学ぶ腸内細菌学57 番外篇:乳酸菌がコロナウイルスを抑制するかも。って研究の話】

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。

 
 とあるニュースが。

 原文のまま引用↓

2021年12月13日
キリンホールディングス株式会社
 
キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎 功典、以下キリン)のキリン中央研究所(所長 吉田 有人)は、国立感染症研究所のエイズ研究センター(センター長 俣野 哲朗)との共同研究で、新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の原因ウイルスである新型コロナウイルス(以下SARS-CoV-2)を用いて培養細胞における実験を行った結果、「乳酸菌L.ラクティス プラズマ」(以下、プラズマ乳酸菌)を作用させたプラズマサイトイド樹状細胞(以下pDC)の培養上清が、SARS-CoV-2の複製増殖を顕著に低下させることを確認しました。 この研究成果は第25回日本ワクチン学会学術集会(2021年12月3日(金)~5日(日)現地開催、2021年12月3日(金)~2022年1月31日(月)オンライン配信)にて発表されました。
 
<試験概要>
ヒト末梢血単核細胞(以下PBMC)からpDCを分離して、プラズマ乳酸菌を添加した培養上清、プラズマ乳酸菌未添加(pDC単独培養)の培養上清を生成した。この双方を、アフリカミドリザルの正常腎臓由来細胞株(以下 Vero細胞)に加えて培養した後、SARS-CoV-2(WK-521株)を感染させ、2日後に定量PCR法によってSARS-CoV-2量を解析した。これにより、培養上清の持つウイルス感染防御効果のポテンシャルを検証した。
 
<結果>
プラズマ乳酸菌未添加(pDC単独培養)の培養上清で処理したVero細胞は、未処理のVero細胞と同等のウイルス複製増殖を示したのに対し、プラズマ乳酸菌を添加したpDC培養上清で処理したVero細胞では、48時間時点で顕著なウイルス複製増殖の低下が認められた(図1)

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(蛙・ω・)<長い!!!!!!!! そして よく分からん!!!!!!!!

 まあ、早い話が、
 
『ラクトコッカス・ラクティス・プラズマ』という乳酸菌を取り込んだサルの細胞に、コロナウイルスである『SARS-CoV-2』を感染させたらコロナウイルスの増殖を抑制した。

 ってことらしい。

 コロナウイルスが蔓延し始めた頃から、『重篤化する人』と『しない人』がハッキリ分かれていたので、
(蛙・ω・)<たぶん腸内細菌の状態とかは影響してるんだろうな
 とは思っていましたが、今回の試験管内試験の結果で確証が出たということになりそうです。

 ヒトは腸内細菌無しでは生きられない生物なのでさもありなん(試験に使われたのはサルの細胞ですが)


◆ウイルスと細菌の違いとは

 そもそも。

(蛙・ω・)<『ウイルス』と『細菌』って何が違うんだ?
 
 って話ですが、

ウイルスも細菌も『微生物』として括られていますが、
 
定義上
ウイルスは生物ではない
それに対し、細菌は生物です。
 
※定義の解説をするとややこしくなるので端折ります
 
ウイルスが生物ではない、決定的な違いとして、
 
細菌は『栄養源や水分を必要とし、エネルギー代謝を行うことで生命を維持している』
 
ウイルスは『エネルギー代謝を行わない』
 
とされています。
これがウイルスが生物ではない理由付けです。

 
(蛙・ω・)<カビやキノコなどの菌類だって生きているのに、ウイルスはそもそも生きていないとは。
 
 我々人類は『生きていない(とされている)』ものに脅かされている訳ですね(o・ω・o)恐ろしい話だ。
『バイオハザード(生物学的危害)』とはよく言ったものだ。


◆『ラクトコッカス・ラクティス・プラズマ』って何よ?

(蛙・ω・)<プラズマ乳酸菌なんちゃら〜ってたまに見聞きするよね。

□L・ラクティス・プラズマ
 
乳酸菌L.ラクティス プラズマは、免疫の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を直接活性化する乳酸菌。
世界で初めてキリンがその機能を発見した。
 
乳酸菌 L.ラクティス プラズマの属するLactococcus lactis(ラクトコッカス属)は、ヨーロッパにおいてこの酸乳づくりに使用され昔から食べられていた、ヒトにとってなじみのある菌。

 
(蛙・ω・)<だから今回の研究もキリンホールディングスとの共同研究なんですね。なるほどね。
 

(蛙・ω・)<で、プラズマサイトイド樹状細胞って何よ?

□プラズマサイトイド樹状細胞
 
『プラズマサイトイド』とは形質細胞様樹状細胞のこと。
病原体等の感染により活性化して大量のインターフェロンを産生する。
 自然免疫と呼ばれる免疫系を活性化させる機能がよく知られている。

(蛙・ω・)<……で、インターフェロンって何よ?

□インターフェロン
 
ヒトがウイルスに感染すると、そのウイルスに対抗できるように物質が体内で作り出される。その物質の一つがインターフェロン。
 
インターフェロンは体の細胞にくっつき、これに信号を送る。
細胞が信号を受け取るとウイルスの遺伝子を切断する物質や、ウイルスのたんぱく質が作られるのを妨げる物質が作り出され、ウイルスは増えることができなくなる。

 
(蛙・ω・)<ははーん?

『L・ラクティス・プラズマ』が『プラズマサイトイド樹状細胞』という司令細胞を活性化させる

『インターフェロン』が大量に生産される

『コロナウイルス』の増殖(たんぱく質の生成)が抑制された

 
 って流れか。

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(蛙・ω・)<やっと理解できました。面白いっすね。


◆その"ラクト何とか"ってヤツは安全なのかい?

 こういう時によく出てくる話題が「それ安全なの?」問題。

 研究しているのはキリンホールディングスなので、実際に飲料として人に飲んでもらって臨床試験したそうな。

◆主な安全性試験の概要
(ヒト臨床試験)

健常成人男女に乳酸菌 L.ラクティス プラズマを1,000億個以上配合した飲料を1日1本12週間摂取させた試験において、有害事象の発生は認められなかった。
 
田中健太郎, 鈴木弘章, 金山雅也, 藤井敏雄, 藤原大介, 野澤元, 杉村春日. 乳酸菌Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805および難消化デキストリン含有飲料の長期摂取時および過剰摂取時における安全性の検討. 薬理と治療 Vol.43 No.12 Page.1711-27, 2015.

健常成人男女に乳酸菌 L.ラクティス プラズマを1,000億個以上配合した飲料を1日3本4週間摂取させた試験において、有害事象の発生は認められなかった。
 

田中健太郎, 鈴木弘章, 金山雅也, 藤井敏雄, 藤原大介, 野澤元, 杉村春日. 乳酸菌Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805および難消化デキストリン含有飲料の長期摂取時および過剰摂取時における安全性の検討. 薬理と治療 Vol.43 No.12 Page.1711-27, 2015.

健常成人男女に乳酸菌 L.ラクティス プラズマを5,000億個以上配合したカプセルを4週間摂取させた試験において、有害事象の発生は認められなかった。
 
Kato Y, Kanayama M, Yanai S, Nozawa H, Kanauchi O, Suzuki S. Safety evaluation of excessive intake of Lactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group trial. Food Nutr Sci. 9: 403-419, 2018.

 
(蛙・ω・)<まあ、乳酸菌ですからね。
 
 ヒトが「おぎゃー」と産まれてから死ぬまで。ゆりかごから墓場までお世話になる腸内細菌ですから。
 

□乳児:腸内細菌の90%が乳酸菌
 
□60歳〜生涯を終えるまで:乳酸菌(ビフィズス菌)は5%前後まで低下する

 
人の加齢と腸内細菌の推移

 これくらいヒトと密接な関係を持っている細菌なので、そうそう変な結果は出ないでしょう。
 
 

◆まとめ

✅キリンホールディングスと国立感染症研究所が共同研究で面白いこと始めた
 
✅乳酸菌を使ってコロナウイルスを何とかしようとしている
 
✅『L・ラクティス・プラズマ』という乳酸菌がコロナウイルスの増殖を抑えることが解った(試験管内試験)

 
(蛙・ω・)<こんな感じッスね。人はコロナウイルスと戦っている。

 
 っぱ時代は腸内細菌なんよ(o・ω・o)つって。
 
 
 今回はここまでです。最後に良かったら♡スキをお願いします。
 それではまた〜(o・ω・o)ノシ


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