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ADHD、ASDに本当にマッチする仕事を探そう~消去法で自己分析~


こんにちは。


発達障害×仕事のお悩みは定番ですね。
わたしも長らく悩んできました。

ADHDやASD(アスペルガー)の人向けの
就労支援サイトを見たり、時には
セミナーを見学に行ったこともあります。

しかし、違和感を覚えることも多々ありました。

ホントにこの仕事、できますか?


とある発達障害向け就労支援サイトでは、
「ADHDに向いている仕事10選」
として次のように挙げています。

ADHDの方、ホントにこれらの仕事、できそうですか?

デザイナー
アニメーター
イラストレーター
営業職
ジャーナリスト
カメラマン
起業家
プログラマー
エンジニア
研究者

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まず、アニメーター、イラストレーター、
カメラマンのような、

これからセンスや画力を
イチから磨かないといけない仕事は、
転職候補としてハードルが高い
ですね。

起業家は、何でどう起業するかを
決めないとムリですね。

就労に悩むADHDの人に
「あなたはADHDなので起業しましょう」
と勧めるのは酷
な気もします。

営業職は、多動性をうまく
活かせるなら向くかもしれません。

しかし、営業だけをさせてくれる、
都合の良い職場は少ないでしょう。

基本的に、会社員はマルチタスクです。
そしてADHD、ASDの人は、
大抵マルチタスクが苦手です。

ノルマ主義が向くかどうかも、カギとなりそうです。

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研究職は、興味を持ったことだけ
追求できるタイプのADHD、ASDには
アリかもしれません。

しかし、目指すなら学生時代から
相当な努力と学費が求められます。
そして、転職には向きません。

もしこの中で
オススメしやすい職を選ぶとすれば、

エンジニア、プログラマー、
(web)デザイナー
でしょうか。

スキルを常に磨き続ける努力を
惜しまない人であれば、可能性はある
はずです。

もっとも、飽き性で中途半端にしがちな
タイプのADHDには、つらい仕事かもしれません。。  


職業・職種で適正を考えるのは無理がある


ADHDの人はアイディア出すのが
得意だからデザイナー!企画職!

ASDの人は集中力と
こだわりがあるから研究職!経理!

と紋切り型にオススメするのは、意味がないと思います。

そして残念ながら、
ADHDとASDを併発している方
(全体の50~60%)には
あまり役に立たないアドバイス
です。


発達障害を抱える人は、もっと
別のアプローチで、仕事の適性を考えていくべきです。

具体的には、より消去法的な
自己分析が必要
だと考えます。
苦手なことを避けるという方法です。

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まずは「苦手なこと」を洗い出そう


苦しいですが、今までの失敗を振り返り、
「苦手だったこと」「うまくいかなかったこと」を
正直に洗い出しましょう


うつ状態がひどいと
「すべてダメだった、できることなんてない」
と思いがちですが、
冷静にひとつずつ箇条書きにしていきましょう。

特に仕事で失敗した経験は大ヒントです。
学生さんに比べてより具体的に
「何がダメで何ができるのか」がわかる状態
とも言えます。

最初の就職活動よりも、
ずっとヒントが多い状態です。
前向きにとらえましょう。

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下記は筆者の例です。
長いので、次の項目まで飛ばしてOKです。


筆者の「苦手なこと」

・マルチタスクが苦手
・スケジュール管理が苦手 
・予定を先延ばしにしてしまう

・入社当初は軽躁状態なのもあり、
「不器用だけど明るくてタフなキャラ」で通せていた。
しかし、年次があがるにつれて、仕事に精度を
求められるようになり、「明るいキャラ」では通せなくなった。
そしてプツンと糸が切れ、うつ状態になり、タフさもなくなった。

・電話しながらメモが取れない。ひどくマルチタスクだと感じる。
きちんとした敬語で、目的に沿った会話をし、
たまに相槌も交えながら、適切なメモを取らなければならない。
電話の後にはフォローのメールも必要。
頑張ってメモしても、読める文字にならない。
徐々に電話自体が猛烈にこわくなった

・商談が苦手。電話と同じような苦手意識。
電話と違い、アイコンタクトも必要なので、より一層、苦手意識がある

・ミーティングが苦手。短時間で、よいアイディアを
適切な形で共有できる臨機応変さが必要になる

・仕事のことで頭がいっぱいで、休日も気が休まらない

・決まった時間に出社できない。とくに朝は体調がわるい。
フレックスだから問題はないはずだが、先輩社員より
遅れて出社すると白い目で見られる

・会話で疲れる。本当はあまり空気が読める方ではない
・いじめ・悪口の標的にされやすい
・個人ごとにノルマのある仕事なので、成果が出せていないと他人からバレやすい。プレッシャーに感じる
・簡単な足し算かけ算でも、平気でミスをする。5回検算してもミスをする
・リーダーシップを取らないといけない場面がストレス
・仕事の処理が遅く、サボってないのに残業してしまう
・こだわりすぎ、完璧主義、脳内多動、感覚過敏で仕事が進まない

・照明、PCのスクリーン、タイピング音など、光や音の刺激が苦手で、いつも照度を最低にし、片耳に耳栓をしているが、それでもオフィスは辛い

・アドバイスされても、なぜかうまく取り入れられず、以前と同じ方法を繰り返してしまう。柔軟性がない。

・なぜできないか説明できない。「言葉では仕事を理解しているが、業務内容としてどう分解すれば良いかわからない」…とはさすがに言えない


…血を吐きそう。いかにも社会不適合な感じ。

ADHD、ASDっぽい特徴もあれば、
双極性障害、HSPのような特徴も

ココはまぜこぜでもOKです。

WAISの結果も参考に

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過去にWAIS(ウェイス。知能テスト)を
受けた人は、当時のテスト結果を
参照するのも良いでしょう。

結果を用紙で受け取っていない人は、
どんな問題でつまづいたか、心理士さんに
どう評価されたかを思い出してみましょう。

わたしの言語性IQ(言葉の運用にかかわる知能指数)は120、
動作性IQ(感覚や運動にかかわる知能指数)は108でした。
中でも「処理速度」は89。

『発達障害事典』(2011年・明石書店刊)によると、IQ120は「優秀」、IQ89は「平均の下」に位置付けられます。

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(表)引用:http://www1.iwate-ed.jp/tantou/tokusi/jissenhen/jissen_07.pdf

ディスクレパンシー(IQの差。有意差)が
10~15以上ある場合、発達障害の可能性が非常に高い
です。

筆者は特定のIQが著しく低いため、
ディスクレパンシーは最大で31。

WAIS時のコンディションが
悪かったのはありますが、とはいえ

言葉の運用は得意。
面接や言語系のペーパーテストではいい結果。
でも実際に物事に対応するシーンではポンコツ

そのままの結果となりました。

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発達障害やLD(学習障害)の場合、
「本当にできないことはできない」とあきらめてもよい
のです。
そして、できない自分を責める必要はありません。
仕方ないのですから。


マトリクスで整理しよう


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マトリクスという十字の図を作っていきます。
まず「苦手なこと」を4つに整理してみましょう。

手順その1…「苦手なこと」をA,B,C,Dの4つに分けます。

A:努力しても絶っっ対に無理。
B:努力すればギリできるが、疲れるし時間がかかる。できれば避けたい
C:嫌だが、少々努力すればできる
D:一応できる 好きではないが、毎日できなくもない


できればDまで分けた方がよいですが、
どうしても見つからない場合は、
A,B,Cの3つでも構いません。


手順その2…「マルチタスクかどうか」「仕事が何によって評価されるか」で軸を作る

「マルチタスクかどうか」:仕事内容がマルチタスク or シングルタスク

「仕事が何によって評価されるか」:ノルマ・売上重視 or 事務・作業スキル重視

※ノルマ・売上重視の仕事は、
売上をしっかり稼いでいれば、
仮に事務作業が得意でなくても、
なんとか社内評価を保ちやすいです。

※事務・作業スキル重視の仕事は、
だいたいみんなで同じ作業をするので、
「みんなと同じレベルかそれ以上で作業できる」
ことが重要になります。正確さ、作業スピードが重要ですね。

手順その3…マトリクスを描いてみる。A,B以外の場所から、自分に合う仕事を考える。


筆者のマトリクス例

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(Dは抜きました)

筆者の仕事はかなりマルチタスクで、
かつノルマ重視です。どっちも苦手要素でした。

企画や社内プロジェクトを同時進行したり、
多数の取引先とメールや
電話をしながら新商品を考えたり、
広告に乗せる文章・レイアウト・写真を考えたり、
新しい取引先を開拓したり、
退職者がいれば盛大な送別会を企画したり…

もちろんすべてのスケジュール管理も重要です。
どれがメイン業務か分からなくなるくらい仕事が多い。

今後は、もう少し専門に特化した、
シングルタスク寄りの仕事をしたい。

ひとつのことに集中しやすい
働き方なら、できるかもしれない。
そこで、今は資格試験の勉強をしています。

専門性を磨かないと、そういった
仕事ができないことに気づきました。

人間関係も苦手なので、まずは派遣や
アルバイトのようなシフト制で働き、
合わなければ職場を変えてみてもいいかな、
と今では思っています。

人より遠回りな人生かもしれませんが、
すこし工夫して自己分析しなおすと、
前向きな人生を描きやすくなるのでは
ないでしょうか。

なぜ消去法がよいのか

もちろん、「得意なことやスキル」が
確立されている方であれば、
それを優先して仕事を探すべきです。

しかしそうでなければ、
「ぜっっっったいに無理な仕事を避ける消去法」
もっとも有効と思われます。
苦手なことで勝負しなくて済むからです。

たまにこんなことをいう人がいます。

発達障害の人はどこかの能力が
突出している天才肌だから、
才能を活かして働けばいい

アインシュタインやエジソンも発達障害でしょ?」

たしかに、一部のIQが130以上で
突出している発達障害もいます。

しかし、すべてのIQが平均以下で、
しかもバラツキのあるタイプも多くいます。

発達障害の全員がアインシュタインや
エジソンではない
のです。

さらにいえば、
一部の能力が突出していても、
どこかが大きく欠落していれば、
社会で生き抜くには大きな足かせになります。

そして本当に天才といえるほど
得意なことがあれば、このページを見るまでもなく、
すでに何かしらで成功していたり、
なんとか働けているはずです。


生き抜くために、「苦手なことで勝負しない」


発達障害の方は、失敗の多い人生を
歩みやすいと言われています。

それは自己分析が苦手であったり、
波の大きい性質に起因していたり、理由はさまざまです。

しかし、あえて「苦手なことで勝負しない」
ようにするだけで、仕事や生活が大きく楽になる
ということも知ってほしい。

一般的には、「若いうちに無理をしろ」
「無理してギリギリできるくらいのことに
挑戦し、自分の可能性を広げろ」などと教えられます。
学校でも、会社でも。

しかし、発達障害(や精神疾患)の方は、
無理して努力しても可能性が広がらないばかりか、
つぶれてしまいやすい特性を持っている
のです。

あなたも大事な社会の構成員のひとりです。
つぶれてしまっては、もったいない。

ですから、
どうしてもできないことを避けて、
自分に合う職場を自力で選べるようになる
こと、
余力でその他のできることを
探せるようになる
ことの方が、大切ではないでしょうか。

すこしでも前向きな人生を目指して、
わたしも頑張っていきます。

めげても、もう一度顔を上げたらいいんです。
また、お会いしましょう。

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さいごまでご覧いただき、ありがとうございました^^♡



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