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栗原ちひろ
2019年2月15日 13:49
「ああ~~いいにおいする、ご飯作ってるの、みはる」からんころん、古い扉につけたベルが鳴り、のんびりした砂倉の声が響く。ここは細長いスナックの居抜き物件。汚くも楽しい、さくらと僕の探偵事務所だ。僕は小さな台所で湯を沸かしながら言う。「うん、チョコレートラーメン。もうできるからそこに座って? さくら」すぐにカウンターの向こう側に肌色の男が座り、僕は顔を上げた。視線の先には従兄弟
2019年2月1日 12:25
完成した小説には無数の没バージョン、没シーンがあったりする。私の場合は主に、無駄なシーンや描写を削ることが多い。以下は三笠書房刊、今はなきF-clan文庫の「廃王国の六使徒」(イラストはTHORES柴本氏)の幻のファーストシーンだ。 本をお持ちの方は、そちらの冒頭と比べてみてほしい。出版版のファーストシーンとほぼ同時刻、街の他の場所ではこんなことが起こっていた。 ※有料記事です。小説部分4