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生命の火花。
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2017年4月の記事一覧

長い夢を見ていたの。夢の中では、これこそ現実なのだと信じて疑わなかったというのに。

羽のない鳥

羽のない鳥

学校の七不思議を信じるような子供ではなかった。今もそうだ。

けれどもあの場所を説明するとき、いかにも奇妙な場所が、日常的に目に触れてはいるが入ってみようとは思わないところにあるのだ、と言うことができるだろう。

あれは普段と変わらない、何の変哲もない日だった。出席を取らない講義を切って、公園で昼寝をしたり哲学書を読んだりするのも、いつものことだ。それ以上でも以下でもない。

授業中の閑散とした構

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普通の王道にはなれない。

側にいればいるほど、終わりを感じる。肌に張り付く。

ああ、この人の近くにいることはできない。いずれ自分とこの人は決して交わることのない、覚束ない過去だけの関係になる。いつ細い糸が切れてしまうかわからない。どうかあとひと季節保ってほしい。きっとこの人は私を忘れる。私は死ぬ瞬間までこの人に囚われているだろうというのに。
ただ絶望と呼べたらいいのに、その距離感こそが徹底的な日常で。

私は自

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再会(パッションゆえだとしたら)

運命と言わず、他に何と言えば伝わるのかわからない。けれども、それはどうでもいい。言葉に意味はない。

もう二度と会えないかもしれない別れ方をした相手と、数ヶ月ぶりに再会したという、そして私は意識的な無表情のまま、今ここから宇宙空間へ投げ出されたような爆発的衝撃を、心に受けたというだけの話だ。

私の涙は枯れていたし、彼女も無関心だった。交わす言葉はなかった。つまり現象として何も起こり得なかった、つ

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他者(人間)に眼差しを注ぐことは難しい。それならば天性の才能、と呼ばれた自分独自の感覚を信じてみるしかない。魂の反応するところを。もっと大きな、風や水や鳥や雲や星や犬などの自然に表われ出るものを感じて描き留めてみよう。その刹那的な幸福を逃さないうちにやれるだけのことをやってみよう

魂とは

「魂」というとプラトン読めば?と言われがちだけど、自分に浮かんでくる「魂」はプラトンのそれとは違うと思う。

スイッチを入れると直に豆電球がつく、導線を必要としないほど惹きつけられる力みたいなものだと思っていて。(理科は苦手なド文系なので細かいことは知らんです)

現象があって判断して感情に訴えるとか、考える、という回路がない。ぶった切られたり弱かったりするのではなくて、そもそも「ない」のだと

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『宇宙を哲学する』

『宇宙を哲学する』

フランスの詩人マラルメは、今から100年ほど前の20世紀初頭に、白い紙の上にインクで記した自分の散文詩が、天空の星座を白黒逆転させた存在となることを欲し、それによって、芸術作品創造の作業が宇宙創世の秘密に連なることを願ったと伝えられています。マラルメの考えでは、天空に散りばめられた星々が神の創造の産物であるとすれば、人間はインクの墨を使って裏返しの世界の創造作業に参加することになると思われたのです

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暴動ではなく革命

あらゆる面で真逆な友人がいる。

とはnoteで繰り返し書いたけれど、どれだけ言っても書いても足らないほど、あまりに違うので、今回もまた語らずにはいられない。

どれほど彼女と私が違うかというと、例えば私が大量出血して彼女の血を輸血するとなったとして、血液型としては問題ないのだけど、あまりに異質な存在なものだから管が血を届けた瞬間に私の神経は破裂してしまうかもしれないくらいだ。内側から爆発する

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