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デザイン発注者が知っておくべきこと(4/5回)

デザイン発注者が知っておくべきことと題して全5回に分けて書きます。
本記事は第4回。
第1回はこちら。第2回はこちら。第3回はこちら

デザイナーとのプロジェクトの進行

デザイナーとのプロジェクト、および何かをデザインしたり開発するプロジェクトの経験がない発注側はプロジェクトのスケジュールを計画することに苦労することと思います。
製品のパッケージデザインや雑誌のデザイン、工業製品や家具のデザイン、ウェブサイトのデザインなどでも基本は下記のようなワークフローを進んでいくことになるでしょう。
もちろん各プロセスに必要とされる時間や人員、費用はデザインする領域や内容によってまちまちです。

発注側が依頼前の計画において意識から外しがちなのが、情報共有やリサーチなどの前提情報のインプット時間や度重なる検討や修正プロセスです。
これらは何かをデザインする際に必ず必要になるプロセスのため、発注側としてはそのことを鑑みたスケジュールを念頭にする必要があるでしょう。各プロセスが今回のプロジェクトでどのくらいの時間を要するのかなどを検討するプロセスをデザイナー側に有償で入ってもらうというやり方もよいでしょう。

プロジェクト進行の一例
1. 秘密保持契約
2. 案件の相談(期間やお金の相談、情報開示)
3. デザイナー側からの依頼内容に関する提案(現実的な契約条件など)
4. 発注側の検討(予算や期間に合うか、条件のすり合わせなど)
5. 契約(契約書のレビューなどの時間含む)
6. キックオフや顔合わせ(関わる人達の雰囲気やテンションをシェアする)
7. デザイナーへの情報共有(企業側の各担当から細かい情報の共有)
8. リサーチ(多くのデザイナーは調査や考える時間を多くとる)
9. 基本アイデアやコンセプト(デザインの方向性をまず大まかに定義)
10. 検討や意思決定(デザイナーが方向性の許諾を発注者に求める)
11. 具体的デザイン(最終形状のベースとなるデザインをする)
12. 検討や意思決定(発注者と意見交換し決めていく)
13. 詳細デザイン(細部も最終に近いデザインをする)
14. 検討や意思決定(この段階ではデザインの基本は発注者が承認の状態)
15. 修正デザイン(細部の一部を修正する)
16. 検討や意思決定(細部含めて承認の状態)
17. リリースに向けての作業やマネジメント(情報発信用の素材の用意等)
18. 検討や意思決定(リリース後のタスクなど含めた最終確認)
19. リリース(製造スタートの場合もあれば、アプリ等リリースの場合も)
20. 完了(支払いをもって完了)



項番10から18にある、検討や意思決定、修正デザインは多くの場合が発注側との共同作業です。やり取りや打ち合わせをしながらすり合わせていくプロセスです。時間もかかる、不確実性の高いステップです。
これらがどのくらいの量、何度くらい繰り返されるか、どの段階で最終ゴーを決断するか、は対象プロジェクトが何を目指すものなのか、ゴールは何かによって正解が異なるでしょう。

ここで大事なのは、何度も訪れる検討や修正プロセスに対する契約や条件をきっちりと決めておくことです。
発注側がデザイナーからのアウトプットを採用するか修正してもらうかはデザイナー自身の仕事の質と関係ない要因も大きいため、発注側の都合でプロジェクトの進行速度を左右する意思決定プロセスが滞った場合にデザイナー側に損失が出ないような契約や進め方を考慮するべきです。なぜなら、責任者の意思決定を待つ時間や修正の作業のコストはデザイン会社が負うことになるためです。多くの経験ある発注側やデザイナーはこれらのケースを予想し、プロジェクトのステップごとの請求や修正にかかる費用の都度請求ができるようにプロジェクトスタート前に交渉や確認をします。
発注前の見積額のみでの納品ベースの清算しか社内システム的に対応していない企業などはこの方法に対応することが難しい場合もあるので、その場合は検収条件を柔軟にするなどで対応するなどしているようです。

発注側の意思決定ボトルネックが原因となるトラブルは非常によく聞くので、発注側としては特に気をつけておく部分でしょう。

デザイン会社への依頼内容から途中の検討段階、最終的な制作まで、常に意思決定権を持つ責任者に情報を共有して確認をとり続けることは担当者が意識しておくことかもしれません。最終的なアウトプットの段階に来て初めて意思決定の責任者に見せたらちゃぶ台返しを食らって最初からになったなんていうケースは非常に多く聞きます。その場合、費用がかさんだり、予定してなかったコストやスケジュールのために交渉のための時間が増加してしまったりなど良いことは何もありません。

たとえば最近原野さんがツイートされてた以下も典型例でしょう。

デザイン発注と合わせて、その発注内容がプロジェクト完遂までの強度を持ち続けるように社内で動くことは発注担当者がかならずやるべきことでしょう。

次回は最終回、よく聞くトラブルと原因について

(リアクションやコメント等頂いたら追記したり修正していくと思います)

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