今まででいちばんシリーズ⑦(最終章)震災のトラウマ
さすがに毎日投稿は疲れてきましたが、“今まででいちばんシリーズ”も、やっと今回で最終回です。そこで阪神淡路大震災の記憶を取り上げたいと思います。
よく世間では、震災の記憶を絶やすな、なんて言われますが、私にとって今だにトラウマであり、思い出したくない出来事です。亡くなった方の思い出は無くそうにも無くせませんし、あの時のゾッとするような恐ろしい情景は、はっきりと目に焼き付いており、今でも鮮明に思い出されます。あれは本当に現実だったのかと、信じられない思いがして寒気がします。最近地震が頻発しており、南海トラフ巨大地震も気になるので敢えて取り上げます。
<➀感激したこと>
そんな中でも感激したこともあります。震災直後から駆けつけてくれた自衛隊の隊員がスーパーマンに見えたのです。悪いですが警官や消防隊員の方とは全く次元が違いました。使命感に燃え、隊列を組んで駆け足できびきびと移動する様は後光がさしていました。こんなにありがたい存在だったのかと、つくづく感激しました。
<②嬉しかったこと>
あの地震はまだ夜も明けやらぬうちに起きました。一緒に寝ていた娘も、たまたま別室にいた家内も無事で、ともかく一安心していると、なんと親父が自転車で駆け付けてくれたのです。親父の家は全壊でしたが、おふくろをつぶれた1階から引っ張り出した後、すぐに自転車で3時間以上かけて私のことが心配でやってきたのです。私も親父の顔を見てほっとしましたが、後で聞くと、親父もその時ろっ骨を折っていたようで、これまたびっくりでした。自分も痛かったでしょうに。
<③不思議だったこと>
地震で家の前を走っているJRの線路はくねくねとS字に曲がり、貨物列車が脱線しているのが見えました。高速道路も高架が倒壊し、道路は大渋滞で全く動いておらず、職場である空港には行くすべがありません。当時風邪気味だったこともあり、「まあゆっくりするか」と思っていました。しかし、停電しているため冷蔵庫の食料は真冬とはいえすぐにダメになります。カセットコンロでお湯を沸かしたろしていましたが、そのガスも無くなってきます。そのうち食料や水が次々となくなってきます。避難所に行けば配給があるので、最初はすごく有難いと感動しましたが、同じようなパンばかり食べるわけにもいきません。仕方なく自転車で大阪方面に買い出しに行くことにしました。
芦屋を超えて尼崎あたりまで来る頃には、地震の影響は全くなくなり、すれ違う人も皆何事もなかったかのように暮らしています。いつもと変わらない日常、変わらない笑顔がそこにはありました。天国と地獄という全くの別世界を行き来する感覚です。“生きるため”の買い出しで、天国と地獄の間を行き来するのです。わかりますか?実に不思議な感覚でした
<④悲しかったこと>
なにより一番悲しかったのは知人が亡くなったことです。後でその時の状況を聞いて、より一層悲しい思いを募らせました。具体的な状況のことは書きたくないので控えますが、今でもよく思い出します。そのたびに涙がこみ上げてきてつらい思いをします。とても良くしてくれた方ばかりだったので。
飼っていた熱帯魚の大型水槽も倒れて割れてしまっていました。様子を見に行って、耳を澄ますと、ぴちゃぴちゃと魚が跳ねる音がしています。「何とかしなくては!」、「助けないと!」。しかし割れたガラスや家具やら何やら散乱しているので近寄ることもできず、どこにいるかもわかりません。途方に暮れているうちに静かになってしまいました。あの時は魚たちの悲鳴が聞こえたような気がしました。
今でも熱帯魚を飼うことが出来ていません。思い出してしまうので。
<⑤怖かったこと>
怖かったことを挙げるときりがないくらいあります。
家内が地震で目が覚めて体を起こした瞬間に、そこに家具が倒れていたり、散乱したガラスに足を切ることもなく私のもとに歩いてきたこと。
玄関ドアも歪んでしまってなかなか開けられません。
外には自宅が全壊したのか、夜中に焚火をして集まっている不気味な集団がいます。
近所の家は軒並み倒壊しており、隣の家も数日後、私の見ている前でゆっくりと私の家に向かって大きな音を立てて倒れてきました。
全壊した家というのは屋根から下は粉々の状態です。なぜそうなるのかはわかりませんが、相当大きな力が働いたことは容易に想像でき、ゾッとします。とにかくペシャンコなのです。
その家の屋根瓦をめくり、穴をあけて亡くなった隣人を引っ張り出しました。
24時間絶え間なく鳴り響く救急車のサイレンの音は、余計に恐怖心を掻き立てます。
他人事のように四六時中爆音を上げながら旋回するヘリコプターが、がれきの中で助けを呼ぶ声をかき消します。
バカなニュースキャスターの筑紫哲也がヘリコプターに乗って上空から「うわーこれはすごいですね」「でも、東京でなくてホントよかったです。」と、トンデモ発言をしたというのが忘れられません。
そのうちに遠方では火災が起こり、真っ黒い煙が幾本も立ち上るようになります。
空はその煙で日中でもどんよりと薄暗いままです。
そして、その火災の炎がだんだんと大きくなり、こちらに迫ってくるのが分かります。死の恐怖です。
停電のため全くの闇と化した中、炎の明かりだけがやけに目に染みるようです。
そして、救急車が去った後、静まり返った真っ暗な闇の中の、文字通りの死んだ街がそこにあります。街が死ぬって想像できますか?その死んだ街にいることがどんな思いか、わかりますか?
こうして書いていると、その時のことが思い出されて、目が熱くなり心臓がドキドキしてきました。もうこの辺で切り上げることにします。
読んでいただきありがとうございました。今回のシリーズはいかがだったでしょうか。良ければスキ・フォローをお願いします。これからもどんどん記事を書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。
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