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紅茶の国

 いつも のんびりしている こざるカフェ。
お客さまが 穏やかに ゆっくりと 過ごせるようにと
こざる達も 忙しい様子を見せないようにしています。
本当のところ、忙しいということは、ほとんどないんですけれどね。

 こざるカフェの2階には、りこちゃんが居ます。
りこちゃんは 人間のおばあさん。
ここで、こざる達と暮しています。
りこちゃんも、最初は赤ちゃんで、そして小さな女の子になり、
少女になって、やがて大人の女性になり、
もうずいぶんと長いこと生きてきました。
 昔は ひとりで出来たことも、今は こざる達に手伝ってもらって、
毎日、ゆっくり のんびり、ニコニコ 楽しく過ごしています。

 ある日の夕方、こざるちゃんが りこちゃんの様子を見に
2階へ行きました。
すると りこちゃんは、ちょうど紅茶を淹れていました。

「あら、こざるちゃん。ちょうど いいわ。
こざるちゃんも一緒に お茶にしましょう。」
「わぁ、りこちゃん、ありがとう。」

こざるちゃんは、ちょこんと椅子に座ります。
「では、このスプーンを使いましょう。」
りこちゃんは、赤い二階建てバスがついた小さなスプーンを
こざるちゃんに渡します。

「このスプーン、バスがついているね。」
こざるちゃんは、嬉しそうにスプーンを見つめています。

「こっちのスプーンには、兵隊さんがついているのよ。
これは大昔、イギリスへ行った時に買ったのよ。」

「わぁ、このスプーンはイギリスから やって来たんだね。
遠い遠いところから、ここにやって来たんだね。」
こざるちゃんは、行ったことがないイギリスを思い浮かべます。

「そのスプーンで、お砂糖を入れてね。ミルクは入れる?」
「この紅茶、とっても綺麗な色だから、ミルクは入れなくていいよ。」

こざるちゃんも、りこちゃんも、ニコニコ 嬉しそうに
一緒に紅茶を飲みます。

窓から夕焼けが綺麗に見えます。
「わぁ りこちゃん、あのお空の夕焼けの色と この紅茶の色と 同じだね。」
こざるちゃんの顔も、夕焼け色です。
りこちゃんも、夕焼けを眺めます。

「りこちゃん、あの紅茶色の雲の向こうには、何があるんだろうね。」

その時、キラッと光るものが見えました。
「あ、りこちゃん、飛行機だよ。飛行機も紅茶の色だよ。」
「そうだね、雲の向こうに飛んでいくね。」

飛行機は、グングン飛んでいきます。

「きっと紅茶の国へ行くんだね。」
こざるちゃんは、自分が飛行機に乗っているところを思い浮かべます。

「そうだね。紅茶の国へ行く飛行機だね。」
「うん、きっとそうだよ。」

二人は、雲の向こうに飛んでいく飛行機を見ながら、
楽しい紅茶の時間を過ごしました。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
「こざるカフェ」なので、時々、こざる達の話をします。
よい毎日でありますように (^_^)


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