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【その情報、ホントにあっている??】実は意外と知られていない作品応募に関する知識Q&Aその2(2018年1月号特集)


Q41:小説投稿サイトに載せたものは未発表になりますか?

ライトノベルの賞はOK

 未発表作品とは商業出版したり、新聞や雑誌で公表していないという意味。自費出版もOK です。同人誌やWEB で発表した場合はどうでしょう。
 文芸誌や小説誌を母体とする大手出版社の文学賞では、大半が「同人誌やWEB で発表した作品は不可」で、可としている賞はありません。
 逆にライトノベルの賞では、ほぼすべての賞で「同人誌やWEB で発表した作品は可」としています。

 応募している間はサイトでの掲載をとりやめるという条件がつけられる場合が多いですが、基本OK というスタンスです。
 時代小説、ミステリーの賞は同人誌やWEB について書かれていないものがほとんどです。さして問題にしていないものと思われます。

Q42:締切間際に応募したほうがいいというのは本当ですか?

 「締切間際がいい」というのは懸賞(抽選) から来た俗説です。そのほうが目立つというのが根拠らしいですが、厳正に抽選するならいつ応募しても同じです。

 公募の場合は締切間際に応募が殺到することが多いので、むしろ埋もれる可能性があります。しかし、それにしても厳正に審査すれば同じです。
 公募で「締切間際に応募したら入選した」というのは、締切間際がよかったのではなく、そこまで時間をかけて推敲したことが入選につながったということでしょう。

Q43:エッセイを手紙文に書き換えました。二重投稿になりますか?

全く別の作品に書き換えて!

 自分で書いたものを自分で書き換えるわけですから、これ自体は問題ありません。問題になるとしたら、このエッセイが受賞作で、著作権が譲渡されている場合。そうなると、どの程度改作したかが問題になりますが、引き写したようにそっくりそのままの箇所がなければ、著作権上は問題ありません(著作権は表現を保護するためのものなので)。

 ただし、内容も同じ、テーマも同じ、流れも同じ、違うのは枚数だけとなると、「あれ、この話、どこかで聞いたぞ」となり、新規性という意味でひっかかります。合法ではあっても、なんとなくすっきりしません。強烈な体験であるほど同じ題材で書きたくなるのは人情ですが、着眼点やテーマを変え、あるいは前回はメインだった体験を今度はフリに使うなど、全く別の作品に仕上げてほしいところです。

Q44:ライト文芸はライトノベルとは違う?

ラノベと一般文芸の中間

 ある年配の方に「RIGHT(右)ですか、LIGHT(光)ですか」と聞かれたことがありますが、「LIGHT (軽い)」でしょう。
 中高生を読者対象とする小説は、かつてはジュブナイル、ジュニア小説、ティーンズ小説などさまざまな呼称がありましたが、90年代に電撃文庫やスニーカー文庫が創刊され、少年たちの人気となりました。

 その後、ライトノベル(ラノベ)は市場がどんどん拡大し、さまざまなレーベルが誕生。読者層も20代にまで拡大しました。これらの読者層は男の子が多かったため、狭義にはライトノベル= 男の子向けとされています。

 一方、少女小説は、これよりもずっと前の60年代からあり、82年に雑誌「小説ジュニア」がリニューアルして『コバルト』となって一時代を築きました。コバルト文庫は少女向けですが、これを少女向けライトノベルとする向きもあります。

 ライト文芸は、キャラクター小説、キャラクター文芸(キャラ文) とも言われ、2010年代に急速に広まったジャンルです。きっかけは「ビブリア古書堂の事件手帖」。同小説は電撃大賞の入選作でしたが、ライトノベルより一般文芸に近いということで、メディアワークス文庫から刊行されて大ヒットとなりました。
 ライト文芸は一般文芸とライトノベルの中間ぐらいに位置し、読者層は20~30代、表紙にイラストを使うなど取っつきやすいのが特徴です。

Q45:応募後に文字を修正できますか?

 応募要項の中に「応募後の修正はできません」と書かれていない場合は、担当者次第、応募の量次第かもしれません。郵送の場合、倉庫か何かに応募作が大量に積まれていたら、「ここから応募作を探し出せってか」と気が遠くなりそうです。

 WEBの場合も、サーバーにたまったデータを引っ張り出し、修正したり差し替えたりは……。「前の作品は廃棄し、こちらに差し替えてください」と言われれば善処してくれるとは思いますが、できればそのようなことがないように推敲し、あっても見逃せる程度のミスしかないようにしておきましょう。

Q46:「個人が制作した作品で共作可」とは?

 「個人が制作した作品で、共作可」って矛盾していないかと思ってしまいそうですが、この場合の「個人」は「1 人」という意味ではなく、「法人ではない」という意味。

 日本ではあまり聞きませんが、海外では映画のようにチームで小説を作り、出版社などに売り込む企画会社があるそうです。
 つまりこの応募規定は、商品として小説を書いて売るような会社単位での応募はお断りしますという意味です。

Q47:ペンネームって何でもいいのですか?

 どんなペンネームでも自由ですが、違和感があり、作品の味を損ねるようなペンネームはつけないほうがいいですね。ライトノベルならキラキラネームもいいですが、純文学系の文学賞に妙な当て字をするのもどうかと。それと、毎回ペンネームを変えたり、投稿内容が公募に入選したことで、そのときのペンネームを「初受賞」にするといったことはラジオではよくありますが、他の投稿や公募ではやめましょう。

Q48:表彰式は必ずある? 交通費は自己負担?

 表彰式はやる場合とやらない場合があります。公募ガイドで言うと、誌上企画の場合は誌面で発表して終わりで、表彰式はしませんが、創刊10 周年に「ボツちゃん激励賞」という笑い話の公募をしたときは、都内のホテルで表彰式をしました。規模が大きく、イベント的な公募の場合は、表彰式をします。交通費は入選者については出ます。万一出ない場合は表彰式を欠席してもかまわず、それで受賞が取り消されることはありません。

Q49:賞金や賞品にも税金はかかりますか?

 課税対象になります。賞金や金券は額面どおり、賞品は通常の小売り販売価格の60 % 相当額が、また貴金属・土地などは「受け取る事となった日の価格」が課税対象額になります。

 賞金・賞品は一時所得に該当し、50万円以下は特別控除額がありますので申告不要です。合算して50万円を超える場合も要申告ですが、5万円以下の賞金は税務署に通知しませんし、本人も合算額を知らないことも。合算して50万円超の場合は実質的には申告する人はいません。

Q50:「アマチュアに限る」「新人に限る」とは?

それを生業としない人

「アマチュア」とは、対象となる分野において、そのことを生業としていない人ということになります。
 その分野が絵画や俳句であれば、絵画を販売したり、俳句の講師をするなどして生計を立てていない人になります。講師は、スポーツで言うところのティーチングプロといった立ち位置でしょう。童話や句集などその分野での書籍を商業出版したことのある人も、プロと見なされると思ったほうがいいです。

 しかし、それもはるか昔の話で、出版社も大手出版社ではなく、現在は会社員や自営業、あるいは無職という人であれば、その場合はアマチュアと言っていいでしょう。
 「新人に限る」という応募資格は、主に文芸関係の応募要項に書かれています。この場合は、受賞経験もなく、小説を発表したこともなく、商業出版したこともない無名の新人になります。文学賞では、賞名に「新人賞」とあるものがありますが、こうした賞は新人を対象としています。プロとしての実績がある人や他の文学賞の受賞経験者は受賞できません。

 一方、ミステリー、ファンタジー、時代小説、ライトノベルの賞では、ほとんどのものに「プロ・アマ不問」とあります。明記されていない賞でも「ライトノベルの受賞歴のある人がミステリーの賞を受賞し直して再デビュー」という話はよくありますので、新人賞という位置づけの賞でなければ「プロ・アマ不問」と考えていいでしょう。地方文芸、自治体文学の場合も、「新人に限る」となければプロが応募してくる可能性はありますが、これらに小説を生業とする人が応募することはまずないと思われます。

特集「賞金を手に入れろ! 入選50のヒント」
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※本記事は「公募ガイド2018年1月号」の記事を再掲載したものです。

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