亀にのった釣り人 神武東征3 神様も“失敗”して成長した ことの葉り。百九五
広い空
こんばんは。今日も朝から仕事に出かけて、すっかり日が暮れて帰宅してから、「ことの葉綴り。」に向かいます。
今日は、ちょっぴり遠出をして、空があまりにも美しかったです。
ビルの立ち並ぶ都心部と違い、
空の広さに驚いて
夏から秋へとうつる、絵画のような雲さんがきれいで
ずっと空を見上げて、シャッターを押していました。
危険な渦潮、速水門
さて、今夜も物語は続きます。神話『古事記』の中つ巻。
しばし、神倭伊波禮毘古と、兄の五瀬命の旅にお付き合い下さい。
天孫の御子の兄弟2人は、
豊葦原中つ国の高千穂の宮を出て
国を安らかに治めようと旅立って、
宇沙(大分)、筑紫(福岡)に一年、
安芸(広島)に七年、
吉備(岡山)には八年と
その土地土地の豪族たちと交流を深め、
配下に収めていきます。
故郷の高千穂の宮殿を発って
早や、十六年の歳月が流れました。
そして、今後もまた瀬戸内海を、
太陽が昇る東へと船を進めていきます。
吉備を出発して、幾日かすぎると
急に海流が、すごいスピードで渦を巻いています。
潮の流れがとっても急な速吸門(はやすひのと)に遭遇したのです。
日本書紀では、豊予(ほうよ)海峡という、九州の大分と、四国の愛媛の間の、豊後水道で、もっとも水路が狭い海峡のことだといわれます。
これだと、物語は、実は16年前の、宇沙に到着する前のことになり、お話が前後しちゃいます。
また、吉備(岡山)から東へ向かった、兵庫県の明石海峡という説もあるようですよ。
亀に乗った釣り人
この、海流が渦を巻いている速吸門(はやすひのと)。
船で進むのは、かなり危険そうです。難破しかねません。
そのとき、渦を巻いている海原に、何かが見えてきました。
兄弟2人が、じっと目をこらしてみると
大きな大きな亀の甲羅に乗って
鳥が羽を広げて羽ばたくように
体を揺すってバランスを取りながら
魚釣りをしている誰かがいるではありませんか!
この渦巻く潮の流れの速いところで
ゆうぜんと釣りをするなんて!?
不思議に思った神倭伊波禮毘古は、
お~い、お~い。
お前は誰なんだ?
何をしているんだ?
と、声をかけて、呼びよせたのです。
その老人は、驚いて振り返ると、
亀に乗ったまま少し船の方に近づいてきて、
船上にいる天孫の御子に、こう答えました。
私は、この土地の国つ神で、宇豆毘古(うづひこ)でございます。
そうか、この土地の神か。
ならば、この潮の流れの速い海流をうまく進んでゆくための海路を、よく知っているのであろうか?
ええ、もちろんでございます。
よく存じておりますよ。
そうか、そうか。
では、なんじ、我らに仕える気はないか?
神倭伊波禮毘古は、この釣り人に、仲間にならないかと声をかけたのです。
さあ、この亀の甲羅にのった不思議な宇豆毘古
どう応えるのでしょうか?
また、天孫の御子たちの船団は、
無事にこの急激な海流を乗り切れるでしょうか?
―次回へ。
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