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弟橘比賣命様と美智子上皇后陛下 倭建命様其の三三 神話は今も生きている ことの葉綴り五五八

雑念を流し去る雨の音

おはようございます。朝のお参りを終えたところで一時的な豪雨に。しばし境内で雨宿りを。表紙写真↑にも雨粒が見えるほどの強い雨でしたが、その雨音脳の中の“雑念”を流していってくれるようでもありました。
皆さんの暮らす地域はどんなお天気ですか?
台風十三号、十四号の行方も気になりますね。
明日九月十日(金)は、台風の被害に遭いやすい「三大厄日」の一つ「二百二十日」です。
暦では、六曜は吉日の「大安」。十二直は、万物を建て生じる「(たつ)」。何かスタートさせるのにいい日。神仏の祭祀、お参り、婚礼、開店、服の着始めも吉。
二十八宿の「(ろう)」縁談、契約、相談、旅行、土堀りに吉。植木の植えかえもいいかもですね。そして「神吉日(かみよしにち・かみよしび)」の吉日です。

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<ちょっとお知らせ>

いつも「ことの葉綴り」をご覧いただき、本当にありがとうございます。
明日九月十日、歯学部で治療(手術)をおこなうため、九月十一日(土)~三日か四日間ほど、体を休めるために、「神話の物語」は、お休みをして、日々の「暦」と写真を更新しようと思っております。
全部休もうかとも考えましたが、ちょっとでもnoteに触れて「ことの葉綴り」は発信したいなと思いました。どうぞ、宜しくお願い致します。

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美智子上皇后陛下と神話の物語

さて、神話の物語に入ります。
前回、美智子上皇后陛下が、「国際児童図書評議会(IBBY)ニューデリー大会」(1988年)で、「子どもの本を通しての平和―子供時代の読書の思い出」をテーマに基調講演をおこなわれ、そこで、日本の神話に触れたご経験と思い出を語られたことをご紹介しました。

小学校に入られた頃は、戦時中で、疎開先に、お父様が、子どものために書かれた日本の神話伝説の物語があったこと。
そこから神話という、太古の物語が、それぞれの民族の生死観などがあらわれていることを感じられたそうです。

そしてお読みになった「古代の物語の中で、一つ、忘れられ話がありました」のです。

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弟橘比賣命さまと美智子さま

それが、倭建命(やまとたけるのみこと)さまと弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの物語だったのです。

さねさし相武(さがむ)の小野(をの)に燃ゆる火の火中(ほなか)に立ちて問ひし君はも

荒れ狂う海で、皇子の后である弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまは、ご自身が海に入り、海の神の怒りを鎮めるので、皇子は使命を遂行し、天皇の元へ還ってほしいと、別れの歌を残し、入水されていった物語。
遺された歌には、「敵に欺かれて野火に襲われたときに、燃え盛る火の中で、私の安否を気遣ってくださったあなた」と、皇子の優しさ、深い愛情への感謝のこころを歌われていました。

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愛と感謝と犠牲、そして畏怖

美智子上皇后陛下の言葉はこう続きます。

弟橘の言動には、何と表現したらよいか、建と任務を分かち合うような、どこか意志的なものが感じられ、弟橘の歌は―(略)あまりにも美しいものに思われました。
「いけにえ」という酷(むご)い運命を、進んで受け入れながら、恐らくはこれまでの人生で、最も愛と感謝に満たされた瞬間の思い出を歌っていることに、感銘という以上に、強い衝撃を受けました。
はっきりとした言葉にならないまでも、愛と犠牲という二つのものが、私の中で最も近いものとして、むしろ一つのものとして感じられた、不思議な経験だったと思います。

同時に、美智子上皇后陛下は、「説明のつかない不安感で威圧するものでありました」と、続けられます。
長くなりますが、ぜひ、皆さんにも読んでいただきたいので、そのままご紹介させて頂きますね。

古代ではない現代に、海を鎮めるためや、洪水を防ぐために、一人の人間の生命が求められることは、まず考えられないことです。
ですから、人身御供(ひとみごくう)というそのことを、私が恐れるはずがありません。

しかし、弟橘の物語には、何かもっと現代にも通じる象徴性があるように感じられ、そのことが私を息苦しくさせていました。
今思うと、それは愛というものが、時として過酷な形をとるもの名もかも知れないという、やはり先に述べた愛と犠牲の不可分性への、恐れであり畏怖(いふ)であったように思います。

子ども時代にお読みになられた神話の物語。
弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの、皇子、倭建命(やまとたけるのみこと)さまへの、愛と感謝、そして犠牲の物語は、少女であった上皇后陛下の心に深く刻まれたのですね。

そして、やがて皇太子妃となられ、神話の物語の弟橘比賣命と同じような、皇太子さまへの強い愛を発露させられていきます。

ご自身が「弟橘の物語には、何かもっと現代にも通じる象徴性があるように感じられた」と、語られたそのままに……。

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<ことの葉綴り>ご案内

「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
約二千年前、伊勢の神宮ができるまでの「元伊勢」編。
ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。

最新のマガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。

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―次回へ
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