美夜受比賣様との再会 倭建命様其の三七 神話は今も生きている ことの葉綴り五六五
生命の尊さ、季節を感じる感性を
おはようございます。週末の台風、気になりますね。
氏神神社さんをお参りしていても、虫の音が心地よく五感を刺激してくれます。曇り空でも、雲の流れが今日は少し早いな~なんて感じたり。朝のお参りで、心も体も整いますね。
前回は、生きとし生けるものすべてのものを尊び平安と幸せを祈る、京都の石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)さんの「放生会(ほうじょうえ)」について綴りましたが、同じ、八幡大神さまをお祀りする神奈川県の鎌倉にご鎮座する「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)」さんでも、九月十四日~十六日まで、「例大祭」のご神事が執り行われています。
毎年、十五日には、「例大祭」の祭祀がありその後、「神幸祭」では、お神輿が鎌倉の町を巡幸されます。
そして、十六日には、鎌倉時代の武士に扮し、馬で掛けぬけながら的を射抜く「流鏑馬(やぶさめ)神事」がおこなわれます。
今年は、予定を変更されて、執り行われているようですが、「流鏑馬神事」は、日程の中にはありませんでした。
けれど、十六日の午後には、「鈴虫放生祭」という、例大祭でご神前にお供えをした鈴虫を、ご神域の自然の中に放すご神事が、行われます。
こちらも、生きとし生けるもの、生命の尊さや季節に関する感性を大切に守り伝えるために、平成十六年から始まったそうです。
雅楽の音色が響く中、巫女さんが神楽舞を奉仕された後、境内の柳原神池のほとりに鈴虫を放つそうです。
ステキですね。
さて、九月十六日の暦は、一粒が万倍になる「一粒万倍日」の吉日。六曜も、「大安」吉日。十二直は、「破(やぶる)」で物事を突破する日。
二十八宿は「井(せい)」で神仏詣で、種まき、建築に吉。さらに「神吉日」の吉日。
お時間あれば、ぜひ神社やお寺のお参りに! そして生きとし生けるものの平安と幸せと、季節を五感でたっぷり感じてみてくださいね。
前置きが長くなりました(ペコリ)神話の物語に入りましょう。
<ことの葉綴り>ご案内
「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
約二千年前、伊勢の神宮ができるまでの「元伊勢」編。
ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。
最新マガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。
<倭建命様の物語。これまでのあらすじ>
倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、熊曾建兄弟(くまそたける)を討伐後、すぐに東国の荒ぶる神の討伐へ出立されました。
焼津で野火に襲われますが、機転を効かし「草薙剱(くさなぎのつるぎ)」と「御袋」の火打石で、窮地を脱します。
相模の海では、海神の怒りで遭難しそうになるところを、愛する后の弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまが、自ら海の神の“人身御供”となり入水されて、命を救われました。
その後、東の荒ぶる神たちを平定し、大和への帰路へ着かれます。
美夜受比賣さまとの再会
倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、甲斐(かい)の国(現在の山梨県)で、優れた知恵を持ち、歌を詠んだ御火燒(みひたき)の老人(おきな)を褒め称え、甲斐の国の国造(くにのみやつこ)に任命します。
そこから、科野の国(しなののくに、信濃の国、長野県)の神をも「言向け」し、平定し帰順させ、ようやく尾張の国まで還ってきたのです。
尾張の国には、東征に行く道すがら立ち寄り、出会った媛(ひめ)がいましたね? 覚えていますか?
美夜受比賣(みやずひめ)さまです。
そうです。出発のときに、夫婦の契りを結ぶという約束だけをされて、そのまま東征へと向かわれたのです。
婚約者ってところですね。
その美夜受比賣(みやずひめ)さまを、約束通り、訪れられたのです。
契りの約束を果たしに
ここで、一行を労うご馳走や酒がふるまわれます。
艱難辛苦の旅から、ようやく一息つかれたのでしょう。
ずっと、倭建命(やまとたけるのみこと)さまの安否を気にかけて待ちわびていた美夜受比賣(みやずひめ)さまも、無事に戻ってこられた倭建命(やまとたけるのみこと)さまの側に寄りそい、お酒をついで、とても幸せそうに微笑んでいます。
久しぶりのご馳走と、美味しいお酒、これほどくつろいで、お酒を味わうことも、どれほど久しぶりでしょう。
愛する后の弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまを亡くされて傷心のこころを、美夜受比賣(みやずひめ)さまが、受け止められていくようです。
そうそう、以前、倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、モテ男だったこともご紹介しました。
約束通り、契りを交わすために、美夜受比賣(みやずひめ)さまのもとへと戻ってきたのです。
このとき、倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、ふと、あることに気づかれます。
さて、何に気づかれたでしょう?
それは、倭建命(やまとたけるのみこと)さまが詠まれた御歌に示されています。
その御歌は……
ひさたかの 天の香具山 利鎌(とかま)に さ渡る鵠(くび)
弱細(ひはぼそ) 手弱(たわや) 腕(がひな)を
枕(ま)かむとは 我はすれど さ寝むとは 我は思へど
汝が著(け)せる 襲(おすひ)の裾に 月立ちにけり
解説は次回に!
宜しくお願い致します。
―次回へ
#一度は行きたいあの場所 #私の作品紹介
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