見出し画像

愛する后を偲びて 倭建命様其の三五 神話は今も生きている ことの葉綴り五六三

神話の物語、再開します。

こんにちは。涼しくなりましたね。
週末の台風も気になりますが、皆さま、季節の変わり目、体調いかがですか?
私は、三日間の間、ゆっくりと過ごしました。今朝は久しぶりに家を出て、お参りしてきました。
曇り空ですが、鎮守の杜も、すっかり秋の空気で、虫の音が耳に心地よかったです。

九月十四日(火)の暦は、六曜は、午前は凶、午後が吉の「先負(せんぷ、せんまけ)」。十二直は、物事の善悪が定まる「定(さだん)」建築、開業、婚礼の鳥木家、移転、種まきに吉。
そして、二十八宿は、お稽古始め、仕事始めに吉の「觜(し)」です。

そして、仕事始めに吉の「觜(し)」というわけでもありませんが(^^)、今日から、ゆっくりのんびりペースで、また神話の物語を続けます。
どうぞ宜しくお願い致します。

悲劇の英雄、倭建命(やまとたけるのみこと)さまの物語です。

画像2


<倭建命様の物語。これまでのあらすじ>

景行天皇の御代四〇年、皇子の倭建命(やまとたけるのみこと)さまは熊曾建兄弟(くまそたける)を討伐した後、勅命を受けて東国の荒ぶる神の討伐へ出立されます。
焼津で罠に嵌められますが、倭姫命(やまとひめのみこと)さまから賜った、皇統を受け継ぐ「草薙剱(くさなぎのつるぎ)」と「御袋」の火打石で難を逃れます。
走水(はしりみず)の岬から、上総国(房総半島)へ御船で向かいますが、海神の怒りで、嵐に舞いこまれ遭難しそうになったとき、愛する后の弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまが、
「私が海に入り、海神の祟りを鎮めます。皇子さまは、必ずや勅命を成し遂げて天皇のもとへお還りください」と、海の神の“生贄”となるために入水されました。

それから七日後、浜辺に流れ着いた后の御櫛を見つけた倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、そこに御陵をつくられました。

亡き后を心に偲びて

愛する后を失われた倭建命(やまとたけるのみこと)さまですが、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまの命を懸けた思いを決して無駄にはしないと、心に強く刻まれました。

画像3

倭建命さまの東征の旅

そして、上総国(かずさのくに)から、東征へと向かわれます。

『古事記』にはこうあります。

悉に荒ぶる蝦夷等を言向け、また山河の荒ぶる神等を平和(やは)して、還り上(のぼ)り幸でます時……。

荒れ狂う蝦夷(えみし)を平定した。また山河の荒ぶる神たちも平定し、都へと戻る帰路へつくとき……。

と、とっても“あっさり”していますね。

『日本書記』を見てみますと……。(ちなみにこちらでは、日本武尊(やまとたけるのみこと)と書かれていますが、ここでは倭建命で統一しますね)では、もう少し詳しく書かれています。

上総国から、陸奥国(みちのくのくに)に、かなり大きな御船で入られて、蝦夷(えみし)の人たちは、防戦しようとするも、御船の威勢を見て、「これでは勝てまい」と、思い、名前を尋ねたといいます。
倭建命(やまとたけるのみこと)さまは「私は、現人神(あらひとがみ)の御子である」と、答えたとあります。
そして蝦夷の人たちは、自ら帰順した。そこで王は、その罪をお許しになった。
そうして、その首領を捕虜として、随従させられた。
と、あります。

画像4


ああ、我が妻よ

そして、大和への帰路へと向かい、足柄(神奈川県足柄市)の坂本までいたったときです。
倭建命(やまとたけるのみこと)一行は、旅行用の食料を召し上がられてしました。
今でいう、キャンプ飯という感じでしょうか。

すると、そこにそこの坂の神が、白き鹿に化身した姿でした。
倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、鹿を驚かそうとして、食べ残りのユリ科の植物の蒜(ひる)を手にして、鹿が近づいてくるのを待ちました。
そして、すぐ近くまできたとき、その蒜(ひる)の根で、ビシっと鹿を打ったのです。
驚かすつもりだったのですが、鹿の目に命中してしまし、鹿は命を落としてしまいました。

まさか……。

倭建命さまは、その坂を上り頂きに立たれて、深く三度、嘆かれます。

吾妻はや、(ああ、我が妻よ)

我が妻よ……。

我が妻よ……。

倭建命(やまとたけるのみこと)さまは、この旅路の間中、愛する后、弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまのことを片時も忘れたことがありませんでした。
ことあるごとに、愛する后を偲ばれていたのです。

そして、この「吾妻はや(我が妻よ)」と、嘆かれたところは、「吾妻(東)」の国と、呼ばれるようになったといいます。

倭建命さまが、常に弟橘比賣命(おとたちばなひめのみこと)さまを偲ばれていたように、弟橘比賣命さまも、御霊(みたま)となり、倭建命さまを常にお側で、見守られていたことでしょうね。

長くなりました。
ではまた次回へ。

画像5

<ことの葉綴り>ご案内

「ことの葉綴り」全体の神話の物語のご紹介です。
神話は、「神さまも“失敗して成長した”」「“神話は今も生きている”」と、日本の魅力的な神様の物語編。
約二千年前、伊勢の神宮ができるまでの「元伊勢」編。
ときおり綴る「エッセイ」編と、「マガジン」に分かれています。
下記のトップページから、スクロールしていただくと、物語別、神様べつに「マガジン」が選べるようになっております。
神さまの名前や、ご興味あるものを読んでいただけると幸いです。

最新のマガジンは、天照大御神さまが伊勢の神宮にお鎮まりになられるまでの「元伊勢」物語 神話13~17です。

―次回へ
#一度は行きたいあの場所
#私の作品紹介

画像5


この記事が参加している募集

私の作品紹介

一度は行きたいあの場所

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?