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清浄を貴ぶ「祓ひに始まり、祓ひに終はる」 ことのは綴り 其の十九


おはようございます。春分の日。テレワークしながら復帰八回目は、
「祓ひにはじまり、祓ひに終はる」—――神道のこころを。
日本に古来から伝わる神道で、最も大切にされていること。

暦の上で、昼と夜の長さが同じになる春分の日。ご先祖を供養するお彼岸のちょうど真ん中にあり、春らしさを感じるころ。


神社にいくと、必ず手水舎があります。
神さまにお参りする前に、この水で手と口を漱ぎ、身を清めます。
これは、神話にある伊邪那岐命(いざなぎのみこと)からはじまります。
この神さまは「神様も失敗して成長する」の
天照大御神様と須佐之男命様の父神さま。

この父神さまが黄泉の国から戻った時に、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原(つくしのひむかのたちばなのをどのあはぎはら)で
身を清めたときに、誕生されたのが、「祓戸の大神等(はらへどのおおかみたち)」。さらに天照大御神さま、須佐之男命さま、月読命さまの「三貴神」が生まれます。

今も、清め祓ひの祓詞(はらえことば)で、この「祓戸の大神等」に、「もろもろの罪穢れ有らむをば 祓へ給ひ清め給へと」お祈り申し上げます。

そして川や海など、清らかな水で身を清めることを
禊(みそぎ)といいますが、
参拝の前の手水をとることは、
神話を起源とした、この禊を簡略化したものと言われているのです。

ここでは、神話のことを綴っていますが、
神話は、古来の先人たちの生死観や考え、生き方が現れているものです。

身を清め清潔にすることの尊さを
すでに、先人やご先祖は、神話の中にも
清浄であることが、
生きる上で非常に大切なことだと
伝えてくれている気がします。

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神社ではさまざまなお祭り(祭祀)が行われています。
古来から、ご神事をおこなうときにも
まづは、「外清浄(げじょうじょう)」といい
身を清潔にすること。
同時に「内清浄(ないしょうじょう)」で
心の清浄を期することが、
もっとも大切だとされています。

神さまへのご神事では、
まづ、まづ、第一に、身心の清き明るさを保ち
邪念を去ることを期する。
期するとは、必ず実現すると決意すること。
これを、「斎戒」といいます。

古より、大嘗祭などの大きなご神事では一月
次に三日間の斎戒をしていました。
今でも、ご神事の当日や前日に斎戒をします。

斎戒をしているときは、
沐浴をして身を清め
衣服を改め
居室を別にし
飲食を慎み
思念、言語、動作を正しくし
汚穢(おえ・おあい)、不浄などに触れてはいけない

ご神事の当日には、
手水を取り、
修祓(祓い清め……お祓いをする儀礼)

と、さらに身心を清めて整えるのが、
手水とお祓いの意味なのです。

ご神事にむけて
身心の清浄と無垢を決意し
清らかで邪念なく、澄み切って落ち着いた心
すなわち、「明鏡止水」の心得を目指すのです。

これは、神職の「祭式行事作法」第一義。
目指すところではありますが。

今を生きる私たちも
「あれ、これって」と、
実は、意識して気が付けばやっていることが
あると思いませんか?

温泉好き
サウナ好き
お風呂には入るし
神社では手水もとる

これは、我が身、我が心の清らかさを保つこと。
今も昔も、暮らしの中での「衛生面」であり、
健やかに生きることのノウハウにもなります。
入浴
手洗い
口の中の清潔

今、世界に広がっているウイルスも、インフルエンザの予防でも
もっとも大切だと言われている一人一人の予防。

手洗い

普段の健康管理

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

それを、私たちは、ずっと古より大切におこなってきていました。

祓ひに始まり、祓ひに終はる。
清浄を期する

古来の神話から、私たちが受け継いできていた
「宝」だと思いませんか?

神道の原点は、
自然そのものの中に潜む見えない力を畏れ崇め、
自然とともに生き、
祖先とともに生き、
人々と共に生きる道だといわれています。

春分の日の今日は、皇居でも「春季皇霊祭」と「春季神殿祭」がおこなわれ、歴代のご先祖の天皇のお祭りと神々に感謝する神恩感謝祭がとりおこなわれます。

私たち一人ひとりも、この宇宙に「命」というものが誕生した瞬間から、

この令和二年三月二十日の「今日」まで、この命の連なりがあったからこそ、今、ここに生きています。その命の連鎖、つながりを、「ご先祖」とも呼びます。もし、もし、その命の連鎖の、誰か一人でもいなかったら、今、ここに存在していない。

イメージしてみてください。遥か古からの、「命」の連なりを……。

名も知らなくても、そこに今につなげてくれる「命」はあったのです。

その尊い命の連なりの先端に、私たちは生きています。

そして、今日紹介した遥か古来からの「宝」も、今にも受け継がれているのです。

I明治神宮春分の日MG_3554

(令和二年 春分の日の朝日 明治神宮)

祓ひに始まり、祓ひに終はる
身の清浄を心がけて
心も楽しみをみつけて
大切な人や家族とともに
睦び和み、暮らしたい
そう、強く感じる今日このごろです。

春分の日に、最後まで読んでくださって、ありがとう。

お一人お一人に幸多かれと祈ります。

お一人お一人の、命の連なりに、ご先祖様にも

ありがとうございますと、神恩感謝を捧げます。

あ  り  が  た  う

次回へ――

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写真は伊勢の二見ヶ浦の夫婦岩 ケロケロッ(^^)

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