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伊勢の采女の少女の叡智 雄略天皇二〇 神話は今も生きている ことの葉綴り八一四

下弦の月でデトックス週に

おはようございます。五月二十三日(月)の暦は、六曜は「友引」。十二直は「危」。二十八宿は「畢」です。
お月様は下弦の月。次の新月に向けてのデトックスによいとき。白湯を飲んだり、入浴にお塩やお酒を入れるのもいいですね。
新緑や緑の生長期でもあるので、鎮守の杜の緑に包まれるだけでも、気持ちの浄化にもなります。
部屋の中を整理するのもいいですよね。
デトックス週にしてはいかがでしょう?
さて、神話の物語の続きに入ります。

第二十一代、雄略ゆうりゃく天皇さまの物語です。ご即位前の波乱の物語はをこちらです。


新嘗祭の酒宴での事件

あるとき、雄略ゆうりゃく天皇さまは、春日(現在の奈良県の東部)の袁杼比賣をどひめに求婚しにおでかけになりましたが、恥ずかしがった袁杼比賣をどひめは丘に隠れてしまいました。

またある秋、長谷はつせ郊外のけやきの木の下で、「新嘗祭にいなめさい」の酒宴を催されました。
伊勢の国からお仕えに来ている采女うねめの少女が、天皇さまに差し出した大盞おおさかづきに、落ち葉が入ってしまいました。
そのことに激怒された天皇さまは、この采女うねめの少女の首に太刀をあて、今にも首を切り落とそうとした瞬間のことでした。

采女うねめの少女、命の危機で咄嗟に詠んだ歌

采女うねめの少女が

どうか私を殺さないでください。
申し上げたいことがございます

と、いうと、次のような歌を詠みはじめました。
(少し長いですが、ご紹介しますね)

纏向まきむくの 日代ひしろの宮は 朝日の 日照ひでる宮
夕日の日がける宮 竹の根の 根垂ねだる宮
木の根の 根蔦ねばふ宮 八百土やほによし いきづきの宮
眞木まきさく 御門みかど 新嘗屋にひなへやに 生ひ立てる
百足ももだる 槻が枝つきがえ上枝ほつえは あめへり
中つ枝は あづまへり 下枝しづえは ひなへり
上枝ほつえの 末葉うらはは 中つ枝に 落ちらばへ
中つ枝の 末葉うらは 下つ枝に 落ちらばへ
下枝の  末葉うらは ありきぬの 三重の子が
ささがせる 瑞玉盞みづたまうきに 浮きしあぶら
落ちなづさひ みなこをろをろに これしも 
あやにかしこし 高光る 日の御子
事の 語言かたりごとも 是をば


神代の神話になぞらえて

纏向まきむくの 日代ひしろのお宮は、
朝日の照り輝く宮殿、夕日の照り輝く宮殿です。
竹の根が長く垂れ張り、木の根が延びて横に這い、礎のかたい宮殿。
とてもたくさんの赤土を盛り固め、杵でついて築かれた宮殿。

すばらしい檜づくりの、新嘗祭の後の宴を行う御殿のお側近くに生い繁り立つのは、百の枝が茂る立派な槻(欅)のこの大木です。

この上の枝は、天を覆うがごとく、中の枝は東の国を覆い、下の枝は、西国や周りまで覆っています。

上の枝の葉は、中の枝に落ちて触れて、中の枝の葉は、下の枝に落ちて触れて、下の枝の葉は、
三重の衣を着た、この三重の采女うねめ
捧げ持つ、御大盞おおさかずきに落ちて、油のように浮き漂い、水をこをろ、こをろをかき鳴らして浮かんでおりまする。
これはまるで、神代、伊邪那岐・伊邪那美大神いざなぎ・いざなみのおおかみが、この国の初めに、天沼矛あめのぬぼこで、こをろこをろとかき混ぜて固めていき、この国づくりをしたように
たいへんお目出度き、畏れ多いことでございます。
天に輝く日の御子、
これが、このことの次第の、神代からの語り伝えでございまする……。

伊勢の采女うねめのこの歌を聞いていらした雄略天皇さまは、この少女が、絶対絶命の状況の中、瞬時に、この起きた状況を、皇祖神の天照大御神の父・母神で、伊邪那岐・伊邪那美大神いざなぎ・いざなみのおおかみの国造りになぞらえて、歌を詠むことのできた賢さと、神への畏敬の念、勇気……歌の内容とともに、少女の才と心に、感心されました。

気が付くと、怒りは収まり、采女の罪をお許しになりました。
伊勢の采女うねめの少女の命は助かりました!!

ふぅ~よかったですね~
けれど、采女うねめの少女さん。
すごい深い叡智があり、胆力があり、すごいですね。
何かピンチに陥ったときに、冷静に状況判断をして、その行動をとることができる。また言葉できる……それが自分の命を守ることになる……これは、昔も今も変わらないですもんね。ホント、すごい!! 見習わなきゃです。

そして采女うねめの少女が詠んだこの神話はこちらにありますよ。よかったら参考にしてくださいね。

そして、新嘗祭の後の豊樂とよのあかりの酒宴はまだまだ続くのです。


―次回へ


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