故郷の大和を偲びて 倭建命様其の四六 神話は今も生きている ことの葉綴り五七四
太宰府天満宮さま「神幸式大祭」
おはようございます。一週間お疲れ様でした。いつも「ことの葉綴り」に“来て”いただき、本当にありがとうございます。
九月最後の週末、皆さんは、どうお過ごしになられますか?
私にとって待ちわびた土曜日(^^)。
朝のお参りの後は、夜の『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』を待ちながら、精神科医の名越康文さんの新刊『「鬼滅の刃」が教えてくれた 傷ついたまま生きるためのヒント』(宝島社)を読んで楽しみます。(^^)なんて、いいお休みだ~。
さて、二十五日は、天神さまこと菅原道真公のご縁日です。天神さまをお祀りする全国1万2千社の総本宮、九州の「太宰府天満宮」さま。このお宮は、菅原道真公のご墓所の上に、社殿を建てて、御神霊をお祀りされています。
九月二十一日~五日は、「神幸式大祭期間」で、道真公の往時をしのんで、御神霊をお慰めされるとともに、皇室の御安泰と国の平安と五穀豊穣を感謝する秋祭りがおこなわれます。
二十五日は、もっとも重要な「例大祭」が執り行われます。
夜には、「千灯明」という、心字池に千本のろうそくの火が灯され、ご本殿前では、巫女さんによる神楽舞が奏上されて、天神さまの御神霊をお慰めするそうです。
秋の夜のキャンドルナイト。それは美しく、天神さまも折世転びになられるでしょうね! 行ってみたいですね。
さて暦では、六曜は「友引」。十二直は「平」で、物事が平らかに平等円満になる日。お祝いごと、相談ごとすべてよし。二十八宿「氐」で、婚礼、開店開業、新規のことをするのにいい日です。
さて、今日も、故郷の大和国への帰還を目指す倭建命さまの物語に入ります。
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<倭建命様の物語。これまでのあらすじ>
倭建命さまは、熊曾建兄弟や東国の荒ぶる神を討伐していきます。
后の弟橘比賣命さまは、海神の祟りを鎮めるため、“人身御供”となり皇子の命を救われました。
尾張で結ばれた、美夜受比賣さまの、もとに「草薙剣」を残して、伊吹山の神の討伐に向かいますが、山の神の祟りにあい、命からがら下山し、大和国を目指しますが、体は衰弱し足は腫れあがり杖なしでは歩けなくなってしまわれました。
伊勢の国の尾津の前(尾津崎)の一本の松にたどり着くと、そこは東征に向かう往路で休んだ松で、倭建命さまが置き忘れた大刀が、今もそのまま、そこに残っていたのでした。
三重に腫れあがった足
なんと、嬉しいことか。
倭建命さまは、その松の木に向けて、歌を詠まれました。
一本松よ。そなたが人であったならば、私は、大刀を帯させて、そして、着物を着せてやれたであろうに……。
その一本松があったのは、三重県桑名市多度町のあたりだそうです。
その松で休まれた倭建命さまは、また御杖を使い立ち上がられて、足を引きずりながらも、一歩一歩、故郷の大和国へ向けて、進まれていきました。
そこから出発されて三重の村(三重県三重郡)にようやく辿りつかれます。
もう、足を前に出すたびに、次の足を引っ張りながら出すたびに、痛みが襲います。
そこで、倭建命さまは、こう仰られました。
「吾が足は三重の勾の如くして甚疲れたり」
私の足は、三重に曲げた勾餅のようになってしまい、ひどく疲れ果ててしまった……。
なんて弱気なことを仰られるのでしょう……。
けれど、倭建命さまの御足は、足首も、ふくらはぎも、水がたまりパンパンに膨れ上がられていたのです。
それから、この地域は、三重(みえ)と呼ぶようになったのです。
まさしく三重、県ですね。すごいですね。
動けなくなった能褒野
三重から、倭建命さまは、腫れあがり激痛の足を引きずりながら、能煩野(能褒野)に至られます。
こちらは現在の三重県亀山市のあたりだとされています。
東国から、かなり大和国へと近づいてきています。
けれど、能煩野(能褒野)に至って、倭建命さまの体は、足は、もう動かなくなってしまいます。
あ~ようやく大和の国の近くにまで戻ってきたものを……足が、もう動かなくなってしまった……。
大和の国にいたのは、もういつだったろうか……。
それはそうです。十四~十五で、故郷を出て熊曾建兄弟、出雲の建を討伐の旅に出ていらい、すぐにまた東国へ向かわざるえなかったのですから……。
故郷、大和を偲びて歌を
あ~懐かしい……静かに瞼を閉じられると、倭建命さまの目には、故郷の大和国が浮かびます。
倭は国のまほろば
たたなづく 青堵
山隠れる 倭うるはし
倭は、国の中でいちばん素晴らしく優れたところだ。
畳重ねたよう重なり合い、青い垣を巡らしたような山々に囲まれた、大和よ~それは美しい。
英雄として名を馳せた倭建命さま。
動けなくなったお身体ですが、故郷を思い偲ばれて、その想いを御歌に詠まれたのでした……。
―次回へ
#一度は行きたいあの場所
#私の作品紹介
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