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lily
2022年8月28日 19:39
「秋立つと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」 古今和歌集・藤原敏行山が紅葉して色づいたわけでもなく、秋がやってきたと目ではっきり確かめられるわけでもない。それなのに、どこからともなくさやさやと涼し気に吹いてくる風の音にはっと気付かされることだよ。*この歌のように、秋の気配はまず最初に風が変わったことで感じますよね。それに加えて飛び交うトンボ、
2021年11月17日 14:54
「このたびは幣(ぬさ)もとりあえず 手向山(たむけやま) もみじの錦 神のまにまに」菅家(今回の旅は急なことでお供えする幣の用意もできませんでしたが、手向の神様どうぞ。美しく紅葉した葉っぱを幣として捧げます。どうぞ、御心のままにお受け取り下さい)※この度とこの旅が掛詞。※手向の神…道祖神のこと。急なことで道祖神さまに何もお供えするものがないからといって、素通りしたりは
2021年10月24日 19:40
「奥山に紅葉踏み分け 鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋はかなしき」 古今和歌集・猿丸太夫(山奥まで分け入って散り落ちた紅葉を踏み分けたなら、鹿の鳴く声が聞こえた。秋は物悲しいものだ。)この歌で奥山に紅葉を踏み分けているのは鹿だとする読み方が一般的だけれど、わたしは人と解釈する方がしっくりくる。俗世が嫌になって人里離れた山奥に居場所を求めたけれど、物悲しい鹿の鳴き声を聞いたら「
2021年4月5日 20:01
「久方(ひさかた)の光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ」 古今和歌集・紀友則(光ののどかな春の日に、どうして桜の花は落ち着く心を知らずに散ってゆくのだろう) 光のどかなうららかな春の日に、はらはらひらひらと桜の花が散ってゆく 静寂の中を音もなく、次から次へと舞い落ちてゆくまるで春の雪かと見るまでについこのあいだ満開になったばかりでそんなに急いで散ること
2020年11月11日 20:20
「奥山に紅葉踏み分け 鳴く鹿のこゑ聞く時ぞ秋はかなしき」 古今和歌集・猿丸太夫(山奥まで分け入って、散り落ちた紅葉を踏み分けたなら、鹿の鳴く声が聞こえた。秋は物悲しいものだ。)この歌には、中学生の頃に初めて出会った。当時、世を儚んだ隠遁者が山奥にまで入って行った際に鹿の鳴き声を聞いた情景として読んだ。こちらでも、その読みを採用したい。俗世を捨てて人里離れた山奥に居場所
2021年10月23日 19:17
「寂しさに宿立ち出でて眺むれば いづこも同じ秋の夕暮れ」 良暹(りょうぜん)法師寂しさに耐えかねて外の空気でも吸って気を紛らわそうと家の外へ出てみたしかし辺りを眺めてもどこもかしこも同じように物悲しい秋の夕暮れが広がるばかりだった…孤独や寂しさはネガティブなものとして嫌われがちですが、いにしえの人びとは実に感慨深いものとしてしみじみと味わい愛おしんでいます。昔の