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娘ちゃんは、きらきらの金色のたまごで生まれてきたの

 Twitterでは有名な方なので、子育て中のママなんかはご存知の方が多そう。軽妙な文章で、絶対にマイナスなつぶやきをしないきなこさんの紙の本
 noteでも小説や日々のことをつづられているので、ぜひ。

 きなこさんの文章が好きで、人様のお宅のお子さまたちの成長を勝手に見守り続けている。3兄妹の性格はもちろん把握しているし、彼らの嵐のような毎日をくすっと笑わせる140文字に収めてしまうきなこさんのことは、勝手に尊敬しまくっている。

 真っ赤なソフトカバーの本には、主に次女ちゃん(重度の心疾患を抱えているにもかかわらず、元気すぎるおてんばさん)を中心とした日々が描かれている。酸素ボンベに繋がれながら、幼稚園のすべり台に籠城し、いまこの瞬間をまぶしいばかりに生きている。

 「障がい」というフィルターがかかったとき、ひとは安易に「かわいそう」というどこからともなくぽんっと湧いて出た感情の一語を落としがちで、そこには目に見えない差別感情がどうしても含まれている。
 いったい全体、どうして他人のわたしたちに、何にも知らないわたしたちに、「かわいそう」なんて感情を抱く隙が生まれてしまうのか。それって、一時的な自己満足にすぎないんじゃないか。

 まあ、そんなに重たく考えなくっていい。
 これは、まだまだ幼い3人の子育てに追われるとあるママの奮闘記。

 明け方でも深夜でも呼べばママは自分の元に来てくれて、自分の思う場所にふわふわの寝床を作り、飲み物もぬいぐるみも言えば全部用意して、体も手も足も、とにかく末端がすこしも冷えないように何度も何度も毛布を掛け直して背中をトントンしてくれるんだとひとつの疑いもなく信じているのだ(いや、するけどさ)。

まいにちが嵐のような、でも、どうにかなる日々。
きなこ
★★★★☆


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