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子どもたちの『ウクライナ支援プロジェクト』レポート②壁編【アリストテレスの窓】

これまでの流れはこちら。

「自分ごと(当事者意識)」
「リアリティー」
「マネジメント(複雑系をなんとかする)の原理原則」

私が社会人になって必要を感じてクリエイティブシンキングや、本質行動学などから学んだことを、今、この子たちは、大人が用意したプログラムとしてではなく、自分たち発のプロジェクトのなかで自然と学んでいる。

大人でも難しい学びと同じということは、当然、様々な障害や、進まない状況を体験しているということ。

今回は苦悩真っ只中の子どもたちのお話。

さて、ウクライナを支援するためにはお金が必要だ。

クラファンをすることにしたが、申請に時間がかかるようだ。

早急に必要事項を確定させなければ、どんどん支援が送れてしまう。

そこで、クラファンが話題の中心となった。

「本当に俺たちがやるんだな」

ウクライナのお友達を笑顔にするために「こんなことしたい!」と話していたことが、具体的な目標金額を定めるなかかでリアリティーを増していく。


①目標金額

必達目標10万円
努力目標100万円

クラファンの成功・失敗例や、ウクライナ支援イベントで実際に集まった金額例などを分析すればするほど、お金を集めることの大変さを実感していった。

しかし、集まりそうな額を設定するのではなく、目的のために必要な資金を集めるべき。

カイロやカップ麺などをウクライナのお友だちに送るための最低額を必達目標に。もっと多くの人を笑顔にするために100万円を最終目標とした。


②リターン(返礼品)最終案

金額パターン、返礼品などのアイディアを対話する中で、

「変に物があると買う感覚になる。例えばTシャツに1万円以上は高いって思っちゃう。オリジナルTシャツ着ないし・・・。」

「支援者は物ではなく想いに支援する。」

「物にかけるお金があるなら、その分も支援したほうがいい。」

最終的に、お金のかかる返礼品は淘汰され、想いを伝えられるアイディアだけが残った。

また、高額支援者には直筆の手紙とはじめは考えていたのだが、

「金額でわけるのはどうなのか?」

「手紙を書ける人数だったら、全員に手紙を書きたい。結果、人数的に難しい場合は、メールも使ったらいい。」

リターンにはメールなのか直筆なのか名言せずに、メッセージと記すことにした。

【リターン最終案】
1,000円/2,525円(にこにこ) ①②
10,000円  ①②+③
50,000円  ①②+③+④⑦
100,000円 ①②+③+④⑦+⑤⑥

①アリ窓生からお礼メッセージ(メールか直筆かは明言しない)
②※支援物資が届いた子からのお礼メッセージ(+支援が届いたときの写真)
③アリ窓生がウクライナに送ったポストカード(表:絵・メッセージ 裏:支援者名記載)のデータ
④アリ窓生がウクライナに送ったポストカード(表:絵・メッセージ 裏:支援者名記載)と同様の物
⑤※現地の子が撮った写真で作ったポストカード(裏に現地の子からの感謝メッセージ印刷)のデータ
⑥※現地の子が撮った写真で作ったポストカード(裏に現地の子からの感謝メッセージ印刷)
⑦ウクライナ交流会@zoomへご招待
⑧(企業向け)希望があればイベント時に支援者として紹介 (どんなイベントがいいか?)
※ウクライナの子どもたちから手紙や写真の協力をもらえるかは確認中。


③支援内容(方法の原理とリアリティー)

ウクライナの友達に送るもの
・カップラーメンを送る(極寒対策/非常食)
・ホッカイロを送る(極寒対策)
・うどん(ウクライナの小麦と日本の出汁)で交流する
・絵(ポストカードサイズ、メッセージ・支援者の名前入り)

寄付でウクライナ全体を支援

うどんが消えた・・・

現地で出汁などが手に入りにくいことはわかっていた。しかし、「諦めたくない!」とウクライナで調達できる代用品でのうどんレシピ開発をしていた。

海藻やキノコは日本人でも好みがわかれるので、ウクライナの味覚に合う出汁ができるかもふくめ現地で調達できそうな食材を取材・調査する中で、

「電力不足、物資不足の中、料理に手間をかけられない」
「海藻は苦手という人がけっこう多そう」
「2月3月はキノコのシーズンではない」
などなど、なかなか厳しいリアリティーに直面した。

「はたしてこんな中、うどんレシピが喜ばれるのだろうか?」
「そもそも作れるのか・・・」

乾麺や麺つゆを送れば、うどん自体を届けることができるが、

「モノよりも交流」
「食べてなくなるのではなくてずっと残るもの」

これらを理由に、うどんレシピを送りたかった。

そこで、あらためて目的と状況を整理して方法を考えた。
(方法の原理:方法は目的と状況により変わる)

目的:ウクライナのお友達を笑顔にしたい

状況:電力不足、物資不足の中、料理に手間をかけられない

すると、

方法:状況が改善したら、うどんを食べたいウクライナのお友だちのためにオンラインうどん教室を開催する。

「うどんは、今じゃない!」という結論に至った。


そこで、うどんのために動いていたチームは、今回は、このプロジェクトのためにできる別のことに力を注ぐと決めた。


④絵を実際に描いてみた

トップ画の写真は、ウクライナのお友達に送る絵の試作品の1枚。

どんな絵を送ったら喜ばれそうか形式自由、テーマなしで試しに描いて持ち寄った。

それぞれの試作品を鑑賞する中で、

「避難生活なので、飾る場所や引っ越しに困らないポストカードサイズがいいのではないか。」

「テーマはやっぱりあったほうがいい。平和の願いを絵にこめよう。」

「メッセージもあるといいかも。」

「裏に支援者の名前をいっぱい入れたら、応援してくれる人がこんなにいるって力になるかも。」

などなど、気づきを得た。

やはり手を動かしてみると、アイディアが浮かんでくるものだ。



④支援金を集めるアイディア

いま、一番の課題はここ!

実際にたくさんの応援を集めることと、やりたいことや、やれることとのギャップが生まれている。

「みんなの特技を披露して、クラファンや寄付を募ったらどう?」

「内容がクラファンと合ってなくていいのかな?」

「そもそも俺らが好きなことやって、人が集まるの?」

「有名人にお願いしてみる?」

「SNSにメッセージ動画を投稿しては?」

「いっそのことクラファンじゃない方法で稼ぐのは?」

現在、様々な議論が繰り広げられているのだが、

「どのようにやるかを考えれば考えるほどわからなくなる。」

これまで「やりたい!」という思いから良い面に注目することが多かったが、ここにきて悪い面もしっかりと見るようになった。

すべてのものごとにはメリットもデメリットもある。

その気づきからの言葉だ。


いまが一番つらいときだろう。

でも、誰も諦めていない。

「僕たちにできることをやる!」

子どもたちは前を向き続けている。



To be continued.



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