#日常
【ショート小説】足元に見続けてきたものたち
子供のころ、日曜日、父とサイクリングに出かけた。家を出て河原の土手を走り、もうずいぶん遠くまできた。11月の木や地面の景色はすっかり茶色と灰色が増えてきた。住宅街の狭いアスファルトの道に降りようとすると、目の前に灰色のボロ雑巾が落ちていた。汚いなぁと思いながらそのすぐ脇を通って見下ろすと、雑巾と目が合った。
体を大の字に広げてぺちゃんこになった小動物がいた。何度も車に轢かれたんだろう、骨も砕けて
8月が終わったと感じるとき[ショート小説]
リモートワーク中の昼休み、隣町まで買い物に行く途中に橋を渡る。土手を眺めると、草むらのなかに赤色があった。彼岸花だった。
そうか、もう9月か。
もちろんカレンダー上9月になっていたことは知っているけど、家にこもっていると季節に疎くなってしまう。秋の花を見て、夏が終わったことを改めて思い知らされた。
今年の夏は遠出をしていないけど、ささやかな小旅行をしたり、有名店のかき氷を食べたり、メロンを一