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短編小説

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2021年6月の記事一覧

森の中の丸太舟

森の中の丸太舟

 ロープが張ってある石の門を通り抜け、林の中を下って行く。
 家が現れ、女性が外で作業をしていた。
「こんにちは、竹田さん。
 急に言って、すみません。」
「浜口さん、こんにちは。
 全然かまわないですよ。」
ジーンズに赤いTシャツ、グレーのショートカットの女性が、にこにこしながらこちらをじーと見つめる。
「こちらがアイ設計所長の岩城さん。」
「はじめまして。」
「私はアイ設計の南と言います。
 

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学生時代の友情

学生時代の友情

 学生の時の友達は、ずっと友達なんだ。大人になると、利害関係とか出てくるから、なかなか本当の友達はできないんだ。
 ほら、お父さんは大学の時のNさんとずっと付き合い続いてるでしょ?

 私が学生の時、よく母親にそんな話を聞かされた。確かに41歳になった今、高校や大学で親しかった友人とは、ひさしぶりに会っても昔と同じ信頼関係がある。お互いその時好きだった人や、悩んでいたことなど、恥ずかしいこと知り尽

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朝5時の水やり #短編小説

朝5時の水やり #短編小説

 ザーーッ
 水道の音で目が覚める。ワンルームのサッシから、ぼんやり白い光が差している。
 ザーーッ
 管理人の山本さんが水やりをしているのだ。エントランスには、花の鉢植えがところ狭しと並べられている。
 ザーーッ
 何度もじょうろで水をくむ音がする。

 ミカは、ぼーっとする体を起こして、明るめのアイシャドウと、買ったばかりのベージュの柔らかいスーツを身につけ、ドアを開ける。
「行ってきます。」

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