映画レビュー「雪の華」
映画のような夢を見てますか?
映画は映画館でみたい小山コウ二です!
春だってのに、ここ数日寒いですね。お陰で、せっかく咲いた桜が散っていきました。うちの実家の桜の木なんか咲いたかどうかも怪しい状況です。そんな平成最後の春を皆様いかがお過ごしですか?
あまりの寒さに、先月観た冬の映画のレビューをしていなかったので、ストーブにあたりながらぬくぬくと書いてみたいと思います。
雪の華
さて、この映画は中島美嘉さんの大ヒットした名曲「雪の華」からインスピレーションをイメージして作られた映画だとのことです。歌が原作ってのも面白いですね。まっ、この映画に関わった誰かが、この曲を聴いて育って、制作者として力をつけたら、いつかこの曲で長編映像を作りたい!なんて思ってたのかもしれませんね。
切なく美しいこの曲です。
いやー、いい曲ですね!このPVの中島美嘉さんの表情は最高です。顔、ヘアメイクから衣装まで映像が完璧な切なく愛おしい冬を感じさせてくれます。楽曲も素晴らしいですが、この映像を作ったチームも素晴らしいですね!
そして、映画「雪の華」
ウインターラブストーリーらしい奇麗な表紙ですね。
初々しく可愛らしい俳優というよりも男女のモデルといった感じですね。
主演は、女性に人気の俳優 登坂広臣さんと、中条あやみさんです。
個人的には、この役の前半の中条あやみさんが、私のよく出入りしているカフェに来る常連の女の子にそっくりで、その子にしか見えずに、その子が出ているのかと思ってみてしまっていました(笑)
可愛らしいけどネガティブな女の子。
最近、多いですよね。ほんと今風の女子を演じています。
序盤のあらすじはこんな感じです。
あらすじ
子供の頃からとても体が弱く病気がちだった美雪(中条あやみ)は、幼い頃、父親が嬉しそうに話してくれたフィンランドの“幸せのオーロラ”をいつか見ることを夢見ていた。でも、それも叶わず大人になっていた。そのせいか「いつも自分ばっかり…悪いことばかり…」と、そんなネガティブな思考をしてしまう。
そして、医師から余命を宣告されているのだった。
クリスマス前で華やかでにぎやかな街。ひとり歩いていた美雪はひったくりに鞄を盗まれてしまう。「いつも自分ばっかり…」と膝まづき立ち上がる気力も、ひったくりを追う気力すら湧かない。それを見ていた悠輔(登坂広臣)は、ひったくりから鞄を取り戻し、美雪の前にやってきて「あんた、そんなんで生きていけるの?」と鞄を返す。気力がない美雪に「もっと声出せ!声!」と、言い放って、クリスマスツリーを抱えて立ち去っていく。悠輔の言葉は、美雪の心に長年降り積もっていた雪を溶かすように響いていく…。
ある日、偶然にも悠輔を見つけた美雪は後を付けて、見知らぬカフェに入っていく。そこのカフェスタッフだった悠輔は美雪のことなど覚えていない。残念そうに帰ろうとしている美雪の耳に入って来たのは「あと100万円あればこの店を辞めずに済む」という声だった。美雪は勇気を振り絞って大きな声を出した。
—私出します!100万円。
その代わり、1ヵ月だけ私の恋人になってください!—
と、こんな感じで始まるラブストーリーなのですが、まあ!可愛い中条あやみさん。まあ!可愛い。多分、これは男目線だからですが、女性目線だったら、もう!キュンキュン!登坂広臣さん!って感じでしょうね。笑
実際、20代の女性と映画館に見に行ったんですが、もうその女性は登坂広臣さんに目がハートになってましたし。笑
こんな感じで見るのが、この映画の正しい見方なのかな?とも思いつつ、映像がとてもキレイです。街はオシャレだし、フィンランドのロケーションもキレイです。また、美雪が浅草に住んでいたのもいいですね。シャレた映画ではあるのですが、どことなく風景にも情緒があってストーリーに『華』を添えています。そして、意外とコテコテな昭和トレンディードラマにあるような古くさいラブストーリーです。
私、久しぶりに見ましたね。
いなくなった女性を探して、橋の上で吠える男くさい俳優を。笑
ケータイかスマホ一人一台のこの時代に、まさかこのシーンが復活するとは夢にも思いませんでした。なので、この映画は、本当主演俳優がよく走ります。役のキャラが昭和男子っぽさ満載で、それが今風の映画のギャップになっています。ギャップに弱い女性は要注意です。キュンキュンしちゃうこと受け合いです。
と、いつになく俳優女優押しのレビューになってしまいましたが、昨今がスマホの時代ということを除けば、ストーリーも演技も音楽もとても良く出来ています。
脚本は、岡田惠和さんです。平成期のトレンディードラマ黄金期を支えた一人ですね。私の世代では「じゃじゃ馬ならし」や「南くんの恋人」などを書いた脚本家です。特に、萩原聖人さん木村拓哉さん主演の「若者のすべて」は素晴らしい脚本センスで、一世風靡しましたね。映画では「いま、会いにゆきます」「この世界の片隅に」とか。
結構「ナイナイナイ」っていうようなこてこてなドラマを普通に、そして、時に「やっぱりそうくるの」っていうような体が痒くなりそうなシーンを作ってくださるのですが、メッセージ性よりも日常のはかなさや尊さをどことなく前向きにドラマを描くのが得意な脚本家です。
この「雪の華」では、フィンランドに二人で旅行にいくシーンがあるのですが、そこでドレスを着飾った感じにお互いが男女を意識してしまうシーンが描かれます。東京での二人とは違い大人の男女に見えて、ドキッとする瞬間です。それを変に誇張や演出することなく、主人公たちというよりも、見ている私たちにそんな感情を芽生えさせてくれるようにサラッと書いています。ここで主人公たちに感情が表れるから、自然と「そうなっちゃうよね」という展開が進んでいきます。
それらのドラマに美しい調べで『華』を添えているのが葉加瀬太郎さんのバイオリンです。素敵な音楽と素敵なシチュエーションが、そこにあります。映画を見なくても、これらを想像いただければ美しさが伝わりますよね。
監督は、日本映画学校出身の橋本光二郎さんです。
最近は、この学校から活躍するクリエイターがたくさん出てきましたね。私の母校でもあります。とても嬉しい限りですし、映画の現場で続けられていて、こうして世の中に作品を生み出して届けていることに脱帽します。
正直、私はこの映画を全般的に「体痒いなー」と思いながら見ていましたが、涙が出そうになったワンシーンがあります。もちろん、脚本に書いてあるキモのシーンでしょうが、フィンランドから美雪が自宅に帰って来たシーンです。怒った母(高岡早紀)に、美雪が言った一言で思わず抱きしめてしまう母と美雪の心情が見えてヤバかったです。
—頑張ったんだよ、私
一生分、頑張ったんだ—
きっと、今まで一緒に生きてきたなら、もし自分がこんな状況であったなら、そうなるよね。と、思わす涙しそうになりました。物語に深みをそえた良いシーンでした。
映画『雪の華』予告
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ひとつ物申せば、名曲「雪の華」を作品中にも挿入して欲しかったです。
ご覧になって、こんなシーンやこんなとこも良かったよ!という方は、お気軽にコメントください。
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