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シン・仮面ライダーを現代科学で視る

以前に、シン・ウルトラマンについて科学的視点で触れました。

先日やっとシンシリーズ最新作「シン・仮面ライダー」をAmazon Primeで視聴しました。

下記がPR動画です。(タイトル画像もここから引用)

今回は、「ネタばれしない程度に」前回同様科学的に気になった箇所について触れてみたいと思います。

今回の作品全体で大きなカギとなるのが「プラーナ」の存在です。

主人公の仮面ライダー(バッタオーグ)は、食事をする必要がありません。代わりに周囲の生命を自動的に吸収する能力を備えており、その生命エネルギーのようなものを「プラーナ」と呼んでいます。

検索すると、元々はサンスクリット語で「息吹」を表す言葉でした。

「エネルギーのようなもの」と書きましたが、生命を捕食して栄養素として消化するのではなく、生命の状態で融合するイメージに近いようです。

仮面ライダーも、いってしまえば、バッタのプラーナとの融合で生まれた合成生物というわけです。実際作品内でもこの生物を「オーグメント(Augment)」と呼びます。ARのAで合成する意味合いを指す単語です。

作品内では、プラーナ自体は栄養補給になるばかりか、提供元の意識も備えることができ、なかなか超越的なモノとして位置付けています。

近い存在でふと思い出したのが、ゲームシリーズ「バイオハザード4(かそのリメイク)」に登場する「プラーガ」の存在です。

ようは、ウイルスによる人工兵器として作られた寄生体です。名前が似ているだけでなく(元々スペイン語の悪霊という言葉が発祥)、ゲーム内ではプラーガに寄生された人間は能力を大幅に向上させることができ、その類似性を感じさせます。

半分冗談で半分的を得ているかなと思います。

ウイルスは自身で代謝(外部から栄養を摂取できず宿主に依存)できないことから「生命」と呼べない側面もあります。決まった定義はないので1つの考え方です。

そして、そのウイルスの中に特定の遺伝子を組み込むことで、宿主の細胞で発現させる、よくウイルスベクターと呼ばれます。

なかには、「形質変換」をおこすものもあり、やや強引ですが超人的な肉体能力を持たせることもできるかもしれません。

ただ、このやり方だと厳しい点が3点あり、まずは「食事がいらない理由にはならない」「意識がどう残るのか」という点です。

そして最後の3点目ですが、仮面ライダーの変身ベルトに関係します。

初代仮面ライダーでは、ベルトを回すことで風力エネルギーを充填させる仕様でしたが、今回は「プラーナ強制除去装置」と位置付けられています。

つまり、プラーナを着脱型にしており、ウイルスベクター、つまり宿主の遺伝子レベルまで改変した状態とすると、それを元に戻すのは現代科学でもおそらく不可能です。

と、ゲーム(架空)素材をもとに否定的な話が続いたので、近年の研究で興味深い生物を1つ取り上げます。

「ハリガネムシ」という寄生虫です。

体長数cm~1mの細長い形状であり、カマキリやバッタといった陸生昆虫とゲンゴロウなどの水生昆虫に寄生して一生を送ります。

一番知られている不思議な機能は、寄生したカマキリは、自身の尻を池に体を浸けるよう(同類の生存のため)行動をコントロールされます。

そして最近、この不思議な生物のDNA解析が進み、通常生物の生殖細胞などに存在する「繊毛(せんもう)」というパーツが欠けていることが判明しました。

以前に紹介した記事を引用しておきますが、このパーツは生命の助産婦に近い役割を担っています。

ハリガネムシの他にも、宿主の能力向上・行動支配する寄生体はいくつかおり、宿主の能力向上だけでなく、寄生した側の意識(行動と強引に解釈)も残り、何より独立した生命体なので着脱も可能です。

これらの寄生体の研究が進み、遺伝子編集と必要な素材を組み合わせれば、近いものは実現できるかもしれません。

関心を持った方は、ぜひその視点でも視聴してみてください。今回は割愛しましたが、今風に「人工知能エージェント」も登場します☺

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