kohei

都内の研究所でがんの研究をしています。

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最近の記事

次元の高い世界へ。

久しぶりにインターステラーを見た。好きな映画。SFなのにSFっぽくない。現実性を残しながら、コンセプトは思想的で、どのジャンルにも嵌らない良さがある。人はどうやったら高次元にいけるだろうか。3次元空間に時間軸を加えた4次元世界で生きている私たちの、5次元目の軸こそ「愛」である。 結局、愛に従った判断こそが、データよりも正しかった。そんなラストシーンが印象的で大好きだ。男女の愛だけでなく、ブラックホールへ飛び込むという判断をした主人公もまた、感情ではなく行動による愛を示した。

    • あの日の母に人生を返してあげられないから、とりあえず北欧のコーヒー豆を送った話。

      ある日の夕食後のことだった。ぼくと二人の弟は、母の愛のこもった夕食を、とてもその愛を感じているとは思えない態度で食べ散らかし、食器をテーブルの上に放置してゲームをしていた。それは、いつもと同じ夕食後の風景だった。 台所から皿と皿がぶつかる大きな音がした。刹那、母が叫ぶ。 「私の人生、こんなことのためにあるんじゃない!私の人生返してよ!」 母の前には、ミートソースで汚れた食器が、シンクに山積みになっていた。 ー 久しぶりに実家に帰ると、「最近じゃ、冷蔵庫の中のものが全

      • 在宅勤務ハック —ストレスをためないで、生産性を保つために—

        内科医として臨床に立っていた病院を退職し、4月から研究職になりました。3日間だけ出勤して、その後は時節柄在宅勤務へ。幸運なことにぼくはコンピュータさえあれば研究ができるので、在宅でもオフィスでも出来ることはあまり変わりありません。 先週は少し職場に行ったりもして、少しずつ在宅で仕事ができるように環境を整えました。しかし、大切なのは、この在宅という極端にコミュニケーション量が減少し、しかも誘惑がたくさんある自宅という環境でどのように心身の健康を保ち、生産性を上げていくか、とい

        • Minimalのアップルパイ。チョコレートとアップルフィリングの贅沢な組み合わせ。

          静けさが横たわる東京。雪も降り、外は人気のない1日でした。 先日、最近どハマりしているMinimalさんへ、後輩へのプレゼントを買いに行ったところちょうどアップルパイを出しているということで、頂いてきました。 上品。チョコレートは甘すぎないし、サクサクしたパイ生地に包まれたチョコとアップルフィリングは、相性抜群。 ぼくは趣味でたまにアップルパイを焼くのですが、思いっきりアップルフィリングを甘くするのが父祖伝来(?)の味なので、こういう甘さが抑えられたアップルパイは新鮮で

        次元の高い世界へ。

        • あの日の母に人生を返してあげられないから、とりあえず北欧のコーヒー豆を送った話。

        • 在宅勤務ハック —ストレスをためないで、生産性を保つために—

        • Minimalのアップルパイ。チョコレートとアップルフィリングの贅沢な組み合わせ。

          雲ひとつない東京の空と、暖かく吹く春の風。

          人生で最後になるかもしれない当直を終えた。優秀な研修医と一緒だったこともあり、終始落ち着いて仕事をすることができた。外に出ると、強い日差しと暖かい風が迎えてくれた。いつも通り山手線と埼京線が走る線路を見ながら、駅に向かって歩き出す。1年前、希望を持ってここに来て、そして1年かけて自分の弱さや限界を知った。 表参道のRIZ LABOさんへ。同僚が、簡単な送別会を、ということでぼくの好きな甘いものへ連れて行ってくれた。 裏参道ガーデン、というフードコートにあるお店。名前の通り

          雲ひとつない東京の空と、暖かく吹く春の風。

          LIGHT UP COFFEEさん。—こだわりの一杯を渋谷で楽しむ—

          吉祥寺にあるLIGHT UP COFFEEさん。昔、友人に連れて行ってもらったのですが、その頃はまだ浅煎りのコーヒーの魅力がわからなくて、それ以来足を運んでいませんでした。 そんなLIGHT UP COFFEEさんが、渋谷PARCOに出来たと聞いて行ってきました。あいにくの雨でしたが、屋上階のイベントスペースに4店舗お店があり、そのうちの1店舗がLIGHT UP COFFEEさん。現在は写真展?を行なっている雰囲気でした。もう少し暖かくなって、外にも行けるようになったら凄く

          LIGHT UP COFFEEさん。—こだわりの一杯を渋谷で楽しむ—

          愛すべきTOKYO。休暇最後のコーヒー。

          東京に戻ってきました。相変わらず空気が淀んでいて、人があふれんばかり。故郷とは打って変わって大都会です。 今日は、朝起きて父と母のためにコーヒーをドリップするところからはじまりました。挽きたてのコーヒーは香りが楽しめて、とても美味しいです。父を仕事へ送り出して、母とゆっくり朝食。母が作ったパエリアが美味しいんだこれが。そして、祖母から渡されたケーキを朝からコーヒーと一緒に楽しむ。フリーダム、実家って感じだ。そして、昼時を目指して空港へ。今回はお土産も最低限でとても身軽に帰っ

          愛すべきTOKYO。休暇最後のコーヒー。

          時には有名どころも。—古き良きカフェへ—

          旭川で1939年創業、一度閉店したものの、そのままお店が引き継がれて2011年再開店した「珈琲亭ちろる」さん。自家焙煎コーヒーと、ふわふわ系パンケーキが美味しいお店です。 この佇まいが良いですよね。 パンケーキはふわふわ系。初めてふわふわ系を食べました。あまり甘さはなく、自分でシロップやクリームを使って甘さを調節するという感じです。結構食べ応えがありました。 三浦綾子の名作・氷点にも登場したお店だそうです。旭川の中心街にあるので、一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

          時には有名どころも。—古き良きカフェへ—

          初めてのお店で出会った、懐かしい味。—ぼくをスペシャリティコーヒーの世界に引きずり込んだ味—

          引き続き、カフェ巡り。昨日のカフェの店主さんが教えてくれたネルドリップのお店へ。美瑛へ向かい車を走らせ、見慣れた街並みを越えて美馬牛駅近くまで行くと、素敵な佇まいのお店が迎えてくれます。雪がまだ残る美瑛町。 GOSHさん。自家焙煎で、ネルドリップとペーパードリップで出してくれるお店です。写真はテーブルの上だけ、とのことでしたので、内装の写真はありませんが、とても素敵なお店でした。一つ一つのものにこだわっている印象を受けました。 ここで再会したのは、マンデリン・シナール。マ

          初めてのお店で出会った、懐かしい味。—ぼくをスペシャリティコーヒーの世界に引きずり込んだ味—

          盈舟屋珈琲さん。—東川で楽しめる自家焙煎のお店—

          実家に帰ると必ず起こる母とのイベント — カフェ巡り —。今回は、東川町に位置する盈舟屋珈琲さんへ。幼い頃に親しんだキトウシ森林公園の近く、白樺林を見ながら車を走らせると見つかります。東川のカフェといえば、田畑に囲まれた中にポツンとあるのがお決まりのパターンですが、こちらのお店もパターン通り、大自然を感じながらコーヒーを楽しめます。 大きな窓が特徴的なお店。店内は外からの光が入り明るく、同時に間接照明が落ち着いた雰囲気を作っています。席は6席、座り心地の良い椅子。焙煎機が良

          盈舟屋珈琲さん。—東川で楽しめる自家焙煎のお店—

          両親の「夫婦の空気感」が、この上もなく好きな話。

          自分の家庭環境を、良いものだったと言えることが幸せな時代に生きている。息子3人が巣立った後の実家には、50代前半の父と母が2人で生活を営んでいる。 休暇をとって実家へ戻ってきた。相変わらず、母は思いついたことをひたすら父に言い続けている。父はイヤホンをしてタブレットで動画を見ているのだが、お構いなしに母は話し続ける。独り言なのか誰かに話しているのか全くわからないのだが、父もたまに応じている。別に空気が悪いとか話を聞いていないわけではなく、自然な距離感が保たれている。 また

          両親の「夫婦の空気感」が、この上もなく好きな話。

          Minimalのチョコレート。幸せが心を浸してくれる。

          Minimalのチョコレート。カカオ豆の買い付けの記事を読んで、食べてみたいなと思っていたら、渋谷ヒカリエの地下に出店していたので、実家に帰るついでに買ってみた。 結論から言うと、最高でした。チョコレートは、満たされる気持ちと同時に罪悪感と歯の痛みが抱き合わせでやってくる嗜好品だと思っていたのですが、甘だるい感じがなく、さっぱりしていて、それでいて食べ応えがある。燃え上がるような満足感というよりは、幸せが心を浸していく感覚。 カカオ豆と砂糖で、という触れ込みだったので、粉

          Minimalのチョコレート。幸せが心を浸してくれる。

          「一汁一菜」から生まれるミニマリズム。—衣食住を最適化する—

          2020年になってから、シンプルに生きていきたい、と思って生活を少しずつ調整している。そんな中出会った本。 ほとんどを電子書籍にして、紙の本をどんどん手放しているのに紙の本として買ってしまった。筆者の意見や主観が多い、という意見もあるし、自分もそう思うのだが、それでもこの時代に、一汁一菜でよいのではないか?というメッセージは力強く心に響いてくる。 自分が少しずつ歳をとって、高カロリー食だと胃食道逆流症が悪くなるということが効いているからかもしれない。しかし、寿司・焼肉・ラ

          「一汁一菜」から生まれるミニマリズム。—衣食住を最適化する—

          白衣を脱ぐ日。—臨床医を辞め、研究者へ転向する理由—

          3月いっぱいで内科研修を中断し、4月から某公益財団法人の巨大研究所へ転職することになった。自分なりに適性を考えて悩んだ結果だった。夏からずいぶんと考え続けたが、今のところの最適解であると思う(部分最適か全体最適かは、これから明らかになるだろう)。 臨床医を辞めるに至った理由を挙げてみると、よくもまあ少なくとも4年間この仕事を続けてきたなと自分を褒めてあげたい。 1. ストレスで史上最低の健康状態になった。2年目の頃、初診外来をしていると若い人の胸痛が結構いて、心電図や血液

          白衣を脱ぐ日。—臨床医を辞め、研究者へ転向する理由—

          食べること、生きること、感謝すること。

          2015年1月。ぼくは北海道松前町にいた。 休日の早朝、指導医に連れられて向かった先は、小さな漁港だった。漁師さんが「おう、きたか」とライフジャケットを渡してくれる。凍えながら小さな船に乗り込むと、エンジンをかけて沖へ向かう。 ぶりの季節。初めてもつ釣竿。大きく激しく跳ねるぶりが、次々の船の上に引き上げられていく。跳ねるぶりを漁師さんが棒で叩く。血が飛び散り顔に跳ねるが、そんなことはどうでも良かった。「生きた魚を、自分で釣った」という経験が、ぼくを高揚させていた。 2匹

          食べること、生きること、感謝すること。

          いつでも、誰かと繋がることができる時代に、ぼくはそれを投げ捨てる。

          LINEアプリを、自分のiPhoneから消した。 24時間コミュニケーションが取れる技術は、果たしてぼくを幸せにしているのだろうか。いつ職場から電話がかかってくるか分からない状況、せめて私的なコミュニケーションは自分のペースでしていたい。 将来的には、通話機能とSMSしか使えない携帯端末を使いたい。LINEはiPadがオンラインのときだけ。急ぎの用なら電話でいいじゃない。と、思うけれども今のところは楽天モバイルが最強すぎるし、spotifyも最高なのでiPhoneを使い続

          いつでも、誰かと繋がることができる時代に、ぼくはそれを投げ捨てる。