講談社 内定者エッセイ

講談社定期採用の内定者が、就活への決意、面接に向けた奇策など、各々の視点で赤裸々な就活…

講談社 内定者エッセイ

講談社定期採用の内定者が、就活への決意、面接に向けた奇策など、各々の視点で赤裸々な就活体験を綴ったエッセイです。 これらはあくまで個人の体験談で「答え」ではありませんが、就活の息抜きの読みものとして、講談社を知っていただくヒントとして、ぜひお楽しみください。

最近の記事

素の私が一番の味方

関西/四年制大学文系/コミック志望 就活中は、誰とも連絡を取らなかった。自分の意思が誰かに惑わされるのが嫌だったから。講談社を受けていることは、2次面接で貰った交通費の封筒を渡すまで、親にも話していなかった。自分の夢を知られるのが嫌だったから。私の就活は常に孤独で、毎週末一人で大阪・日本橋のカフェに行き、街ゆくオタクを見ながらパソコンに向かっていた。 『Yes!プリキュア5』の水無月かれんに憧れて生徒会に入り、<物語>シリーズの戦場ヶ原ひたぎに憧れてクールな心を育て、VT

    • 就活奮闘絵巻 feat.味噌汁

      九州/四年制大学文系/実写・イベント志望 あなたは絵巻物をご存じだろうか? 鳥獣人物戯画、源氏物語絵巻、伴大納言絵詞、信貴山縁起……え? 後半はマイナー? まあまあそういわずに、機会があればぜひ一度見ていただきたい。 私は大学で絵巻物の持つ線描の美しさ、躍動感に惹かれて研究している。展覧会のための遠征もお手の物だ。ガクチカは何かと聞かれたら、自信をもって絵巻物研究と答えられる。とはいえ学問が就職先に直結することは少ないし、就活ではサークルやアルバイトの経験で己を武装する人

      • 虚像の私、等身大の俺、坊主頭の俺

        関東/四年制大学文系/コミック志望  5年前、私は絶望していた。世の高校生は青春を謳歌しているのに、どうして私は男子校の汚い野球部の部室にいるのだろうか、と。だから私はよりいっそう漫画に沼った。ギコギコと自転車を漕いで書店に通っては、部室にラブコメを持ち込む。週刊少年マガジンの編集者を夢見たのは、この時期だった。  ただ私は、この原点をなかなかESに書けなかった。当たり前のことすぎて、書こうとさえ思えなかったのだ。「出版社に受かるのは個性的な人ばかり」。そんなネット上の声

        • 内定者エッセイを読めば読むほど途方に暮れた人が書く内定者エッセイ

          関東/四年制大学文系/文芸・ライトノベル志望 内定者エッセイを読んだのは怖いもの見たさからだった。 読めば読むほど自分との差を突きつけられた。凡人であるという実感を深めるハメになるわ、私は本当に本が好きと言えるのか? と、もの悲しい問いにまで辿り着くわ。ファミレスで3年分のエッセイを一気読みした後、意気消沈してパソコンを閉じたことを未だ覚えている。 エッセイや就活情報に触れるほど「出版社内定者=何かに突き抜けている人」という図式が頭の中を占拠し、自分との落差に萎えた。突

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          転ぶものに幸あれ

          海外/四年制大学文系/マーケティング・プロモーション志望 人生どう転ぶかわからない。当たり前だが、それを面接日に気付かされるとは思わなかった。携帯を頼りになんとかホテルに辿り着いた私は、疲労困憊でありながらも緊張で中々寝付けなかった。案の定、寝坊をして大慌てでホテルを飛び出した。そして必死に走る途中、段差に引っかかり転んだ。幸いなことに私は無事だったが、不運なことに携帯は無事ではなかった。電源が入らない携帯をカバンに仕舞い、山手線に乗り込んだ。身動き一つ取れない満員電車の中

          カマキリとハイビスカス

          関東/大学院修士課程文系/グローバルビジネス志望 夏のお話だと思われたでしょうか。いいえ、冬のお話です。カマキリとハイビスカスには、就活中に何度も救われました。 講談社のESを書き始めた冬の初め、毎日庭先に現れるカマキリに挨拶しているうちに、その子と目が合うようになりました。そのうちに挨拶がてらカマキリの隣でぼーっと過ごす時間が長くなりました。 講談社の面接が始まった頃、ハイビスカスの木を毎日眺めていました。冬なのに蕾がつき、日に日に大きくなることに心が躍りましたが、冬です

          カマキリとハイビスカス

          悩むこと、よりそうこと

          関西/大学院修士課程文系/校閲志望  「校閲ってどんな仕事?」とよく尋ねられる。「血眼で誤字脱字を探す」? もちろん誤字脱字の発見は大切だ。「正しい日本語を守りたいんだね」? いや、実は日本語の正しさを決めるのは世間のほうで。「究極の裏方タイプだね」! いやいや、実は私は目立ちたがり屋で……。毎度いろんな会話が飛び交うけれど、私自身は校閲を「悩む」行為だと思っている。  優柔不断の極みのような人生を送ってきた。好きなことが山ほどあって、面白そうな誘いには二つ返事でOKする一

          悩むこと、よりそうこと

          魔法の言葉

          関西/四年制大学文系/コミック志望 「俺の敵はだいたい俺です」 私を講談社に導いてくれた魔法の言葉だ。 講談社のES締め切り日。私は迷っていた。目の前にはまっさらなES。正直に言うと怖かった。数ヵ月前に講談社のワークショップに落ちた苦い記憶が思い出される。あの時みたいに、また落ちてしまったらどうしよう。その上、本選考にはいくつもの面接がある。その面接できっと落とされてしまうだろう。講談社の作品が大好きだからこそ、そこから自分が否定されてしまうかのような、あの感覚が死ぬほ

          迷えるビビり子羊から進撃のズタボロ凡人へ

          関東/四年制大学文系/アニメ・ゲーム志望 倍率に踊らされる迷える子羊、それが当初の私だ。 好きな事はとことん頑張れる私は、漫画やアニメが大好きで大手出版社を複数受けた。私は誰よりも漫画を読破した訳でも、インターンの多数参加や作品制作に携わった経験がある訳でもない。あまりの倍率の高さにビビり、興味が持てる中でも倍率が低そうな職種でESを書いた。しかし書き終わるたびに残るのは無理をした疲労感。そして、第一志望かつ好きな作品が最も多い講談社のESとついに対面した。私は「ここで自分

          迷えるビビり子羊から進撃のズタボロ凡人へ

          秘密結社 コウダンシャ

          関東/四年制大学文系/校閲志望  「講談社」は知らなくても、「コウダンシャ」は知っていた。中学1年生の頃だ。中学の最寄り駅から地上に出ると、大きな道路の向こうにたたずむ荘厳な建物だ。となりにあるガラス窓の目立つ建物は警察署らしい。それならば、「コウダンシャ」は、なにか重大な作戦をたくさんの大人が集まって話し合う、「秘密結社」に違いない。ワクワクと、憧れと、ちょっとした怖さ。毎日上書きされていく「コウダンシャ」のイメージは、「コウダンシャ」が、出版社の「講談社」であることを知

          秘密結社 コウダンシャ

          【冷たく熱い感情】

          北海道/大学院修士課程理系/こども・教育志望 『こりゃ敵わないな』 ビル灯に照らされる首都高を眺めながら、神田川沿いの道で僕は言葉を吐き捨てた。 2022年冬のことだ。 その日は講談社のワークショップだった。 気づいたころには全プログラムが終わり、僕は会社の外にいた。 覚えているのは、僕たちの2つ前の班が企画した漫画で爆笑を掻っ攫った一方、僕たちの発表では誰一人としてクスリともしなかったことだ。 北海道に帰り、研究室で本エントリーのESを前にしても筆が一向に進まなかった。

          【冷たく熱い感情】

          可能性を、拾い上げる

          関東/四年制大学文系/グローバルビジネス志望 「あなたはどう生きてきましたか」「あなたはどう生きますか」 就活ではどうやら、そんなことを繰り返し聞かれるらしい。 それなら心配ない、私が生きた22年は厳然としてそこにあるのだからと、 私は高を括っていた。 「あなたはどう生きたいですか」「あなたは何をしたいですか」 講談社の問いを受けて、自分の脳みそが熱で溶けていくのを感じた。 生きるとは何か、働くとは何か、表現とは何か。 いずれの問いに対しても、私は断片的な答えしか持ち合

          可能性を、拾い上げる

          塩と胡椒

          関東/大学院修士課程理系/コミック志望 「最後に、味を調えるための塩と胡椒を少々」 料理の終盤で聞く台詞。 幼少期からキッチンに立って母の料理を手伝うのが好きで、高校からの約9年間を調理分野の勉強に充ててきた私の就活に塩胡椒は必須だった。何を言っているのだろうと思われるかもしれないが、私という人間が少しでもその会社に合うように、合っていると思ってもらえるように、仕上げにご愛嬌の塩胡椒を振り「貴社に好んでもらえそうな味」に調えていた。 でも講談社は最後まで味を調えられなかった

          ぬらりひょん、立つ

          関東/大学院修士課程理系/文芸・ライトノベル志望 「ぬらりひょん」なる妖怪がいると聞く。 知らぬ間に人の家に上がり込んできては、居間で寛いでいくのだそうだ。 危害等は加えず、ただ自然にいるだけ。 思えば僕も、ぬらりひょん的に生きてきた。 集団内に居心地の良い立ち位置を見つけ、その隙間にぬらりと収まる。隙間に収まっているとそのうちそれが本来の自分だったような気がしてくるもので、生意気なサッカー部員も、設計に熱を上げる建築学徒も、「あるべき自分」だった。そのうち本当に、サッカ

          ぬらりひょん、立つ

          チーズティーにやられた

          関東/四年制大学文系/文芸・ライトノベル志望 私は自他共に認める準備魔だ。就職活動となると、血が騒いでしようがない。特に、面接の対策に燃えた。想定問答の作成、話し方の研究のほか、お風呂で面接の練習に励んだり、自室のぬいぐるみを面接官に見立てたり。あらゆる手立てを尽くした。 しかし、実際の選考が始まると、徹底的な準備が裏目に出るようになった。私は想定外の質問に対して、かなり動揺してしまうのだ。滑らかに受け答えできる質問とあまりにも対照的で、ちぐはぐになってしまっていた。

          チーズティーにやられた

          三十六計逃げるに如かず

          関東/四年制大学理系/グローバルビジネス志望 就活で一番難しいのは、心の健康を保つことだ。だって、就活は本当にしんどい。ほんの一年先の将来に霧がかかって、何が正解か分からなくなる。常に真剣に取り組んでいれば、心が壊れてしまうだろう。だから私は、毎日就活を頑張るあなたへ、逃げ方を授けたい。 その1:失敗しても大丈夫な気持ちの逃げ道を準備する 講談社の面接アドバイスで、よく本当の自分を見せてくださいと言われるが、この上なく緊張している状態で本当の自分なんて見せられるわけがな

          三十六計逃げるに如かず