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カマキリとハイビスカス

関東/大学院修士課程文系/グローバルビジネス志望

夏のお話だと思われたでしょうか。いいえ、冬のお話です。カマキリとハイビスカスには、就活中に何度も救われました。
講談社のESを書き始めた冬の初め、毎日庭先に現れるカマキリに挨拶しているうちに、その子と目が合うようになりました。そのうちに挨拶がてらカマキリの隣でぼーっと過ごす時間が長くなりました。
講談社の面接が始まった頃、ハイビスカスの木を毎日眺めていました。冬なのに蕾がつき、日に日に大きくなることに心が躍りましたが、冬ですから、なかなか咲きそうにありませんでした。その子が咲くのを期待しつつぼーっと隣に座っていると、気がつくと時間が過ぎてゆきました。
このエッセイでこの話をするのは、彼らが私の日常にもたらしてくれた「目的のない時間」の大切さを話すためです。就活や研究で忙殺されていた私にとって、一見無駄かもしれない、ぼーっと過ごす目的のない時間は、落ち着いてものを考えるために不可欠なものでした。今までとこれからの自分のこと、大好きなもののこと、不安なこと、後悔していること。自分の様々な思いを自覚できたことで、ESを書く段階や面接時に、自分の正直な気持ちを整理することができたのだと思います。カマキリとハイビスカスと過ごした時間が、これを可能にしてくれました。
講談社のESや面接では「会社にどれだけ利益をもたらしてくれるか」よりも「あなたはどのような人か」や「どのようなことを考えてきたのか」を聞き出そうとしてくれました。普段から考えることを習慣としていれば、どのような質問に対しても、自分で考えたことを自分の言葉で語ることができるはずです。そして講談社の方々は、そのような言葉に微笑んで下さったように思います。
目標や目的のために日々一生懸命生きることはとても大事です。けれどたまにはぼーっとして目的のない時間を過ごすことも、決して無駄にはならないと思います。

結局ハイビスカスが咲いてくれたのは講談社の3次面接の日でした。
面接の練習相手をしてくれたのはローマ帝国初代皇帝アウグストゥス。

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