内定者エッセイを読めば読むほど途方に暮れた人が書く内定者エッセイ
関東/四年制大学文系/文芸・ライトノベル志望
内定者エッセイを読んだのは怖いもの見たさからだった。
読めば読むほど自分との差を突きつけられた。凡人であるという実感を深めるハメになるわ、私は本当に本が好きと言えるのか? と、もの悲しい問いにまで辿り着くわ。ファミレスで3年分のエッセイを一気読みした後、意気消沈してパソコンを閉じたことを未だ覚えている。
エッセイや就活情報に触れるほど「出版社内定者=何かに突き抜けている人」という図式が頭の中を占拠し、自分との落差に萎えた。突き抜けた人間への憧れはあったが、どうやら自分はそうなれない人間らしいと大学生活後半で悟ったところだった。信頼する人に「何か1つだけを信じて没頭することができない人間だよね」と評されたときにはこれ以上しっくりくる言葉はないのではと謎に感動したほどだ。趣味は広く浅く、私のエッセンスが凝縮されたエピソードトークがあるわけでもなければ、第一志望の割に文芸に精通しているわけでもない。(嘘だと思った方へ。内定後、面接官の方に「君が小説にそこまで詳しくないことは分かっていたよ」とにっこり言われたほどです……)そんな私が、自分を頭の中の内定者像に近づけようとした結果、丸いものを尖って見せることだけに気を取られたESの初稿が爆誕した。
初稿を携えてOB訪問をするとこう言われた。「変に背伸びして書かなくて大丈夫、目の前のあなたは魅力的だからもっと素直に書きなさい」。お仕事の話も伺いながら、どうやら「内定者=突き抜けている人」に限られるわけではないのかもと感じ、心機一転ESを書き直した。
伝えたいことは「ありのままで選考に挑もう」とかではない。端的にいえば、OB訪問のすすめだ。ネット上の情報から立てた仮説と自分の距離にしょげたり、その距離を縮める作業に行き詰まったら、一次情報に触れてみるのはどうだろうか。出版社で働く生身の人間に仮説や不安を、そしてあなた自身をぶつけることで視野が広がり、少しでもワクワクしながらESを書けますように!